2008年9月15日月曜日

Stanford MBAの友人

あるクラスメートと料理屋で一緒にいると、「あいつ●●じゃない?」という騒ぎがおきました。
昔俳優をしていたことが発覚しました。
http://jp.youtube.com/watch?v=SvsorCSGOno

彼は、コンサルで起業して成功もしているのですが、偉ぶらない好青年で、見習いたいです。

祖国の騒乱で苦労してStanfordに戻ってきたように感じるのですが、その辺の事情を本人は誰にも余り語りたがっていないようです。

おまけ

Stanford MBAでは、こんなのが流行って(?)います。。。
http://www.peteyandpetunia.com/VoteHere/VoteHere.htm

Stanford MBAのウェルカムパーティー

9月14日、ウェルカムパーティがあり、今年のStanford MBAの全員が集合しました。
Dean, Associate Deanのスピーチがありました。

Deanのスピーチは、概ね以下の内容で、Stanford MBAのミッションを語ったという印象でした。
「自分が君たちと同じ席にいたとき、当時のDeanが何を話したのかは覚えていない。しかし、当時のDeanの人となりはよく覚えている。ideaとintegrityを持ち、言行が一致し、自分の行動に責任を持つ人だった。君たちもこの学校のカルチャーの一員として、同じようにして欲しいと思う。Stanford MBAは、世界にインパクトを与えるマネジメントを教え、リーダーを育て、上記のマネジメント教育によって、世界を変えることをミッションにしている。しかし、それだけではない。私は、Managementについて学ぶ過程で、君たちがもっと自分のことをよく知り、世界に対する見方が変わり、君たち自身を変えることができると信じている。そして、君たちも自分を変えたいと思ってここに来たと信じている。2年間、自分のcomfort zoneから抜け出し、そして、自分のやりたいことを学んでほしい。2年後の君たちは、世界に対する見方が変わり、自分自身のことをよく知り、変化していると信じている。そのようになった君たちに会うのを楽しみにしている。」

Associate Deanのスピーチは、MBAの2年間をどのように過ごすべきかという点に焦点が当てられていました。
「Stanford MBAの2年間で大切なのは、次の3点です。第一に、自分自身でいること。誰か別の人になろうとせず、他の人に惑わされないこと。第二に、get out of your comfort zoneを徹底すること。第三に、友人をはじめ、Stanford MBAでいかせる機会を徹底的にいかすこと。そのためには、常に、何も前提(Assumption)をおかないようにすること。」 (実際には、このようなマニュアル的な表現ではなく、映画のエピソードを混じえながら、うまくスピーチされていましたが、エッセンスは左記のとおりでした。)

終了した後は、パーティでした。しょっちゅうイベントがあるのですが、こちらでは皆会った瞬間に握手が交わされ、すぐに友達になってしまうという感じで、collaborativeなカルチャーを実感しています。

2008年9月12日金曜日

はじめてGSBで授業を受ける

はじめてGSBで授業を受けました。不安だったので、かなり一生懸命準備しました。

インターナショナルStudent向けの、おおむね以下のような内容のケースです。

「メルクが、1978年に、river blindnessなる病気に対して、動物向けに開発済みの薬が応用できるのではないかと気づく。新薬の開発に成功するかは分からない。仮に開発に成功したとしても、この病気は発展途上国の人々に固有の病気なので、患者の財産やDistributionの問題のため、直接の利益が生ずるとは考えられない。当時、メルクの科学者には、利益のためだけではなく、人類の苦痛を減らすために薬を開発するというカルチャーがあった。メルクは新薬の開発に着手すべきか。(数頁の内容を要約しているので、数字など重要な情報が抜けています)」

メルクの当時の財務状況をAccountingを利用して分析しつつ、株主のために利益をあげるべき企業が直接利益の生じない事業に着手することに問題がないかを中心に議論が進んでいきました。

