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2019年5月18日土曜日

留学するには素晴らしいタイミング

2ヶ月ほど前にスタンフォードビジネススクールのディーンだったガース・サロナー教授とランチをする機会がありました。ディーンは、セコイアキャピタルのアドバイザーで、政界と財界のトップと繋がっています。スタンフォードビジネススクールの良いところの一つが、教授やクラスメートとの繋がりを保てること。入学した時には思いもよりませんでしたが、クラスメートにも、起業した会社やアーリーで入った会社が、時価総額1000億円を超えた人がたくさんいます。最近面白かったのは、髭剃りの会社を起業して1500億円で売却したクラスメートです。

ディーンとのランチの目的は、新しく起業した人工知能のスタートアップについてアドバイスをもらうのが目的でした。

「This is great. I can clearly see the need!」

と言ってもらえ、その後、教授の得意の「テクノロジー会社が市場を全てとる(Winner's Take All)ために取るべき戦略」について、教えてもらいました。

その時、世界経済について議論になったため、今後、スタンフォード大学ビジネススクールが受け入れる層について質問しました。

私が留学をした2008年は、日本人でスタンフォードビジネススクールに留学したのは3人。1980年代には、石を投げれば日本人に当たるという状況だったと聞きますので、米国中心の国際社会における日本のポジションの低下を意味していると思います。2008年には、逆にインド人や中国人は20人、30人と留学していました。

2020年からは、どうなのか。

私にも中国人の友人がたくさんいますので、悲しいことですが、ディーンは、中国人の留学生の数はどんどん減ると話していました。

冷戦の時には、米国にとって日本が大事で、ソ連の崩壊とともに、極東の安定性に寄与していた日本の重要性は下がりました。

これからは中国との冷戦となり、米国にとっては、日本とインド(インドは実はロシアの友達でもある)との連携が大切になる。

中国人の友達と会う度に、複雑な気持ちになりますが、日本人留学生にとっては、アジア人に割り当てられているスポットがおそらくあるのでしょうから、留学には大きなチャンスです。

冷戦の時と違って、世界は三極化し、米国経済を崩壊させないように戦いが進むわけだと思いますが、今後新しい10年間が始まり、それが世界にとって良いことかは分かりませんが、日本にとっては、最後の大きなチャンス。

その転機を迎えるように、年号が変わり、オリンピックが来年にあります。日本の未来は転機を迎えそうです。







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2017年1月20日金曜日

Yes We can

アメリカは東海岸でちょうど1月20日になった。

いよいよ新しい大統領が誕生する。

オバマについては、色々と批判があった。
・オバマケアのせいで、税金が高くなったし、医療機器のイノベーションが阻害された
・シリアが滅茶苦茶になってしまった
・シェール革命を阻害した
・シカゴの犯罪が悪化した
・ベンガジでアメリカ人が犠牲になった
・上院と下院の決議をとるのではなく、Executive Orderを多用して意思決定を押し通した
などなど。共和党のアメリカ人とご飯を食べに行くと、知識人層であるほど、食事の間、ずっと文句を言っていることも珍しくない。

トランプは、このようなアメリカの人の心をうまくつかんだのだろうというのがアメリカの新聞の論調だ。

ふたをあけてみると、ヒラリーはカリフォルニアで400万票トランプよりも票(Popular Votes)をとり、ニューヨークで170万票トランプよりも票を取得し、全体では、200万票トランプよりも票を取得したが、トランプに負けた。アメリカでは、州を制した候補者が、その州のもっているElectoral Votesをすべてとれるが、カリフォルニアは55票、ニューヨークは29票しかElectoral Votesをもっておらず、全体では538のElectoral Votesがあるので、人口が集中しているカリフォルニアとニューヨークで大勝しても、他の選挙区で負けてしまうと大統領になれない。

「皆オバマに嫌気がさしたから、方向転換でトランプに投票したのだろう。カリフォルニアとニューヨークだけが例外なんだ」というのが多くのアメリカの新聞(特にWSJなど共和党の新聞)の論調だ。


こうやって叩かれているオバマをみると、複雑な気持ちになる。



オバマが大統領になったのは2008年。私がアメリカに来た年だ。

スタンフォードビジネススクールのアプリケーションを書いているときに、「オバマになったらいいね」とアメリカ人のカウンセラー(デバリエ)に言われたのをよく覚えている。

