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2009年7月27日月曜日

Stanford GSB授業 ジャッジメント:行動組織学2

行動組織学の第2回目の授業では、「人は見かけによらない」ということを学びました。

インタビューのときでも、ベンチャーキャピタリストに対するピッチのときでも、人は、他人を、スナップショットで判断してしまっているようです。そして、そのような判断には、バイアスがかかっていることが多いようです。


どうやら、私達が、他人を判断するときには、以下のようなバイアスがかかっていないかどうか注意すべきようです。

エゴセントリズム:チームの中での自分の貢献を過大に評価する結果として、他のチームメートの貢献を過少に評価してしまう

ファンダメンタル・アトリビューション・エラー:環境や状況に起因する事象を、個人のパーソナリティや行動に起因すると勘違いしてしまう

コントラスト・エフェクト:対象の属する集団との比較で、対象を判断してしまう(ある国でトップだったスポーツ選手が、別の国では目立たないなど)

ハロー・エフェクト:ある人の普段の評価が、特定の行動の評価に影響すること(例:いつも成績が良い学生は、ある日たまたま授業態度が悪くても、教授が気が付かない)


自分に似ているか(Similar to Me):自分に似ている人の評価は甘くなる(例:オーケストラのオーディションをカーテン越しに行ったところ、女性の採用率が圧倒的に高くなった実験)

セルフ・フルフィリング・プロフェシー:対象に対する先入観を基にして、人の対象に対する接し方が決まる。そのように接しられた対象は、予想された通りに行動してしまう。その結果、益々、先入観が裏付けられてしまう。そして、その連鎖に陥る。(自分で作った例:ジャイアンは、のびたが、かつあげに応じると予想しているので、のびたに、かつあげをする。のびたは、そのようなジャイアンの行動に対して、ジャイアンの予想のとおりに対応する。ジャイアンは、自分のもともとの予想が裏付けられるので、ますますのびたにかつあげをするようになる。そして、その連鎖に陥る)

そうすると、例えば、就職後は、最初の2ヶ月が、もっとも重要ということになるらしいです。この期間に、先入観が固まり、また、その後は、セルフ・フルフィリング・プロフェシーで物事が進んでいくそうです(最初の先入観をもとにして、その人に対する上司の接し方が決まる)。

ハロー・エフェクトやセルフ・フルフィリング・プロフェシーは、弁護士も結構気にしています。負け筋の裁判を頼まれて、「お金も余りないのだが、やるだけやってみたい。この金額で出来る範囲で戦って欲しい」と言われても、下手な訴訟遂行をすると、(弁護過誤で訴えられるリスクも勿論ありますが)裁判所から、「この弁護士は駄目だな」と思われて、その後、別の事件を持っていっても戦いにくくなることが多いようです。逆に、裁判所に、「この弁護士は凄い」と思わせると、その後別の訴訟でも色々と戦いやすいようです。

では、他の人を正しく判断するには、どうしたらよいのでしょうか。
一つは、以下のステップを踏んで、環境に起因する事象と個人に起因する事象を分けることが重要なようです。
ステップ1:同じ状況で、他の人だったら、どのように行動するか。
ステップ2:この人は、いままで、同じような状況で、どのような行動をしてきたか。
ステップ3:この人は、違う状況では、どのような行動をしたか。

逆に、他の人に、自分を正しく判断してもらうには、どうしたらよいのでしょうか。
・自分の置かれている状況を相手にきちんと説明する。
・自分が相手にどう評価されているかを知り、それに対応した行動をとる。評価が間違っている場合には、修正されるような事実を持っていく。
・自分自身のことを良く知る。これは、自分で考え込んでしまうのではなく、他の人との会話の中から、自分が他の人にどう写っているのかを、みつけていく。