新薬の開発がブランドの向上に資すること(顧客がクリーンな企業には高い値段を払い、間接的には利益向上に資するかもしれない)、科学者のモチベーションをあげること(次の新薬開発につながるかもしれず、また、低い給料でより良い科学者を雇えるかもしれないという意味では利益上昇につながる)といったプラス面をディスカッションしつつ、ブラックマーケットで取引がされてメルクのマーケットが減少しないか、副作用が人に生じた場合にはかえってメルクの薬を購入する顧客が減るのではないか、といったマイナス面を議論しました。また、政府、WHO、NGOとの協力の可能性、メディアに対する対応の仕方も議論しました。

Stanford MBAの環境は、私には非常に新鮮でした。クラスで出会った初対面の学生同士が、嬉々として議論をして触発しあっていました。また、教授は、GSBファミリーの一員という感じの方で、生徒を暖かく迎えてくれているのが感じられました。なぜか力が湧いてくるような感じがしました。初心を忘れないようにしたいと思います。

2008年9月10日水曜日

Stanford MBAでのバックパック旅行




9月7日から9日まで、Stanford MBAのクラスの一貫でOutward Bound Tripなるバックパック旅行に行ってきました。「生涯の友人ができる」というフレコミを受けて参加したのですが、それは勿論のこと、自分自身についてさらに知るという意味でも大変有意義でした。

<自分自身についてさらに知る>

旅行の初日、「チームに貢献したい」という一心で、大量の荷物を引き受けてしまいました。テントを背負い、率先して重い食糧をバックパックに詰め込みました。結果、物凄く重い荷物になってしまいました。

上り下りの激しい、触れると毒に侵される植物の多い、狭い山道を10キロほど登り下りしているうちに、足の裏に大きな豆ができてつぶれ、その上に更に豆ができました。そのうえ、ひざを痛めてしまい、折り曲げられなくなりました。(仕事でも良かれと思って引き受けすぎてパンクするとかえってチームメートに迷惑をかけますが、バックパック旅行が初めての私は、自分の限界を知らず、上記と同じミスをしてしまったわけです)

最初、「これはもう限界だ。早く目的地につかないものか」とばかり考え、バックパックの重さに耐えかねて、下ばかり見ていました。他のメンバーのスピードについていくのに必死でした。

この状況がしばらく続くいたあと、不思議と頭と体の感覚がマヒしてきて、かえってまわりの景色が見えるようになりました。そして、「大変だけど、まわりの景色も楽しんでみよう」と発想を転換することができました。他のメンバーのスピードに「ついていこう」、と思うのも止めて、「自分の意思とまわりのスピードとの調和で、自分の歩く速度をコントロールしよう」と思い直しました。

「人生とは重き荷物を背負って坂道を登るようなもの。忙ぐべからず」という徳川家康の言葉がありますが、時として「目的を達成しよう」という義務感であせってしまい、まわりがみえず、その場その場を最大に楽しんでいないことのある自分を反省しました。

<あなたにとって何が一番大切なのですか>

あるアメリカ人のクラスメートに、スタンフォードの「何があなたにとって一番大切なのですか」とのエッセイに何を書いたのか聞いたところ、「私にとって一番大切なのは、to impact peopleで、自分のNPOでの経験を記述した」と言っていました。彼女は、NPOで働いて、キューバや北朝鮮などの国々に民主主義を宣伝する職業をしていたそうです。

<アメリカ人との違い>

バックパック旅行に参加したアメリカ人の殆どは、フットボール、ラグビー、ジョギング、バックパック等のスポーツを一生懸命やってきた人たちで、体のサイズもかなり大きな人が多いという印象でした。そして、体が大きいだけではなく、非常に知的でした(例えば、キャンプ場に出没するアライグマの『化』学的な撃退法というような話を日常の会話の中でしてきます)。一緒に旅行して、彼らと自分との大きな差に気が付きました。