オバマが大統領になった日は、スタンフォードの寮にいた。勝った瞬間に、学校中に学生達の拍手の音が鳴り響き、寮まで聞こえてきた。

新しい時代へのHopeだと思った。
はじめての黒人のアメリカの大統領。若くてカリスマのあるスピーチ。ノーベル平和賞の受賞。
ビジネススクールでは、オバマのようなリーダーシップをとる方法なども習った。
ビジネススクールでつらいとき、クラスメートはオバマのスピーチをきいて、気分を鼓舞していた。
ビジネススクールのコミュニケーションのクラスでは、「スピーチの力がオバマを大統領にした」と習い、スピーチを徹底的に練習した。
ビジネスプランコンペティションの前には、オバマのスピーチを何百回もみて、盛り上げ方、ストーリーのスピーチの入れ方、話し方を真似した。

Yes, We canと何度聞いたことか。

まさにロールモデルであり、理想の体現だった。


理想と現実は違うから、政治の現実がうまくないから、ということで、若い人のロールモデルと希望の象徴をあまり叩いてしまって良いのだろうか。

どんなに叩かれても、どんな現実を前にしても、オバマは自分の理想とPrincipleに忠実だった。




オバマの最後の文章は、下記のように終わっている。

When the arc of progress seems slow, remember: America is not the project of any one person. The single most powerful word in our democracy is the word "We". "We the People" "We shall overcome"

Yes, we can.





トランプが大統領になったのは、Back To The Futureの未来の世界の次の年だ。
昔映画をみていたときには、未来のその頃には車は空を飛べるのだろうか、とか考えていたが、結局、空を飛ばなかった。

トランプは未来の幕を開けられるのだろうか。

私は共和党でも民主党でもないので、良い人なら歓迎だ。

大統領が変わっても、一人では何も変えられないから変化はおきない、という人もいる。

だが、リンカーンやルーズベルトなど、例外もいる。今回は上院と下院の両方の過半数が共和党でもある。

トランプはエクソンモービルのCEOなど超大物を閣僚に起用した。
期待がもてるとともに、あまりの実力、経験と迫力に怖くもある。

エネルギーでも、金融でも大きな変化が起きるのではないだろうか。

オバマケアが新しい制度になって、医療機器のイノベーションの時代がくるのか、Federalのシェール油田が解禁されるのか。石油価格があがってシェール革命に火がつくのか。不動産以外の分野でGDPがもっと伸びるのか。

強いアメリカをつくろうと思ったら、注目するのはそういうところだろうか。

トランプを怖がる人も多い。2015年の秋に、将来を予言しようという話になって、Accidental Super Powerという本を起業家の友達が勧めてくれた。アメリカは大国なので、戦後の同盟国に依存する体制が崩れて、韓国や日本などの同盟国に対する安全保障の関係が崩れ、50年後に世界はカオスに陥る、という予言が書いてある本だ。当時、アメリカ国防省の幹部(Scientific Advisory Boardの議長)に夕食を食べながら、意見を聞いたところ、亀のような目で睨まれて、そういうことはない、と完全に否定されたが、今はどうなのだろうか。


友達の子供は、トランプが勝った日、雨上がり窓の外をみて、綺麗だね、と呟いていた。新しい時代は、どんな時代になるのだろうか。

今よりももっと平和な世界となって欲しい。

協調しあう世の中を、皆でつくれるのだろうか。

何があっても、希望を忘れず、未来を信じ続けたい。

Yes, we can.

2013年10月26日土曜日

起業した会社の今


私がシリコンバレーで起業した会社は、うまくいっているようで、先日も以下のような発表がありました。
http://www.prweb.com/releases/mOasis/News/prweb11200961.htm

福島のためにつくそうと自分の会社は退職しましたが、それでも自分の会社がうまくいっていると、とても嬉しい気持ちになります。

上記のプレスリリースにもありますが、私が自分の後任に雇ったEBayの元最高執行役にかわって、モンサント出身の農業業界のCEOだったスティーブという方 が、私の起業したモアシスのCEOになります。

こちらの水ビジネスのカンファレンスでも、スタンフォードビジネススクールの卒業生が起業した会社として紹介され、「スタンフォードMBAの卒業生のビジョンはすべて当たっていた」と紹介されたようで、参加したプライベートエクイティの友達が後で教えてくれました。

いつの日か砂漠がすべて畑に変わる日がくれば、世の中が変わると思うのですが。

2013年10月9日水曜日

外資系(米国本社)での昇進・給料交渉

 
私も、米国企業に就職して約一年、そろそろ、昇進と給料アップが欲しくなった。

ご存知のとおり、「ひたすら忍耐」の日本社会と違い、米国社会では、交渉しない者には、昇進と給料アップはない。だから、ビジネススクールの交渉の授業にも人気が出るのである。

