砂漠で太陽光発電をし、エネルギーを蓄積しておいて、必要なときに放出する・・・
霧の多いサンフランシスコの民家の屋根にソーラーパネルを敷くよりは、素人目には、効率が良いように思えます。
砂漠で太陽光発電というアイディアを実現するのが、いわゆるSolar Thermalです。基本的な仕組みは単純で、太陽エネルギーをレンズ等で集中させて、水等を水蒸気とし、当該水蒸気でタービンを回して発電するというものです。
下の写真は、日経BP(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090224/187198/)からの引用です(飯山辰之介氏「【技術フロンティア】灼熱地獄の夢プロジェクト」)が、日本でも注目されはじめているようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090224/187198
Solar Thermalは、オーストラリア、シリコンバレーでは、随分前から注目を集めています。
Solar Thermalの凄いところは、エネルギーを蓄積できるところにあると思います。電気を蓄積するバッテリーやEnergy Storageの技術の水準の(必要性と比較した場合の)低さは、Clean Technologyのネックになっています。Solar Thermalは、電気ではなく、温度の形でエネルギーを蓄積するため、より効率的にエネルギーを蓄積できると言われています。したがって、砂漠で大量に発電をして、夜間を含め、必要に応じて電力を供給することが可能と言われています。
一番はじめに、この技術を利用した企業は、恐らくAusraの前身だと思われます。この企業は、当初成功するかに見えたのですが、政府のClean Technologyに対する援助姿勢の変化により、(コスト面で石炭に勝てなくなってしまい)一気につぶれてしまいました。そこで、誕生したのが、コストを圧倒的に削減したAusraです。このブログでご紹介しましたVenture CapitalistのVinod Khosla(スタンフォードMBA Class of 1980)から出資・経営面でサポートを受けています。
http://www.ausra.com/
Ausraは、景気が悪化する前には、「コスト面で石炭に勝って、アメリカの全エネルギーの90%を供給できる」と発言していたと言われています。
Ausra等Solar Thermalの問題点は、これまで送電線にあると言われてきました。砂漠には送電線がない場所が多く、送電線をひくには、1マイルあたり、約100万ドルが必要であると言われています。
そこで、オバマ政権が送電線を砂漠にひいて、かつ、必要な援助をすれば、Solar Themalが一気に勝つという見方もあります。アメリカの全エネルギーの90%を太陽光発電できるのであれば、確かにBlack Swanでしょう。
ただし、当のAusraは弱気になってしまい、経営陣は、「Solar Thermalが今のScaleで石炭に勝てるとは思えない」という趣旨の発言をされています。オバマ政権は、Loan Guranteeプログラムなども提供していますので、プロジェクトファイナンス等で一気にScaleアップできる可能性もあるのかもしれませんが、経営陣が弱気というのは決定的という「噂」(ソースは学生及びVC)を、よく耳にします。