まず、彼らは意思決定をすることに大変慣れていました。例えば、Outward Bound Tripでは、プロのInstructorがつきますので、私は日本人の感覚で、「道もよく知っているInstructorに黙ってついて行くのかな」となんとなく考えていたのですが、アメリカ人達は分かれ道に来る度に自分達で議論をして、どんどん進む道を決めていきました(dangerousというwarningがある道にも入っていきました)。インド人やブラジル人など様々な国の学生が参加しましたが、上記の意思決定の点では、アメリカ人が圧倒的に慣れていました。

次に、彼らは、見知らぬ状況にdiveするのを恐れませんでした。例えば、私の場合、ひざを痛めてしまった後は、「あまりひざを動かすと更に痛めてしまうのではなかろうか」などと色々と心配してしまい、心配をしながら漸く体が動く、という感じなのですが、アメリカ人は、不確かな状況にどんどんdiveしていきました(例えば、毒のある植物で一杯の道にも躊躇なしに入っていきました)。 これは、お互いに議論をするときにも同じでした。私の場合、正しい英語をしゃべろうという意識が無意識のうちに働いてしまっており、失敗を恐れ、議論にdiveしていませんでした。失敗を怖がるのをやめようと自分に言いきかせるように心掛け、次第に議論に貢献できる量が多くなりました(冗談を言って皆が笑ってくれたときなどには嬉しく感じました)。

また、アメリカ人は根はとても親切なのですが、アジア人のように相手の意向をおもんばかって、(何も要求しない)無言の相手に親切にしてあげることは苦手のようでした。(明確にコミュニケーションをとると、大変親切でした。)

7年前にアメリカに住んでいた頃にアメリカ人と日本人の違いは結構学んだつもりだったのですが、またわすれてしまったようです。

<かけがえのない友人との出会い>

ひざを痛めてしまい、ひざが曲がらなかったため、動きが遅くなり、チームメートに貢献できる機会が少なくなりました。しかし、ひざを使わなくてもできる作業でチームを手伝い、逆に助けが必要なときには、(アジア的に無言なのではなく)明確に助けを求めるようになりました。そうするうちに、お互いに信頼感が芽生え、お互いがお互いにrely onする素晴らしい環境が生まれました。

<自然の中での生活と達成感>

バックパック旅行をした道は舗装されておらず、狭く、険しく、毒草が大量に生えていました。また、キャンプ場は、どぶ鼠がそこら中を走り回っていて、夜になるとテント(壁や床がない)の食糧をアライグマとスカンクが襲いに来るというWildな場所でした。例えば、真夜中に私がテントの端で寝袋に入って寝ていると、スカンクが足音をたててやってきて、マグカップを長時間、舐めていました。夜に雨が降り、テントに壁がないので、雨水が顔に当たりました。食糧は、クラッカーとチーズとサラミ。食器は、ヒビが入って、泥だらけ。(当然トイレは簡易でシャワーはない)

このような環境に最初は閉口しました。しかし、自然の中で、「クラッカーとチーズはこんなにおいしかったのか」と気づき、また、テントの寝袋で眠る気持ちの良さを知ることができました。

そして、ひざを痛め、豆まみれになりながら、合計30キロ以上の旅行を終えた後には確かな達成感がありました。

Stanfordのカルチャーを表す言葉の一つに"get out of your comfort zone"というのがあると思いますが、今回の旅行は、まさにそのような領域であり、多くを学ぶことができました。




Stanford 流 英語学習法 コメディの利用

7年前にStanford Summer Schoolに留学した際に仲良くなったオランダ人(英語は母国語でないが、彼の英語はネイティブと同様に聞こえた)に、どうしたら英語が上手くしゃべれるようになるか質問したところ、「英語のコメディを見た方が良い」とのことでした。

スタンフォードのサマースクールの英語の授業の中にも、アメリカのテレビドラマ(Sitcom)などのコメディを利用して英語や文化を学習するコースがあります(American Humourというコースです)。その内容は、以下に挙げたマテリアルを全員で聞いて、その内容を解説するというものです。