そこで、今回は、昇進・給料アップの方法を紹介しよう。

1.ダメな例

まずは、アメリカ人に、よくあるダメな例を紹介しよう。


マッチョなアメリカ人で、ろくに給料アップ交渉をしたことがない人(軍人に多い)は、以下のようなロジックで勘違いをする。

雇用者が給料アップをするインセンティブは、辞められないことである
したがって、「辞めてやる」とオファーをちらつかせながら交渉しなければならない
また、
自分が辞めると、いかに会社が困ったことになるかを分からせなければならない

したがって、喧嘩腰で、「俺はお前がいなくても困らない。でもお前は、俺がいなると困るだろう」と交渉するのが良い


本当にこういう交渉が多いのである。

しかし、雇用者の側は、上記のような話をされても嫌になってしまうだけである。

使用者がむかついて、給料交渉の結果、従業員が首になった例もある。


2.良い例


スタンフォードビジネススクール時代のコーチのヒューに電話して、どうしたらよいか聞いてみた。ヒューは、ヒューレットパッカードの副社長のコーチもしている実力者だ。

ヒューによると、「フィードバックが欲しい」と話を持ちかけるのが良いそうである。


上司からすると、部下から、

「出来ているところ・出来ていないところ」をフィードバックして欲しい

と相談されると、悪い気はしない。

普通のアメリカ人の上司であれば、

「向上心があり、素晴らしい」

という評価になる。

さらに、その過程で、自分のことをうまくアピールできれば、

「そういえば、この人は辞めると困る」

ということになる。

そこで、「実は、これだけ貢献したのですから、・・・」と給料アップと昇進アップを持ちかければ、アメリカ人は、嫌な気持ちはしない、ということらしい。


そして、スタンフォードビジネススクールでは、

「重要な会議の前には、必ず、メモをつくり、鏡の前で徹底的に想定問答をし、練習せよ」

という鉄則をたたきこまれる。



今回も、それを実践した。自分の貢献した点、足りないと思う点をまとめ、相手がついてきそうな点も紙にまとめた。そして、鏡の前で喋る練習をした。




そして、社長と交渉をした。


3.結果

結果、そこそこの昇進と給料アップとなったが、「こうなったら最高だな」というケースには到達しなかった。

徹底して準備したはずが、なぜベストケースにならなかったのか、考えて見た。

ひとつには、想定問答のつめが甘かったことがある。 しかし、より本質的な理由がある。

スタンフォードビジネススクールの交渉のクラスでは、マーガレット・ニール教授から、

「交渉では、どれだけAspirationを高くもつか」

が重要であると習った。

今回、「こうなったらよいな」というケースについて、「こうなるのが当然」と思えなかったのが、ベストケースに到達できなかった原因である。





 このことを、上記のヒューからは、別の言い方で、以下のように習ったことがある。

「オバマ 大統領のスピーチを聞いたことがあるかい?言葉の一つ一つに信念があるだろう?こういう話し方ができれば、それだけで相手を説得することが出来るよ。」

絵にするとこんな感じだろうか。
 


一言にすると単純で、信念を持つことが大切、ということである。

2013年6月14日金曜日

起業した会社のアップデート

スタンフォードビジネススクールを卒業してすぐ、砂漠を緑化したいという一心で、不毛な土地を、農地にする会社(モアシス)をシリコンバレーで設立しました。不毛な土地は、ただ同然の値段で安く買えることが多いので、これを、友人の教授が開発した特殊なプロダクトを使い、低コストで、農地に変換し、キャッシュフローを改善すれば、コストよりも利益が多く、砂漠のような不毛な土地を買って緑化(農地化)すればするほど儲かる、というコンセプトの会社です。


その後、去年の今頃、ゴールドマンサックスから、福島の放射性廃棄物を綺麗にするアメリカの会社がある、と聞き、第一原発にセシウムを吸着する設備を納入するアメリカ企業の日本代表に転職しました。

モアシスについては、かわりの社長を雇い、十分な投資を受けて資金潤沢にしておいたうえで、(創業者株式を大量に持って)転職をしたのですが、それから1年が経ち、どうなっているか気になったので、投資家に電話してみました。

「プロダクトは完璧に実証されたし、マーケットも実証された。すべて君のビジョンのとおりだった。資金も潤沢だよ」という返事とともに、今後の計画を聞かされ、それが素晴らしい内容だったので、安堵しました。かなりの速度で成長しているようです。

