2009年7月27日月曜日

Stanford GSBで学習した人間行動のバイアス(行動組織学1)

スタンフォードGSBでは、秋学期に、行動組織学の授業を聴講することになります。
最初の授業では、人間の行動や考え方のバイアスについて学びました。

授業は、レースに出場するか否か迷うレーサーの逸話から始まります。
レースに出て、事故が起きると、スポンサーがつかなくなり、今までのすべてが台無しになってしまいます。
一方で、レースに出ない場合には、大口のスポンサーが離れて、財政的に窮地に立ってしまいます。
エンジニアからは、「寒い日には(マシンが壊れやすいので)レースに出ない方が良い」と不吉なアドバイスをもらいますが、今まで事故が起きた日のデータを見てみると、寒い日にも暖かい日にも均等に事故が起きています。
レースの日は、氷点下の温度。
このような状況で、レーサーはレースに出場すべきなのでしょうか。



意思決定をする際に、バイアスがないか判断する際には、いくつかポイントがあるようです。
・サンプルのとり方にバイアスはないか。(事故が起きた日だけではなく、事故が起きていない日の温度のデータもみるべきではないか)
・コンファメーションバイアスはないか。(自分の頭の中で答えが出来上がっていて、答えを裏付けるデータだけを探していて、答えを否定するデータは頭が拒否していないか)
・フレーミングバイアスはないか。(人間、「リスクをとらないと100%損をしますよ」と言われた場合と、「今の状況なら確実にちょっとだけお金をもらえます。リスクをとれば、もっともうけられるかもしれません。」と言われた場合では、同じ状況でも違う意思決定をしがちなようです)
・社会的な地位(上下関係)によるバイアスはないか。(ボスだから良く知っているはずだ、というバイアス)
・ アベイラビリティーバイアスはないか。(頭の中でイメージしやすい状況の方が、正しいものに思える。「シンプルでないから間違っているはずだ」などと考えるバイアス)
・デフォルトバイアスはないか。(例えば、チャレンジャー号の事故の際には、NASAは、意思決定の前に、打ち上げを公式に発表してコミットしてしまっていました)
・コミットメントがエスカレーションしていないか。(少しづつ、コミットメントする量が増してしまい、最後は、大きなコミットメントをしてしまう。)

仕事でも、裁判では、結構、利用します。
例えば、弁護士の間では、「裁判官には心証の雪崩といわれる現象がある」と言われています。裁判官が一定以上結論について印象を抱く(「どうもこっちの言っていることの方が正しそうだぞ」)と、その後形成が逆転することは殆どないという意味です(コンファメーションバイアス)。
また、裁判では、短くて分かりやすい書面が書けなければ、負けであると言われています(アベイラビリティバイアス)。

そういえば、友人(といってもかなり年上)から頼まれて、彼が起業したスタートアップのアドバイスをちょこちょこしているのですが、少しづつコミットメントの量が増してきてしまい、ついにウェブサイトに載せられてしまいました。
http://hbcmediainc.com/company/
これもコミットメントがエスカレーションする一例かもしれません。

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