2009年2月21日土曜日

Guatemala Service Learning Trip

テロリストによる銃器を用いた殺人がはびこっており、マラリアやデング熱のリスクがあり、水に肝炎ウィルスが混ざっており、30年間にわたる内戦が終わったばかりの国。車に乗っていても、銃器を所持したテロリストから暴行を受けるリスクがある。

スタンフォードのアドバイザからリスク回避の手法を学び、肝炎を含めて万全の予防を受けたものの、グアテマラに行く前は、良く眠れませんでした。

スタンフォードMBAでは、GERという制度があり、学生は、住んだことのない国に行って学ぶ必要があります。ヨーロッパや日本などのAdvanced Countriesに行って、首相や大企業のCEOの方々などとお会いすることを選ぶ学生もあれば(Global Study Trip)、グアテマラなどの発展途上国に行って、地元の方々と生活をし、ソーシャルアントレプレナーとともに仕事をすることを選ぶ学生もいます(Service Learning Trip)。

私は、グアテマラのSocial Service Learning Tripに参加しました。グアテマラは、大変貧しい国です。


貧困層に富をもたらすための活動をしていると言われている5つの団体を訪問しました。


1 政府:グアテマラのコーヒー豆について、「森林の木陰で栽培された」ことをプロモーションすることで、非コモデティ化(product differentiation)し、これにより価格競争からの脱却・高価格での販売をめざす。

2 As Green As Its Gets:貧困層のビジネスモデルの変革をめざす。


3 コーヒー業界のGiant(US企業):Supply Chainマネジメントにより、貧困層に富をもたらすとともに、医療システム等の変化をも促すことをめざす。

4 コンサル(NPO):グアテマラのアントレプレナーに対するコンサル。

5 農家のマネジメントを変革するNGO:農家にコンサルをして、より効率が良く、環境にやさしい(例えば森林の焼却を行わせない)農業を教え、かつ、コンサルを受けた農家に対してCertificateを発行している。クラフト等の大企業は、当該農家からコーヒーを購入し、パッケージに当該Certificateを付することで、ブランドを向上することができる。

Tripは、1の政府系機関とのミーティングから始まりました。 ミーティング後、学生たちは、「素晴らしいことだ」と感激しました。

しかし、後日、貧しい農家の方々と話し、現実は単純でないことに気づきました。
そもそも、この団体は、大地主達の利益代表者として誕生したという経緯があり、貧しい農家の人達の利益を代表していません。貧しい農家に対して、Export Licenseを発行しないといった実態が実際にはあるとのことでした。

次の日に、2のNGO(As Green As Its Gets)を訪問し、農家の方々と働きました。



コーヒー豆は、そのままでは、非常に安価です(グアテマラでは数十キロでも数百円だったと思います)。訪問した農家は、7人の子供がおり、安価でコーヒー豆を売っていては家族をとても養えません。最初は、掘っ立て小屋のような場所に住んでいたようです。


As Green As Its Getsは、コーヒーのSupply Chainに注目しました。精製されたコーヒー豆であれば、値段が数倍以上になります。また、飲料としてのコーヒーであれば、値段は数十倍以上になります。そこで、As Green As Its Getsは、Supply Chainの中での農家の位置付の変更を手伝っています(例えば精製されたコーヒー豆を売れるようにする)。効果は劇的で、貧困な農家の収入は確実に上昇し、農家の家屋も毎年グレードアップしているようです。

ただし、ビジネススクールの学生からみると、As Green As Its Getsは、おそらくビジネスをScaleできないので、Guatemalaを変革することは難しいだろうという結論になりました。


3のコーヒー業界のGiant(US企業)は、従業員の労働条件及び健康状況並びに地球環境等について高い配慮をしている農家に対しては、コーヒー豆を、通常より高い価格で購入しています。US大企業の側からすると、良質のコーヒー豆の安定かつSustainableな供給を期待できます。


ただし、現地の貧しい方々の話によると、現実には、US大企業の相手となるグアテマラの農家は、大規模農家に限られてしまっており、貧困層には影響が殆ど及んでいないとのことです。また、設置された病院が見せかけだけで、実際には医者もおらず、診察が行われていない、などの問題もあるとのことでした。

4と5についても、現地の貧しい農家の方々の話では、「Helpになっていない」とのことでした。




学生達は、貧困な村に宿泊し、コーヒーピッキングを行いました。

数十キロに及ぶコーヒー豆をピッキングして、一粒一粒色分けしました。

MBAの学生数人が一日かけて集め、色分けをした数十キロのコーヒー豆は、高くても数百円にしかなりません。


グアテマラの方は、このような重労働を、絶えず、一生続けられます。
コーヒーの色素が指にしみつき、数日間落ちませんでした。







グアテマラの自然は、大変美しく、一面山や森に囲まれ、雲の下に湖が広がります。



また、急斜面の火山に登り、人生で初めて煮えたぎる溶岩を眼前にしました。


溶岩の近くの空気・地面の暑さは忘れられません。





グアテマラでは、突然の地震や火山噴火で村が埋まってしまうことがあります。戦争、病気、貧困、自然災害のリスクと隣合わせという状況で、グアテマラの方々の顔には笑顔があふれ、人々は大変親切でした。


リスクを受け入れ、力強い自然やリスクと共存していくシステムを垣間見た感じがしました。

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