2013年10月9日水曜日

外資系(米国本社)での昇進・給料交渉

 
私も、米国企業に就職して約一年、そろそろ、昇進と給料アップが欲しくなった。

ご存知のとおり、「ひたすら忍耐」の日本社会と違い、米国社会では、交渉しない者には、昇進と給料アップはない。だから、ビジネススクールの交渉の授業にも人気が出るのである。

そこで、今回は、昇進・給料アップの方法を紹介しよう。

1.ダメな例

まずは、アメリカ人に、よくあるダメな例を紹介しよう。


マッチョなアメリカ人で、ろくに給料アップ交渉をしたことがない人(軍人に多い)は、以下のようなロジックで勘違いをする。

雇用者が給料アップをするインセンティブは、辞められないことである
したがって、「辞めてやる」とオファーをちらつかせながら交渉しなければならない
また、
自分が辞めると、いかに会社が困ったことになるかを分からせなければならない

したがって、喧嘩腰で、「俺はお前がいなくても困らない。でもお前は、俺がいなると困るだろう」と交渉するのが良い


本当にこういう交渉が多いのである。

しかし、雇用者の側は、上記のような話をされても嫌になってしまうだけである。

使用者がむかついて、給料交渉の結果、従業員が首になった例もある。


2.良い例


スタンフォードビジネススクール時代のコーチのヒューに電話して、どうしたらよいか聞いてみた。ヒューは、ヒューレットパッカードの副社長のコーチもしている実力者だ。

ヒューによると、「フィードバックが欲しい」と話を持ちかけるのが良いそうである。


上司からすると、部下から、

「出来ているところ・出来ていないところ」をフィードバックして欲しい

と相談されると、悪い気はしない。

普通のアメリカ人の上司であれば、

「向上心があり、素晴らしい」

という評価になる。

さらに、その過程で、自分のことをうまくアピールできれば、

「そういえば、この人は辞めると困る」

ということになる。

そこで、「実は、これだけ貢献したのですから、・・・」と給料アップと昇進アップを持ちかければ、アメリカ人は、嫌な気持ちはしない、ということらしい。


そして、スタンフォードビジネススクールでは、

「重要な会議の前には、必ず、メモをつくり、鏡の前で徹底的に想定問答をし、練習せよ」

という鉄則をたたきこまれる。



今回も、それを実践した。自分の貢献した点、足りないと思う点をまとめ、相手がついてきそうな点も紙にまとめた。そして、鏡の前で喋る練習をした。




そして、社長と交渉をした。


3.結果

結果、そこそこの昇進と給料アップとなったが、「こうなったら最高だな」というケースには到達しなかった。

徹底して準備したはずが、なぜベストケースにならなかったのか、考えて見た。

ひとつには、想定問答のつめが甘かったことがある。 しかし、より本質的な理由がある。

スタンフォードビジネススクールの交渉のクラスでは、マーガレット・ニール教授から、

「交渉では、どれだけAspirationを高くもつか」

が重要であると習った。

今回、「こうなったらよいな」というケースについて、「こうなるのが当然」と思えなかったのが、ベストケースに到達できなかった原因である。





 このことを、上記のヒューからは、別の言い方で、以下のように習ったことがある。

「オバマ 大統領のスピーチを聞いたことがあるかい?言葉の一つ一つに信念があるだろう?こういう話し方ができれば、それだけで相手を説得することが出来るよ。」

絵にするとこんな感じだろうか。
 


一言にすると単純で、信念を持つことが大切、ということである。

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