Stanfordで推奨されているマテリアル

1990年代以降の作品
アリー・マイラブAlly Mcbeal
デスパレートな妻たちDesperate Housewives 123
アグリー・ベティUgly Betty
フレンズFriends
フルハウスFull House
ザ・シンプソンズThe Simpsons(アニメ)
サウスパークSouth Park(アニメ)
Futurama(アニメ)
ファミリー・ガイFamily Guy(アニメ)
キング・オブ・ザ・ヒルKing of the Hill(アニメ)

1980年代の作品
「The Cosby Show」
「Seinfeld」
「Everybody Loves Raymond」

1970年代の作品
「Happy Days」
「Laverne and Shirley」
「Mork and Mindy」
「Man About the House」
「Three's Company」
「M*A*S*H」
「The Mary Tyler Moore Show」
「All in the Family」
「Maude」
「The Jeffersons」
「Good Times」

1960年代の作品
「The Bradt Bunch:」
「The Partridge Family」
「The Flintstones」
「The Jetsons」
「Get Smart」
「Batman」
「I Dream of Jeannie」
「Bewitched」
「The Munster」
アダムス・ファミリーThe Addams Family

1940年代
「I Love Lucy」
「The Honeymooners」
「Make Room For Daddy」
「The Dick Van Dyke Show」


上記方法を利用した方から頂いたコメント:

SITCOMとは Sitcomとは、日常生活をストーリーの設定とした連続ホームコメディを言います。 最近のドラマでは、職場を舞台にした「アリー・マイラブAlly Mcbeal」や家庭内を舞台にした「デスパレートな妻たちDesperate Housewives」がそれにあたります。SITCOMを利用する利点としては、日常会話なので、非常に会話のスピードが速くListeningを鍛えることができます。またニュアンスや、使用するシチュエーションも合わせて知ることもできます。コメディの場合、セリフをオーバーに言うこともあるため、発音の勉強にもなります。また、30分程度ということで、映画より短くまとまっているので勉強に取り入れやすいようです。ストーリー的にも、視覚的にも面白く、単純に楽しめるため、本での勉強に疲れたら、DVDでも観て楽みながら勉強するのもいいかもしれません。 利用するときのポイント DVDを利用すれば、字幕の有無を選べるので便利です。1回目は「字幕無し」でがんばって聞いて観てみる。2回目は英語の「字幕有り」で観てみる。気になった単語だけ調べてみる。気に入ったセリフを役者になりきって真似する。 こうすると、リスニング、単語、会話までさらりと勉強できます。

Sitcomはもともとラジオドラマから始り、1940年代の終わりに、テレビにも登場しました。初期のSitcomはライブをキネスコープで録画したものだったり、あるいはまったく録画せずライブのまま放送したものでした。テレビのSitcomの先駆者としてDesi Arnazがおり、彼は妻Lucille Ballとともに「I Love Lucy」を作成し大ヒットとなります。また、その先見の銘から、すべてのエピソードをフィルムに録画し再放送するというアイディアも生み出しビジネスとしても成功ます。

Sitcomは次第に二つのカテゴリーに分かれていきます。一つが家庭を、もう一つが職場を舞台にしたコメディへと分かれます。「デスパレートな妻たち」が前者、「アリー・マイラブ」が後者にあたります。

2008年9月7日日曜日

Stanford MBAでの旅行

明日からGSBのバックパッキング旅行がはじまります。
入学前に学生同士が仲良くなるためのプログラムで大変楽しみです。
(あらいぐまの集団に毎晩襲われるのが短所らしいですが)

入学して2週間後の週末には、タホ湖などのスポットへの旅行イベントもあり、勉強の合間にも楽しみがあるようです。

旅行といえば、Stanford MBAでのOpportunityの一つにService Learning Tripがあります。
その様子は、例えば、以下のとおりであり、文字通り、Life Changingな旅行のようです。
http://video.google.com/videoplay?docid=-88517339801920612&pr=goog-sl
http://www.gsbcaffeination.blogspot.com/
http://videogsb.stanford.edu/index.jsp?fr_story=9a672f157a49b8671c47ea3c98751d2783a6d206