クリーンテクノロジーの会社は、インターネットと違い、以下のような特徴があります。

・マーケットの規模が莫大に大きいことが多い(インターネットは市場が小さいこともある)
・設備投資費が大きく、ペイバックが長いことが多い

つまり、ハイリスク・ハイリターンなので、ホームランか、空振りのどちらかになることが多いです。

モアシスの場合も、本当に世界の砂漠と不毛な土地をすべて農地に出来れば、と夢は膨らみましたが、まだまだどうなるか分かりません。フェースブックで一人友達をつくるのには、1秒しかかかりませんが、作物が育つには3ヶ月かかります。インパクトをもたらすには時間がかかります。

2012年12月29日土曜日

隅っこを見ることによる将来の予測

「『正しいアイディアで会社をスタートするべきだ』と考える起業家が多い。大きな間違いだ。正しいアイディアであり、かつ、皆が失敗すると考えているアイディアでスタートしなければ失敗する。皆が正しいと思ったときでは遅すぎるから。」(アンディ・ラクレフ)

グーグルへの投資などでシリコンバレーの歴史を作ってきたセコイア・キャピタル。その元パートナーのマーク・スティーブンスの個人資産は、フォーブズによれば、1000億円を超えるといわれます。

スタンフォードビジネススクールでは、彼と何度かランチをする機会があり、フェイスブックの創業者のマーク・ザッカバーグがセコイア・キャピタルにパジャマを着てプレゼンテーションに来たときの話をしてくれたり、私の創業した会社のアドバイスをしてくれたり、という感じだったのですが、ある日のこと、

「起業家に必要な能力の一つに将来を読むことがある。そのためには、隅っこを見る能力(ability to see corners)が必要である。」

と話してくれました。

彼の言葉の前半は簡単です。
将来を予測することで、競争相手に対して、先手をうつことが可能となり、例えば、ビジネススクール用語でいうfirst mover's advantageが得られます。

しかし、後半はどういうことなのでしょうか。
「隅っこを見ることで、将来を予測する」とは、どういうことなのでしょうか。

これについて、今回は、ベルリンの壁崩壊(!)を例にあげて考えたいと思います。

日本に出張中、とある日本の知識人に、「ベルリンの壁の崩壊って予想できた」と聞いてみたところ、「出来なかった」という返事が返ってきました。

しかし、同じことを、ドイツの東側にあるハンガリー(ドイツとの関係で「corner/隅」のような存在)の知識人に聞いたら、人によっては、「予想できた」という答えが返ってくると思います。


ハンガリーは、東側諸国で、中立国であるオーストリアに面しています。1989年、ブッシュ大統領は、ゴルバチョフが、ソ連を維持するために軍事力を使わないという情報を耳にして、「テストしてみよう」と思い、ハンガリーに対して工作をしかけ、ハンガリーとオーストリアの国境の有刺鉄線を除去させます。その後、ブッシュの工作は続き、ハンガリー政府は、東ドイツの人が、西側に移動するのを色々と助けるようになります(こちらに詳細)。この一連の動きが、ベルリンの壁崩壊につながったといわれています(こちら)。

ハンガリーという隅(コーナー)に着目した人は、ベルリンの壁の崩壊を予想できたかもしれません。

将来は、予測出来ないものではなく、予測が当たるか当たらないか、確率の問題となると言えると思います。

したがって、「将来は予測出来ない」と割り切ってしまうのも問題ですし、逆に、「自分の予測は絶対に当たる」と傲慢になるのも問題なのですが、実は、両者とも、リスクをとらない人の立場なのです。前者は、予測出来ないから、と思って、行動をしない人。後者は、予測出来るから、絶対に当たると思って、行動する人。リスクをとらない人の効用曲線は、以下のようになり、直線でありませんから、自分のリターンを最適化することが出来ないと考えられます。




情報化時代では、能力のある人の間では、情報の格差が減っていくと考えられますから、同じ能力のある人の間で、差をつけようと思った場合、もう一歩踏み込んだ戦略が必要となると考えられます。

リスクをとっていることを認識して、「賭けに出て、賭けに勝つ」ことで、自分自身の効用曲線を変更し、直線に近づけることができ、同じくらい優秀な人に対して、リターンの期待値をあげることが可能になると思います。

もっとも、これに対して、通常の人以上の情報があっても、利用できない人も残念ながら、存在します。例えば、2001年8月6日、9月11日よりも前に、CIAは、飛行機を利用した攻撃を予想していました(以下資料)。この情報は大統領に届けられましたが、結果は、ご存知のとおり、非常に残念なものでした。


2012年1月20日金曜日

勝ち組になるには?!

