2011年3月7日月曜日

Garth Salonerのビジョン

「他校と違う特色を活かすのは、戦略の基本だ」

Stanford GSBのディーンGarth Salonerとランチをしたとき、彼は、スタンフォードビジネススクールの戦略をあつく語っていた。

Salonerは、南アフリカ出身の白人で、もともとストラテジー(戦略)を専門とするGSBの教授。新しいカリキュラムの作成などで実力を認められ、私が2年生のときにStanford GSBのディーンになった。私が入る前の年に、「最も素晴らしい講義をする教授」にも選ばれている。

ランチのとき、Salonerは、以下のように語っていた。

「スタンフォードビジネススクールの特色のひとつとして、ビジネススクールが、ほかのスタンフォードの学部と地理的に密接していることがあげられる。グーグルもコンピュータサイエンスから出てきている。他学部の学生との交流は、非常に重要だ。他方、ハーバードビジネススクールは、他の学部から地理的に殆ど隔離されている。大きな違いだ。」

「えっ、ハーバードってそうなの?」と思われる方は、以下のビデオを見て欲しい(わざわざMITまで技術系科目をとりにいっている)。




サロナーに、「私は、クリーンテックとジョイント・ディグリー(複数学位)ですが、大変勉強になっています」と話すと、次のように話していた。「ジョイント・ディグリーの学生は、貴重だ。ビジネススクールのほかの学生からすると、他学部にいかなくてもよいわけだ。ビジネススクールにいて、ジョイント・ディグリーの学生と仲良くするだけで情報が入ってくるから。」「僕の仕事は、ビジネススクールの学生が、ほかの学部で授業をとりやすいようにバリアーをさげることだ。ビジネススクールの学生とジョイント・ディグリーの合格率も上昇させる。スタンフォードロースクールなんて、卒業のために必要な単位を、どの学部からとっても良いことになっている。ビジネススクールもこういう方向にいくべきだ」

実際にも、ビジネススクールの学生の他学部への合格率は高い。このことについて、傲慢な学生が、「ビジネススクールの学生が、他学部よりもスペックが高いからだ」と話していたが、全くそうではなく、スタンフォードビジネススクールの戦略と、ディーンの政治力によっているわけだ。

多種多様なバックグラウンドの学生同士の交流は、ビジネススクールだけでなく、実は、スタンフォード大学自体の特色でもある。例えば、私が、クリーンテックの授業に出ると、アングラ(大学生)からPHDの学生まで幅広い経験の学生がいる。PHDの学生は、教授が渡す内容の濃い最新のリサーチをさっと消化して自分なりの研究に応用する一方で、アングラの学生は、授業を通じて基本を学ぶことができる。なぜ、両者が両立しうるのか未だに不思議だが、これがスタンフォードのマジックだ。

サロナーのその他の戦略を以下に書いてみた。

(1)人数が少ないので、エグゼクティブコーチ(シスコなどの大企業のエグゼクティブにコーチしている人達)を利用して、リーダーシップのスキルを、Experiential Learningで教えられる。スタンフォードには、エグゼクティブコーチが少なくとも数十人はおり、私もしょっちゅうコーチしてもらっており、毎回勉強になっている。教授によると、東海岸の某学校の、エグゼクティブコーチの数は0らしいから、差別化というのもうなづける。

(2)アカデミックな教授だけでなく、プラクティショナーが教える授業の更なる充実化。スタンフォードビジネススクールでは、もとベリタス・ソフトウェアのファウンダーのマークレスリー、もとシスコのCEO、伝説のベンチャーキャピタリストのアンディ・ラクレフ、セコイアキャピタルのパートナーのマーク・スティーブンス、もとエグゼクティブ・コンサル出身のキャロル・ロビン、最人気教授のグロースベック、大規模プライベートエクイティを経営するピーターソンなど数々のプラクティショナーがいる。そして、プラクティショナーが教える授業は、総じて、アカデミックな教授よりも圧倒的に評価が高い。

これについて、GSBのある教授は、「ビジネススクールの学生は、卒業して、教授になるのではなく、ビジネスをするのだから、ビジネスを実際にしてきたプラクティショナーから授業を受けたいと思うのは当然。GSBは、圧倒的にプラクティショナーの数が他校よりも多い」と語っていた。

受験生の方は、エッセイを書く際に、上記を是非参考にされて下さい。

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