最後の点は、ビジネススクールでは、結構問題になることがあります。
ある日のこと。
プロジェクトのテーマを決めるデッドラインが迫っているので、私は、アメリカ人の学生に、土日に、
「早くしようぜ」とメールを送り、電話もかけまくっていました。
しかし、それでも、アメリカ人の学生とは連絡がつきません。
そこで、「あと3時間で返信くれなければ、とりあえず仮決めということでテーマを提出するけど、嫌だったら後で変更できるからね」とメールを一本入れて、他のチームメート全員のコンセンサスをとったうえで、プロジェクトのテーマを提出しました(注:早く提出すれば提出する程、有利になるプロジェクトだった)。
ところが、アメリカ人の学生が、「もう一緒にやっていられないから他のチームにいく」と激怒しました。

このときには、自分たちの置かれていた状況を良く説明して、また、日本とアメリカとの土日の仕事の考え方に対する文化の違いを説明して、相手に納得してもらいました。そして、「自分自身について知ることがGSBでの学習のGoalの一つ何だ」と説明して、相手に対して、私の行動について、どう感じたのかをインタビューしました。1週間くらいで、すっかり仲直りしましたが、自分自身についてよく知り、また、このクラスで学んだことを実践するうえで、良い勉強になりました。

Stanford GSBで学習した人間行動のバイアス(行動組織学1)

スタンフォードGSBでは、秋学期に、行動組織学の授業を聴講することになります。
最初の授業では、人間の行動や考え方のバイアスについて学びました。

授業は、レースに出場するか否か迷うレーサーの逸話から始まります。
レースに出て、事故が起きると、スポンサーがつかなくなり、今までのすべてが台無しになってしまいます。
一方で、レースに出ない場合には、大口のスポンサーが離れて、財政的に窮地に立ってしまいます。
エンジニアからは、「寒い日には(マシンが壊れやすいので)レースに出ない方が良い」と不吉なアドバイスをもらいますが、今まで事故が起きた日のデータを見てみると、寒い日にも暖かい日にも均等に事故が起きています。
レースの日は、氷点下の温度。
このような状況で、レーサーはレースに出場すべきなのでしょうか。



意思決定をする際に、バイアスがないか判断する際には、いくつかポイントがあるようです。
・サンプルのとり方にバイアスはないか。(事故が起きた日だけではなく、事故が起きていない日の温度のデータもみるべきではないか)
・コンファメーションバイアスはないか。(自分の頭の中で答えが出来上がっていて、答えを裏付けるデータだけを探していて、答えを否定するデータは頭が拒否していないか)
・フレーミングバイアスはないか。(人間、「リスクをとらないと100%損をしますよ」と言われた場合と、「今の状況なら確実にちょっとだけお金をもらえます。リスクをとれば、もっともうけられるかもしれません。」と言われた場合では、同じ状況でも違う意思決定をしがちなようです)
・社会的な地位(上下関係)によるバイアスはないか。(ボスだから良く知っているはずだ、というバイアス)
・ アベイラビリティーバイアスはないか。(頭の中でイメージしやすい状況の方が、正しいものに思える。「シンプルでないから間違っているはずだ」などと考えるバイアス)
・デフォルトバイアスはないか。(例えば、チャレンジャー号の事故の際には、NASAは、意思決定の前に、打ち上げを公式に発表してコミットしてしまっていました)
・コミットメントがエスカレーションしていないか。(少しづつ、コミットメントする量が増してしまい、最後は、大きなコミットメントをしてしまう。)

仕事でも、裁判では、結構、利用します。
例えば、弁護士の間では、「裁判官には心証の雪崩といわれる現象がある」と言われています。裁判官が一定以上結論について印象を抱く(「どうもこっちの言っていることの方が正しそうだぞ」)と、その後形成が逆転することは殆どないという意味です(コンファメーションバイアス)。
また、裁判では、短くて分かりやすい書面が書けなければ、負けであると言われています(アベイラビリティバイアス)。

そういえば、友人(といってもかなり年上)から頼まれて、彼が起業したスタートアップのアドバイスをちょこちょこしているのですが、少しづつコミットメントの量が増してきてしまい、ついにウェブサイトに載せられてしまいました。
http://hbcmediainc.com/company/
これもコミットメントがエスカレーションする一例かもしれません。