"Optimism for me isn't a passive expectation that things will get better; it's a conviction that we can make things better – that whatever suffering we see, no matter how bad it is, we can help people if we don't lose hope and we don't look away." (Bill Gates) (「どんな状況でも、どんな苦しみを見ても、どんなに酷い状況に見えても、逃げ出してはいけない。希望を捨てず、目を背けず、必ず勝てる、という強い意志の力をもつことが大切だ」、ビル・ゲイツ)
このブログも、数年前から、受験生の役に立つブログとして認知されてきたため、
「スタンフォードって、どういう学校なんですか。ウェブサイトからはわからないのですが。」
と受験生から質問されることがある。大学の出願書類で、エッセイを提出することが求められるのだが、エッセイを書くのにあたり、「know your audience」ということで、学校についてリサーチしていると、スタンフォードのウェブサイトを読んでいるうちに、どんな学校だかよくわからなくなるというのである。
スタンフォードの在校生に質問をしても、「変人がおおいよ」とか「シリコンバレーのイノベーションの空気を吸っているよ」とか「哲学者が多いよね」とか、思い思いの返事が返ってきて、なおさら、どんな学校か分からなくなる。
私もそうだった。
そこで、
スタンフォードは、どのような学校なのだろうか。
という疑問に単刀直入に応えることにしたい。
まず、別の学校の場合、どうだろうか。ハーバードMBAといえば、競争が激しく、大変優秀な人達という印象。ケロッグMBAは、チームワーク。バークレーは、西海岸特有の人柄の良い人達によるイノベーションの学校。ウォートンMBAとコロンビアMBAは、ファイナンス・分析に強く、成熟した人達の学校。MITはテクノロジー・イノベーションに強い。などなどと色々と各学校にはブランドやイメージがある。
スタンフォードの場合、そのカルチャーは、以下の写真に示されている。だから、出願書類を作成するときには、いつもこの写真を思い出して欲しい。受験生は、印刷して、机のうえに飾って欲しい。
スタンフォード大学の象徴ともいえるこの塔。スタンフォード大学という名前を聞いたことがある人なら、だれでも、一度は、写真で見たことがあるだろう。
しかし、この塔が、アメリカ第31代大統領のフーバーにちなんで、フーバー・タワー(フーバー塔)と呼ばれていることは、一般には余り知られていない。
フーバー大統領について、日本の世界史の授業では、大恐慌のときに、モラトリアム政策をとった大統領とぐらいしか教わらない。しかし、スタンフォード大学との関係では、以下の二つの逸話が重要である。
9歳のときに孤児になり、叔父さんに育てられたフーバーは、スタンフォード大学に入学し、卒業後、第一世界大戦のさなかにあるベルギーに食べ物を届けようと決める。周囲の人間は、「戦争中の場所に食糧を届けるなんて、無茶だ」と反対したが、これを聞かず、1100万人の人を食べさせるために、1000億円を集めた。
さらに、レーニンによるロシア革命(1917年)のさなか、1921年にロシアで飢餓がおきると、周囲の人間は、共産主義が台頭しようとしている国家に食糧を渡すべきでないとしたが、「2000万人の人が、空腹なんだぞ。政治になんか構っていられるか。食べさせなくてはいけない」として、食糧を届けることを決めた。
イノベーションだけでは、世界は変えられない。まわりが何を言おうとも屈しない、強靭な意志の力があるかどうかが重要である。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」で、日露戦争のとき、旅順を攻略するとき、何度も何度も、銃弾の前に突撃をするシーンが出てくる。
意志の力を間違った方向に使ってはいけない。
フーバーが、戦争中のベルギーやロシアに食べ物を届けるとき、意思の力だけではなく、ベルギー・ロシアの人達への温かい同情や、戦時下に食べ物を届けるロジスティックスを考え付く、深い洞察力・思想があったに違いない。
深い洞察力・思想、強い意志の力、温かい同情
が、スタンフォードのカルチャーだと思う。イノベーションは、これについてくるものとして位置づけられるのだと思う。
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