私も、米国企業に就職して約一年、そろそろ、昇進と給料アップが欲しくなった。
ご存知のとおり、「ひたすら忍耐」の日本社会と違い、米国社会では、交渉しない者には、昇進と給料アップはない。だから、ビジネススクールの交渉の授業にも人気が出るのである。
そこで、今回は、昇進・給料アップの方法を紹介しよう。
1.ダメな例
まずは、アメリカ人に、よくあるダメな例を紹介しよう。
マッチョなアメリカ人で、ろくに給料アップ交渉をしたことがない人(軍人に多い)は、以下のようなロジックで勘違いをする。
雇用者が給料アップをするインセンティブは、辞められないことである
↓
したがって、「辞めてやる」とオファーをちらつかせながら交渉しなければならない
また、
自分が辞めると、いかに会社が困ったことになるかを分からせなければならない
↓
したがって、喧嘩腰で、「俺はお前がいなくても困らない。でもお前は、俺がいなると困るだろう」と交渉するのが良い
↓
したがって、喧嘩腰で、「俺はお前がいなくても困らない。でもお前は、俺がいなると困るだろう」と交渉するのが良い
本当にこういう交渉が多いのである。
しかし、雇用者の側は、上記のような話をされても嫌になってしまうだけである。
使用者がむかついて、給料交渉の結果、従業員が首になった例もある。
しかし、雇用者の側は、上記のような話をされても嫌になってしまうだけである。
使用者がむかついて、給料交渉の結果、従業員が首になった例もある。
スタンフォードビジネススクール時代のコーチのヒューに電話して、どうしたらよいか聞いてみた。ヒューは、ヒューレットパッカードの副社長のコーチもしている実力者だ。
ヒューによると、「フィードバックが欲しい」と話を持ちかけるのが良いそうである。
上司からすると、部下から、
「出来ているところ・出来ていないところ」をフィードバックして欲しい
と相談されると、悪い気はしない。
普通のアメリカ人の上司であれば、
「向上心があり、素晴らしい」
という評価になる。
さらに、その過程で、自分のことをうまくアピールできれば、
「そういえば、この人は辞めると困る」
ということになる。
そこで、「実は、これだけ貢献したのですから、・・・」と給料アップと昇進アップを持ちかければ、アメリカ人は、嫌な気持ちはしない、ということらしい。
そして、スタンフォードビジネススクールでは、
「重要な会議の前には、必ず、メモをつくり、鏡の前で徹底的に想定問答をし、練習せよ」
という鉄則をたたきこまれる。
今回も、それを実践した。自分の貢献した点、足りないと思う点をまとめ、相手がついてきそうな点も紙にまとめた。そして、鏡の前で喋る練習をした。
そして、社長と交渉をした。
3.結果
結果、そこそこの昇進と給料アップとなったが、「こうなったら最高だな」というケースには到達しなかった。
徹底して準備したはずが、なぜベストケースにならなかったのか、考えて見た。
ひとつには、想定問答のつめが甘かったことがある。 しかし、より本質的な理由がある。
スタンフォードビジネススクールの交渉のクラスでは、マーガレット・ニール教授から、
「交渉では、どれだけAspirationを高くもつか」
が重要であると習った。
今回、「こうなったらよいな」というケースについて、「こうなるのが当然」と思えなかったのが、ベストケースに到達できなかった原因である。
このことを、上記のヒューからは、別の言い方で、以下のように習ったことがある。
「オバマ 大統領のスピーチを聞いたことがあるかい?言葉の一つ一つに信念があるだろう?こういう話し方ができれば、それだけで相手を説得することが出来るよ。」
絵にするとこんな感じだろうか。
一言にすると単純で、信念を持つことが大切、ということである。
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