「『正しいアイディアで会社をスタートするべきだ』と考える起業家が多い。大きな間違いだ。正しいアイディアであり、かつ、皆が失敗すると考えているアイディアでスタートしなければ失敗する。皆が正しいと思ったときでは遅すぎるから。」(アンディ・ラクレフ)



ゲームの起業のアイディアが浮かんだので、「グリーってどうなの?」と日本にいる弟に質問したところ、「学生の間で一番人気の企業だよ!」という返事が返ってきた。グリーは、私が、10年くらい前にスタンフォード大学に夏季留学したときに、留学組日本人の間で話題になっていた。当時は、日記を友達と共有できたりする小さなネットの会社だった。「絶対大きな会社になるわけないよね」と思っていた。それが、今では、「アップルを打ち落とす勢い」と噂されることもあるとか。

ちなみに、私が夏季留学していた10年前の当時、日本ではヤフーの方がグーグルよりも圧倒的に人気があった(グーグルはオタク系の雑誌に登場する程度だった)のだが、当時からスタンフォードの学生の間では、「Y.I.、ヤフーよりもグーグルを使った方が良いよ」と流行っていた。


「グリーみたいなゲームの企業が日本で人気が出ているということは、ゲーム業界は、『もう遅すぎる』のかな?」と思って、スタンフォードMBAを散歩して、現役の学生に意見を聞いてみた。案の定、「ゲームでファンドレイズするのは今は難しいですよ。皆が業界に進出してしまったので、遅すぎる感があります。あと、ジンガとかゲーム企業が期待ほどは儲けなかったのも痛いですね。」とのこと。


農業の分野で起業した私。起業した当時は、クラスメートから、「それって、ノンプロフィット?」と叩かれ、一緒にビジネスプランをつくろうと友達を誘うと、「農家は保守的だから上手くいくわけない」とことごとく断られた。ところが、起業した1年後には、スタンフォードビジネススクールに、「農業クラブ」が誕生した。今日は、「アボカド農家が講演しにくる」ということだったので、「3人聴講していれば良い方かな」と思って教室にいくと、聴衆で教室が満席だった。合格者の中にも、農家の「トマト戦略家だった」といった経歴の持ち主が現れ始めた。起業した当時、農業ビジネスに人気が出るとは思っていなかったので、全くの偶然である。



ところで、市場が大きくなるだろうと思って、現在注目しているのは、太陽電池業界である。スタンフォードMBAの学生の間では、「遅すぎる」・「沈むゆく業界だ」などと叩かれ、現在は人気がない。確かに、中国では、星の数ほどの太陽電池の会社が出来て、皆が太陽電池をつくっている状況なので、太陽電池製造企業そのものを設立するのでは、「遅すぎる」ので、上手くいかないだろう。

ムーアの法則を御存知だろうか。

インテルの創業者のゴードン・ムーアが、半導体がどれだけ将来安くなるかを予言した法則である。

ムーアの法則は、シリコンバレーの基盤の一つを作ったと言っても過言ではないだろう。しかし、「コストがどれだけ安くなるか」という予想自体については、実は、まったく難しいものではない。どの業界でも、「将来コストがどれだけ安くなるか」を予想するための法則は存在し、一般的には「ラーニングカーブ」と呼ばれる。通常、製造量が現在の2倍になったときに、コストが、過去にどれだけ下がってきているかをグラフにして分析しただけのものである。正確なことが多い。

太陽電池の場合のコストカーブは、以下のビデオで紹介されている。講演者のリチャード・スワンソン氏は、スタンフォード大学教授で、サンパワーの創業者。太陽電池業界を作り出してきた伝説の人物であり、「彼の予言のとおり太陽電池のコストが下がってきた」として有名である。是非、ビデオを見て欲しい。

Richard Swanson | Energy Seminar - November 14, 2011 from Cyperus Media.com on Vimeo.




さて、ビデオを見たところで、以下の点を考えてみて欲しい。
1:本当に予言のとおり、コストが下がるか?
2:予言のとおりコストが下がるとして、太陽電池業界は爆発的に伸びるか?
3:太陽電池業界が爆発的に伸びることが、事前に分かっていたとして、どのような会社を起業するか?