Service Learning Tripの目的地としてインドを選択すると、有名なAcumen Fundの創業者(Stanford MBAの卒業生)にも会えます。なお、この方について記述した以下の記事を、MBA受験の際のWhy MBAエッセイのお手本にしました。
http://www.gsb.stanford.edu/news/bmag/sbsm0705/feature_novogratz.html

2008年9月4日木曜日

法律豆知識(2) シリコンバレーの成功ビジネスは日本で適法なのか

Stanford MBAの卒業生のはじめられたビジネスの一つに、kiva.orgがあります。
http://www.kiva.org/app.php

ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏のマイクロファイナンスは、少額のローンを無担保で貧困者に貸し付け、今まで超高利貸に依存していた貧困者のビジネスから利益が生ずるようにし、貧困者をempowermentし、世界から貧困を撲滅する手法として注目されています。

kiva.orgは、このような流れの中で、登場し、ローンを貸したい者とローンを借りたい者を結びつけることをビジネスモデルのコアにしています。ストラクチャーは、下記URLのとおりです。
http://www.kiva.org/about/how/

同種のビジネスとして、下記もあります。
http://www.prosper.com/
http://uk.zopa.com/ZopaWeb/

また、先日もいわゆるトップスクールのMBAの方々が、これらをさらに進化させたものを行いたいと言われておりました。

しかし、この種のビジネスを日本で行うことは適法なのでしょうか。

最も大きな問題として、貸金業法上の問題があります。
貸金業法第2条は、金銭の貸付けを業として行うことを貸金業としていますが、貸金業を行うのには登録が必要です(貸金業法第3条)。 判例や行政解釈をリサーチしたわけではありませんが、マイクロファイナンスであっても、ローンを反復継続して実行するという上記のビジネスが、貸金業に該当して登録が必要になることを避けることは難しいように思われます。(収益目的がないとするのは難しいことも多いでしょうから、民法34条によって法人を設立して登録義務を免れることも難しいように思われます。貸金業法施行令第1条の2第2号イ) 感覚的には、貸金業の登録を受けることを前提にしてもやっているだけのビジネスとする必要がありそうです。上記がクリアできたとしても、出資法・銀行法との関係で預り金・預金を受けないストラクチャーが作れるのか、とか、弁護士法・債権管理回収業に関する特別措置法との関係で債権回収を代行しないストラクチャーとできるのかといった問題があります。

本当に重要なビジネス以外の法律面でわずらわされるところが多く、必要以上に規制が厳しすぎるのかもしれません。

Stanford MBAの大先輩から学ぶ (2) 有名な起業家

地獄のように厳しいと言われている授業が始まる前に少しでも楽しもうと、最近は今年Stanford MBAに留学する日本人3人組で行動することが多いです(ビジネス、行政、法律とバックグラウンドも違うからか話をしていても楽しいのです)。

昨日も、シリコンバレーの日本人で最も有名な起業家のうちの一人に3人組でお会いしてきました。

特に印象に残ったのは、

「目的をもって、計画を練って、こうやってこうやったらこうなる、という風には私は生きてきませんでした。そのときそのときの波にのって、ただし、チャンスがきたら『さっと取る』ことが大切。他の人も行動していますから、迷って考えて、ゆっくりしているとチャンスは逃げてしまいます」

という趣旨の教えでした。

「手に入らないものは手に入らないのだし、手に入るもののなからその場その場でベストなものを選択する」ともおしゃっていました。

あまり肩に力を入れすぎると波にうまくのれないということなのでしょうか。その場その場で将来の自分の理想像はイメージするものの、それに固執し過ぎないということなのでしょうか。

