2011年3月7日月曜日

プレゼンコーチ

GSBのシュラム教授は、Stanford MBAで、コミュニケーションの講義を受け持っている。

「投資家の最終ミーティングを控えています。全パートナーの前でピッチする予定です。コーチしてくれませんか。」と頼むと、日曜日なのにかかわらず、OKが出た。

GSBの教授達は、人にもよるが、休日出勤もおしまないほど、学生に対する指導で熱心なのだ。私は、彼の授業を1年くらい前にとっていたが、彼は、とても熱心な教授だ。

ピッチをはじめて、10分後、シュラムが、「ちょっと止まってくれ」と私のピッチをとめた。

「僕は今畏敬の念で一杯だ。1年前と比べて見違える。自信にあふれた素晴らしいプレゼンだ。どれだけプレゼンの練習をして、プレゼンの内容を自分のものにしたのかが見て取れる。ボディラングエージもアイコンタクトもばっちりだ。ページをめくる前に、次のページの内容を説明しているのも素晴らしい。」と褒めてくれた。

「一つだけ直してくれ」という。「君は、自分でしゃっべってしまっている。聴衆はそれを聞いている。聴衆はそれを聞いていて、『いいアイディアだけど、僕はどうしたら良いのかな』と感じている。一言で、いうと、プレゼンは自信にあふれていて良いのだけど、聴衆に対するEngagementをもっと出来るよ。これを踏まえると、例えば、出だしはどうはじめるかい?」と聞かれた。

私が、「史上最も成功した投資ファンドの一つに対して、プレゼンが出来て、嬉しい」というようなことをいうと、教授に、「変えたほうがいいね。」と言われた。

教授に、「『あなたのファンドの資金をもっとも有意義に利用できるディールを持ってこれたと思っています。だから嬉しいです』という感じにしたほうがいいよ。プレゼンの最中にも常に、『あなたが助けてくれれば、これが出来ます』『あなたとパートナーシップを組みたい』ということを、いい続けるんだ。そして、『●億円欲しい』というときには、言う前に一瞬とまって、声を低く、ゆっくりとプレゼンをして、一呼吸おいてから次に続けてくれ。これが出来れば、君は、このディールをとれるよ。」と言われた。

日本人は、アメリカ人と比べて、あまり他人にコネクトする文化はないのではないかと思っている。アイコンタクとも、一般に、日本人は、アメリカ人より少ない。例えば、他人のウォールに書き込むFacebookよりも、自分で独り言をつぶやくTwitterやブログの方が人気が出ていることにもこれがあらわれている気がする。

文化の壁を乗り越えなければ。

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