私は、1の回答はYESだと思う。ラーニングカーブは、様々な業界に存在し、予測は当たることが多い。2の回答もYESだと思う。計算をすれば、補助金なしで太陽電池が石炭のコストに勝つのは、数年以内という結果を導き出せると思う。エネルギー業界は、数百兆円の市場規模なので、乱暴な言い方をすれば、それへの道が開けることになる。懸念すべきリスク要因は、ヨーロッパの政治リスクとかだろうか。

問題は3である。ヤフーやグーグルが出てきたときには、「インターネットのインフラとして、道案内になるサイトが必要」としてたくさんの検索エンジンサイト企業が戦っていた。このようなアナロジーを使うべきなのか、車とか製造系ビジネスが伸びた時代のアナロジーを使うべきなのか。考え始めたところである。

2012年1月13日金曜日

文化のない筋肉質な国アメリカ

「(ジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』は)1930年前後、自分の利益のためには弱者が死のうと生きようと勝手だという資本のエゴイズムと非人間性を、アメリカ以外ではあらわれにくい筋肉的なタッチで露呈してみせた」(司馬遼太郎『アメリカ素描 (新潮文庫)』)

司馬遼太郎の『アメリカ素描 (新潮文庫)』では、アメリカは、文明色が濃く、文化の色の薄い、筋肉質な人工国家であるとされている。確かに、アメリカンな食事、といって、パッと連想するのは、ハンバーガー。

アメリカンな食事: ハンバーガー(!)
日本の食事:   懐石料理や寿司
イタリアンな食事: パスタ
フランス料理:   フォアグラとか
ドイツ人の食事:  ビールとかポテト料理とか

そんなアメリカだが、実は、「筋肉誇示」という特殊な文化を持っていると思う。アメリカが「ハリウッド体型」という文化を輸出したことで、世界中で、人間の美しさに対する価値観が変わったらしい。例えば、平安時代、女性は、ふっくらとして、下膨れの顔が良しとされたらしく、日本人が、ハリウッド映画のようなスタイルになりたいという欲求が生まれたのは最近のことらしい。

本を読んで、「なるほど」と思った。そんなとき、「会社の経営者としてプレゼンするときに、体が小さくて、若く見えると不利だから、これからは電話でプレゼンした方が良い」と酷いことを言われた。私は177センチで痩せ型なので、アメリカでは大きい部類には入らない。アメリカでは、背が高く、筋骨隆々の白人が出世する。逆に、日本人は差別される傾向がある。

そこで、「ジムに行きたいんだけど」と、健康増進系のスタートアップを経営する元クラスメートに相談したところ、「最近、フットボール選手やSWATの人とかが通っていて、とても伸びているらしいるジムがあるらしいよ。一緒に行こう。」と誘われた。

そして行き始めたのが、下のジムである。




警察官やフットボール選手が行っていると脅かされ、びくびくしながらジムに入ると、意外と生徒には、ぽっちゃり系の人達がいた。

実は、このジム、妊婦でも、海軍将校でも効果があるというのが売りらしい。同じクラスに属する生徒は、同じメニューをこなすことを要求される。つまり、妊婦の女性も、ジム通い数十年のエキスパートも、同じメニューをこなすのだ。

通いはじめて3ヶ月になるが、効果を実感している。アメリカは得意分野のレベルは高い。。。



2011年8月21日日曜日

憧れの人の真の姿はワニか鮫か

3年前、スタンフォードMBAのエッセイに私は以下のように書いた。

「日本には良い技術がたくさんある。東芝はフラッシュメモリーを発明した。ソニーにはアイポッドにつながるアイディアがあった。しかし、技術を世界で実現することにかけては、日本企業よりも、アップルが上だったように思う。私は、ベンチャーキャピタリストになって、日本の技術を世界に実現することに貢献したい。」