その他に特に印象に残ったのは、以下の趣旨のやりとりでした。

「専門外の技術が難しくてビジネスに支障が出るのかというとそんなことはない。技術の本当にディープな部分は、難しいのかもしれないが、私のビジネスに必要な、例えば、どの企業がどのような技術を持っているのか、といったことは簡単に学べる。」

「ネットワーキングとか、『凄い人』に会うのに重要なのは、その人に会う理由を明確に説明すること。誰かからの紹介というのは、その次にくる。それから、良くネットワーキングでビジネスができると勘違いする人がいるが、そのようなことは決してない。」

(なぜそんなに引出しが広いのか、ニュースを大量に読んでいるのかという学生の質問に対して)「新聞や雑誌をそれほど読んでいるわけではない。隅から隅まで読むのではなくて見出しを読む程度ですませてしまう部分も多いし。むしろ、興味をもったニュースなり情報なりについて、過去の情報にさかのぼるなど、さらに深く調べていく過程で情報が入ってきているように思う。」

「アメリカのサービスに閉口することがあるという人がいるが、むしろ世界の中で日本だけがあさっての方向を向いてサービスを頑張っているのではないか。私には日本のサービスよりもアメリカのサービスの方があっている。」「日本人は黙っているから分からないこともあるのだが、アメリカでは主張すると結構よいサービスが手に入ることもある。例えば、買ったものを簡単に返品できるというのも、ある意味でアメリカの良いサービスの一つと言えるかもしれない」(日本のようなsilent conversationで良いサービスが手に入ることを、グローバル化の中で世界中の国々に期待するのは、そもそも無理なのかもしれない、などと考えました)

2008年9月2日火曜日

Stanford MBAに留学する(16) 何があなたにとって一番重要ですか その3

Stanford MBAで同期になる友人(日本人ではない方です)が、「弟が遊びに来る」というので、ランチを一緒にしてきました。

友人の弟は、MBA留学をすべきかどうかで迷っているようでした。
どうやら「受験の負担などのマイナス面を考慮するとチャレンジするべきなのか迷ってしまう」ということのようです。

「結構みんなそうなんじゃないかと思ってます。私自身も受験を決意する前は大手渉外法律事務所に勤務していて、事務所を辞職してMBAを受験するかどうか迷っていました。結局、友人と話しているうちに、『生涯を通じてチャレンジをしていきたい』と思いたって受験を決意し、大手法律事務所を辞職して、知財とビジネスに強い小規模の渉外法律事務所に移りました。」

というような話から始まり、話題は、Stanford MBA受験で最も難しい「何があなたにとって一番重要ですか」のエッセイに移りました。友人に「何を書いたんですか」と聞くと、

「小さい頃から色々な国を転々とした経験を書いた。新しい国に行くと言葉も違うし、文化も違った。住む国が次々と移り変わったことから、僕は、『自分が誰なのか』をいつも探していた。それに、他の友達に発音を真似されてからかわれたりもした。クラスのある委員に立候補したことがあった。立候補者は準備した原稿を皆の前で読み上げないといけない。ところが、僕の一人前の子が、僕の準備していた原稿を(さも自分の原稿であるかのように)読み上げてしまった。自分の番が来た時、僕はとても恥ずかしかった。アドリブで一生懸命スピーチした。クラスの皆は僕に拍手をくれて、僕を選んでくれた。それから僕の人生が変わった。どこの国にいても、積極的に委員長などに立候補するようになった。」

今その彼は、自分の祖国の投資銀行で、対日本(彼から見ると外国)のビジネスに関して要職に就いています。

「それで何が君にとって一番大事なんだい?常に挑戦しつづけることかい?」と聞くと、

「それは自信だ。幼い時からの経験が、僕にどこにいても決して折れ曲がることのない自信をくれた。これはStanford MBAでも同じだ。」

と言っていました。

それを聞いたとき、彼のそれまでの発言や身振り、振る舞いの根本に触れた気がして、なぜか少し感動してしまいました。自信という固い核・原石のようなものがあって、そこを中心にthriveしてきて、今の彼があるのか、と感じました。