2011年8月21日日曜日

憧れの人の真の姿はワニか鮫か

3年前、スタンフォードMBAのエッセイに私は以下のように書いた。

「日本には良い技術がたくさんある。東芝はフラッシュメモリーを発明した。ソニーにはアイポッドにつながるアイディアがあった。しかし、技術を世界で実現することにかけては、日本企業よりも、アップルが上だったように思う。私は、ベンチャーキャピタリストになって、日本の技術を世界に実現することに貢献したい。」

グーグル、アップル、シスコ、アマゾンなどなどアメリカの成功の歴史をつくってきたクライナーパーキンスやセコイアキャピタルなどのベンチャーキャピタル。

彼らに憧れていた。そして今でも。



起業後に、シリコンバレーの伝説のベンチャーキャピタルと呼ばれる人達にプレゼンテーションしまくり、投資も受けた。


そして学んだことがある。


彼らの多くは、シリコンバレーで、アリゲーター(ワニ)とかShark(鮫)と呼ばれている。



フェイスブックの創業者のマーク・ザッカバーが、セコイアにパジャマでプレゼンテーションをしたことは良く知られている。

これは本当の話だ。メディアがウソの報道をしたのではない。

マーク・ザッカバーが気が狂っていたわけでもない。

わざとやったのだ。

フェイスブックのショーン・パーカーには、セコイアから自分のうまみを吸い上げられてしまった悲しい過去があった。

そこで、マーク・ザッカバーに、「同じ間違いをするな」と囁きつつ、心の中でセコイアに復讐することを誓ったのだ。



アップルのスティーブ・ジョブズも、セコイアから投資を受けた。彼が会社を追い出されたときに失った株式を、もし、今も持っていたら。。。



ところで、私がセコイアからコンタクトされ、投資の話を受けたときには、パートナーから、「我々は創業者にフェアだよ」と言われた。

前の話と矛盾するようだが、セコイアはウソをついていない。

セコイアが投資家として入ることで、会社の株式の価値は、平均して10倍になる。

創業者は、株をたくさんもっているので、その恩恵を受ける。

全体のパイが増えるので、山分けをしても、創業者はメリットを受けるのだ。



私も何度も何度もポテンシャルな投資家と対立した。


最近、新しく従業員を雇おうとしたときの話。


ポテンシャルな投資家A(セコイアではないです):
「Y.I.、良いビジネスマンというのは、相手の気持ちを読み取り、ディールをクローズするためにはどしたら良いかを常に考えるものだ。あいつにはそれを感じない。あいつは、とにかくおしゃべり(chit chat)をして、自分の考えていることを単に説明するタイプだ。相手と関係を構築しようという気持ちも感じられない。洗練されてもいない。今までは●●というタイトルだったようだが、生まれながらにして、マーケティングのタイプだ。雇った方が良いと思うが、とりあえず、タイトルは、『acting ●●/ VP of Marketing』として、●●の肩書きについては、後で考え直した方が良いと思うよ。」と言われた。

ちなみに、acting というのは、この場合、temporaryと同じ意味で、あとで降格するという意味だ。


私は、このポテンシャルな投資家のいう「弱点」にはすべて反対だ。相手との関係構築もうまいし、洗練されているし、今までのレジュメをみると、一人で巨大な売上げをあげており、売込みに成功してきている。

私みたいな若造が、「あなたには、acting ●●というタイトルをあげよう」と発言した瞬間に、そっぽを向かれるだろう。


憧れの人とはいえ、パーフェクトではないのです。

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