グーグル、アップル、シスコ、アマゾンなどなどアメリカの成功の歴史をつくってきたクライナーパーキンスやセコイアキャピタルなどのベンチャーキャピタル。

彼らに憧れていた。そして今でも。



起業後に、シリコンバレーの伝説のベンチャーキャピタルと呼ばれる人達にプレゼンテーションしまくり、投資も受けた。


そして学んだことがある。


彼らの多くは、シリコンバレーで、アリゲーター(ワニ)とかShark(鮫)と呼ばれている。



フェイスブックの創業者のマーク・ザッカバーが、セコイアにパジャマでプレゼンテーションをしたことは良く知られている。

これは本当の話だ。メディアがウソの報道をしたのではない。

マーク・ザッカバーが気が狂っていたわけでもない。

わざとやったのだ。

フェイスブックのショーン・パーカーには、セコイアから自分のうまみを吸い上げられてしまった悲しい過去があった。

そこで、マーク・ザッカバーに、「同じ間違いをするな」と囁きつつ、心の中でセコイアに復讐することを誓ったのだ。



アップルのスティーブ・ジョブズも、セコイアから投資を受けた。彼が会社を追い出されたときに失った株式を、もし、今も持っていたら。。。



ところで、私がセコイアからコンタクトされ、投資の話を受けたときには、パートナーから、「我々は創業者にフェアだよ」と言われた。

前の話と矛盾するようだが、セコイアはウソをついていない。

セコイアが投資家として入ることで、会社の株式の価値は、平均して10倍になる。

創業者は、株をたくさんもっているので、その恩恵を受ける。

全体のパイが増えるので、山分けをしても、創業者はメリットを受けるのだ。



私も何度も何度もポテンシャルな投資家と対立した。


最近、新しく従業員を雇おうとしたときの話。


ポテンシャルな投資家A(セコイアではないです):
「Y.I.、良いビジネスマンというのは、相手の気持ちを読み取り、ディールをクローズするためにはどしたら良いかを常に考えるものだ。あいつにはそれを感じない。あいつは、とにかくおしゃべり(chit chat)をして、自分の考えていることを単に説明するタイプだ。相手と関係を構築しようという気持ちも感じられない。洗練されてもいない。今までは●●というタイトルだったようだが、生まれながらにして、マーケティングのタイプだ。雇った方が良いと思うが、とりあえず、タイトルは、『acting ●●/ VP of Marketing』として、●●の肩書きについては、後で考え直した方が良いと思うよ。」と言われた。

ちなみに、acting というのは、この場合、temporaryと同じ意味で、あとで降格するという意味だ。


私は、このポテンシャルな投資家のいう「弱点」にはすべて反対だ。相手との関係構築もうまいし、洗練されているし、今までのレジュメをみると、一人で巨大な売上げをあげており、売込みに成功してきている。

私みたいな若造が、「あなたには、acting ●●というタイトルをあげよう」と発言した瞬間に、そっぽを向かれるだろう。


憧れの人とはいえ、パーフェクトではないのです。

2011年8月17日水曜日

ダイアモンドオンラインに載りました

スタンフォードGSBのアラムナイの投資家にプレゼンテーションをしようと連絡をすると、以下のURLが送られて来ました。


シリコンバレーで開催された、とあるビジネスプランコンペティションで優勝したときの記事のようです。


昔はビジネスプランコンペティションに出る前には、いつも何度も何度もプレゼンの練習しました。
日本人なので、練習しなくては、英語の出来だけで負けてしまうからです。
今となっては、毎日毎日ひたすらベンチャーキャピタルにプレゼンするのが仕事なので、練習するというよりは、いつでもプレゼンできる状態になっています。


そういう意味では、プレゼンテーションをする起業家は音楽家に似ているのかもしれません。
若いときには発表会の前に一生懸命練習します。
プロになると、ドボルザークの新世界とかであれば、スコアが全部頭に入っていて、リハーサルだけでも本番を完璧に、こなせるという話を聞いたことがあります。


ということを考えながら、好きな曲のユーチューブを聴いてみました(上から3番目が有名な曲ですが、指揮者がスヴェトラノフなので4番目が上手な気がします)↓












曲を聴いていて、弾いているつもりになって、夢中で楽しんで集中している自分に気がつきました。

なんとなく、起業した会社も、これと同じように大切に扱わなくてはいけないという気がしました。

2011年7月17日日曜日

シリコンバレーのドラえもん(?!)

「失敗をすることは構わない。しかし、失敗するのであれば、大きく失敗したい。そして、当たったときには、ホームランでなければならない。私が成功したのは、失敗を恐れる気持ちが全くなかったからだ。」(ヴィノド・コスラ)

「9000回シュートを外した。300回ゲームに負けた。26回、ゲームの勝敗を分けるシュートの成功に賭け、失敗した。何度も、何度も、何度も、人生で失敗した。だから、私は、成功したんだ。」(マイケル・ジョーダン)



今回はシリコンバレーのドラえもんのお話。20年くらい前のドラえもんの映画(犬が出てくる奴)。


     

映画の中で、ドラえもんが、植物に注射をする。すると、植物が成長して、カレーの実を付けたのだ。実をあけると、中から、出来立てのカレーが出てくる。


(藤子・F・不二雄原作、東宝『ドラえもん のび太の大魔境』より引用。リンク元は、http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/contents/mini/backnumber/0122/img/23.jpg
)



20年前は、SFロマンを感じたが、最近では、「これって今の技術なら、何とか出来そうだよね」と考えるようになった。そして、本当にそんな技術が出てきた。

それが、ヴィノド・コスラが最近投資をしたスタートアップだ。

このスタートアップの技術を使うと、植物が、牛肉や豚肉を作り出すようになる。

「マクドナルドに売るのか、ベジタリアンに売るのか」マーケットを攻略する方法を友達と議論した。

当たれば大きい。牛肉のコレステロールが体に悪いことは、皆知っている。世界中の人が肉から植物に乗り換えれば・・・と考えれば、天文学のような数字がマーケットサイズとなるだろう。

