2008年9月10日水曜日

Stanford MBAでのバックパック旅行




9月7日から9日まで、Stanford MBAのクラスの一貫でOutward Bound Tripなるバックパック旅行に行ってきました。「生涯の友人ができる」というフレコミを受けて参加したのですが、それは勿論のこと、自分自身についてさらに知るという意味でも大変有意義でした。

<自分自身についてさらに知る>

旅行の初日、「チームに貢献したい」という一心で、大量の荷物を引き受けてしまいました。テントを背負い、率先して重い食糧をバックパックに詰め込みました。結果、物凄く重い荷物になってしまいました。

上り下りの激しい、触れると毒に侵される植物の多い、狭い山道を10キロほど登り下りしているうちに、足の裏に大きな豆ができてつぶれ、その上に更に豆ができました。そのうえ、ひざを痛めてしまい、折り曲げられなくなりました。(仕事でも良かれと思って引き受けすぎてパンクするとかえってチームメートに迷惑をかけますが、バックパック旅行が初めての私は、自分の限界を知らず、上記と同じミスをしてしまったわけです)

最初、「これはもう限界だ。早く目的地につかないものか」とばかり考え、バックパックの重さに耐えかねて、下ばかり見ていました。他のメンバーのスピードについていくのに必死でした。

この状況がしばらく続くいたあと、不思議と頭と体の感覚がマヒしてきて、かえってまわりの景色が見えるようになりました。そして、「大変だけど、まわりの景色も楽しんでみよう」と発想を転換することができました。他のメンバーのスピードに「ついていこう」、と思うのも止めて、「自分の意思とまわりのスピードとの調和で、自分の歩く速度をコントロールしよう」と思い直しました。

「人生とは重き荷物を背負って坂道を登るようなもの。忙ぐべからず」という徳川家康の言葉がありますが、時として「目的を達成しよう」という義務感であせってしまい、まわりがみえず、その場その場を最大に楽しんでいないことのある自分を反省しました。

<あなたにとって何が一番大切なのですか>

あるアメリカ人のクラスメートに、スタンフォードの「何があなたにとって一番大切なのですか」とのエッセイに何を書いたのか聞いたところ、「私にとって一番大切なのは、to impact peopleで、自分のNPOでの経験を記述した」と言っていました。彼女は、NPOで働いて、キューバや北朝鮮などの国々に民主主義を宣伝する職業をしていたそうです。

<アメリカ人との違い>

バックパック旅行に参加したアメリカ人の殆どは、フットボール、ラグビー、ジョギング、バックパック等のスポーツを一生懸命やってきた人たちで、体のサイズもかなり大きな人が多いという印象でした。そして、体が大きいだけではなく、非常に知的でした(例えば、キャンプ場に出没するアライグマの『化』学的な撃退法というような話を日常の会話の中でしてきます)。一緒に旅行して、彼らと自分との大きな差に気が付きました。

まず、彼らは意思決定をすることに大変慣れていました。例えば、Outward Bound Tripでは、プロのInstructorがつきますので、私は日本人の感覚で、「道もよく知っているInstructorに黙ってついて行くのかな」となんとなく考えていたのですが、アメリカ人達は分かれ道に来る度に自分達で議論をして、どんどん進む道を決めていきました(dangerousというwarningがある道にも入っていきました)。インド人やブラジル人など様々な国の学生が参加しましたが、上記の意思決定の点では、アメリカ人が圧倒的に慣れていました。

次に、彼らは、見知らぬ状況にdiveするのを恐れませんでした。例えば、私の場合、ひざを痛めてしまった後は、「あまりひざを動かすと更に痛めてしまうのではなかろうか」などと色々と心配してしまい、心配をしながら漸く体が動く、という感じなのですが、アメリカ人は、不確かな状況にどんどんdiveしていきました(例えば、毒のある植物で一杯の道にも躊躇なしに入っていきました)。 これは、お互いに議論をするときにも同じでした。私の場合、正しい英語をしゃべろうという意識が無意識のうちに働いてしまっており、失敗を恐れ、議論にdiveしていませんでした。失敗を怖がるのをやめようと自分に言いきかせるように心掛け、次第に議論に貢献できる量が多くなりました(冗談を言って皆が笑ってくれたときなどには嬉しく感じました)。

また、アメリカ人は根はとても親切なのですが、アジア人のように相手の意向をおもんばかって、(何も要求しない)無言の相手に親切にしてあげることは苦手のようでした。(明確にコミュニケーションをとると、大変親切でした。)

7年前にアメリカに住んでいた頃にアメリカ人と日本人の違いは結構学んだつもりだったのですが、またわすれてしまったようです。

<かけがえのない友人との出会い>

ひざを痛めてしまい、ひざが曲がらなかったため、動きが遅くなり、チームメートに貢献できる機会が少なくなりました。しかし、ひざを使わなくてもできる作業でチームを手伝い、逆に助けが必要なときには、(アジア的に無言なのではなく)明確に助けを求めるようになりました。そうするうちに、お互いに信頼感が芽生え、お互いがお互いにrely onする素晴らしい環境が生まれました。

<自然の中での生活と達成感>

バックパック旅行をした道は舗装されておらず、狭く、険しく、毒草が大量に生えていました。また、キャンプ場は、どぶ鼠がそこら中を走り回っていて、夜になるとテント(壁や床がない)の食糧をアライグマとスカンクが襲いに来るというWildな場所でした。例えば、真夜中に私がテントの端で寝袋に入って寝ていると、スカンクが足音をたててやってきて、マグカップを長時間、舐めていました。夜に雨が降り、テントに壁がないので、雨水が顔に当たりました。食糧は、クラッカーとチーズとサラミ。食器は、ヒビが入って、泥だらけ。(当然トイレは簡易でシャワーはない)

このような環境に最初は閉口しました。しかし、自然の中で、「クラッカーとチーズはこんなにおいしかったのか」と気づき、また、テントの寝袋で眠る気持ちの良さを知ることができました。

そして、ひざを痛め、豆まみれになりながら、合計30キロ以上の旅行を終えた後には確かな達成感がありました。

Stanfordのカルチャーを表す言葉の一つに"get out of your comfort zone"というのがあると思いますが、今回の旅行は、まさにそのような領域であり、多くを学ぶことができました。




1 件のコメント:

shunsuke さんのコメント...

始めまして。
楽しく拝見しています。
私もstanfordを目指していますが、中々仕事との両立も難しく、どうしても自分で自分を追い込んで両立をしようとしていました。しかしながら、このblogの言葉にハッとさせられました。

「人生とは重き荷物を背負って坂道を登るようなもの。忙ぐべからず」という徳川家康の言葉がありますが、時として「目的を達成しよう」という義務感であせってしまい、まわりがみえず、その場その場を最大に楽しんでいないことのある自分を反省しました。

ありがとうございました。一回深呼吸をして、勉強に打ち込みたいと思います。

引き続き生のreportを楽しみにしています。