しかし、技術は完成していないし、コスト面で肉に勝てるかも分からないし、遺伝子組み換え食品と同じようにメディアに叩かれるリスクもある。

コスラなら、そのリスクを取れる。スタンフォードMBAを出たばかりの私の友達(ジェネラルミル及び農家の出身)は、従業員No1として、コスラにこの会社に送り込まれた。彼が、世界を変えられるか楽しみだ。

ちなみに似たような技術の会社としては、大気中の二酸化炭素を取り込んで、カーボンを利用した製品(ペットボトルとか)を作り出すという会社がある。コスト面で難しそうだ。

私の方は、最近、学校を出て、近所(スタンフォードから歩いて10分)に引越しをして、ようやくインターネットが接続された。ネットがつながると好きな音楽が聴ける。



来週から中東に出張することになりそうだ。

2011年2月28日月曜日

瞑想と直感:「直感こそ、神が人間に与えた最高の才能」(アインシュタイン)

コーチングのクラスをGSBでとっているのだが、reflectionの大切さを痛感している。

2週間に3回、GSB1年生をコーチする。コーチしているだけだと、何も学んでいるように感じない。しかし、その後、机の前に一人で座って、

・良かった点、悪かった点の分析
・自分が感じたこと・学んだこと
・次回の抱負

を少し考えて、書き出すだけで、自分を客観的に見つめなおし、レパートリーを増やし、理想のコーチ像に近づくことが出来ている(気がする)。

日本では、コーチングというと、「何様か!」と傲慢な感じがするが、アメリカでは、非常に崇高なスキルであり、リーダーシップのうち最も必要なスキルのひとつとして評価されている。メソッドとしても、自分の考えやアドバイスを提供する(これは傲慢ですよね)のではなく、むしろ、質問をすることを通じて、相手が深く考えることを助けるのだ。

スタンフォードビジネススクールでは、リーダーシップのカリキュラムが来年から変更され、このコーチングのメソッドが、リーダーシップ教育の過程で、最重視されることになった。

そこで使われている素晴らしい教材が以下の本である。

Co-Active Coaching: New Skills for Coaching People Toward Success in Work And Life

この本を読むと、コーチとしての自分を高めるだけでなく、いわゆるソフトスキルを高めることができる。例えば、Level 3リスニングというスキルを利用すると、コーチされる側の心の最も深い部分まで潜っていくことができるが、こうしたソフトスキルを上記の教材で学べるのだ。

ところで、学校で、Level3リスニングのデモを数十年のキャリアがある教授と「マスターコーチ」が行ってくれた。マスターコーチが教授をコーチ。教授が心の深い部分に潜っていくのを助けた。

教授:「忙しくて、完ぺき主義者の自分には、色々なことを中途半端にしか出来ないのが耐えられない」
マスターコーチ:「その感情を表現すると?」
教授:「罠にはまったような」

このような質問を繰り返していくことで、更に、教授は、自分の感情やValuesの本当に深い部分までさかのぼっていった。マスターコーチは、教授と同じ気持ちになり、それを表情に浮かべることで、教授と一緒に心の深層に下りていっていた。興味深かったのは、マスターコーチの方が、教授よりも先に、教授の感情を表現した表情になったことである。これは、マスターコーチは、教授が感じるよりも先に、教授の本当の心の深層を感じとり、それを表情などで表現することができからである。

「なぜ、教授よりも先に、教授の感情を感じとることができるのか?そのための秘訣は?」と質問すると、「直感を体で感じることだ」という回答が返ってきた。

アインシュタインは、「直感こそ、神が人間に与えた最高の才能だ」というような哲学的な発言をしたと思う(正確な発言は覚えていない)が、スタンフォードビジネススクールでは、リーダーシップとコーチング教育の一貫として、直感を鍛える方法まで教えてくれ、また、それを実践する場を与えてくれる。

ここまでいくと、哲学と瞑想の世界だ。

しかし、ビジネスでも使える。

例えば、史上最強のベンチャーキャピタリストでクライナーパーキンス出身のヴィノド・コスラは、「自分は直感をベースに投資する。直感を鍛える方法を経験で、ジョン・ドアーと一緒に学んだんだ。それで今まで成功してきた。投資家のカネを十倍にした」というようなことを、ランチ時に発言していた。

2011年2月10日木曜日

アメリカでのキャリア

MBAに留学する方の中には、アメリカで就職しようと考える方もいらっしゃると思います。最初は日本人には結構大変です。下記のリンクに、キャリアの考え方(特にスタートアップ)についての情報が少し紹介されています。

アメリカのスタートアップでのキャリアの考え方