2016年10月23日日曜日

Hard Things

Hard Thingsというシリコンバレーでは有名なベン・ホロウィッツ氏が書いた本を読んでいる。もともとネットスケープの幹部で、その後、自分の会社で社長を経験した後、有名なベンチャーキャピタルファンドを創業した。日本語でも出ているようだ(こちらから買える)

濃い内容だが、以下の点が実践的で特に勉強になった。

1.ベン・ホロウィッツが、投資をする際にCEOを評価するときに特にみる3つの点

(1) Does CEO know what to do (right strategy/story, speed and quality of decision)
(2) Can CEO get the company to do what s/he knows
(3) Can CEO Get the desired results against objectives

(1)について、まず、CEOは、ストーリー・戦略を語れないといけない。これは、アマゾンのジェフ・ベゾスが1977年に投資家にあてて出したレターが参考になる。この会社の存在価値はなぜか、というストーリーを明確に語れないと、従業員の士気もあがらないし、投資家や顧客もついてこない。また、(1)について、CEOの意思決定のスピードとクオリティを評価する。

(2)について、リーダーシップのスキル(後記)、正しい人材を正しい場所に配置し、社内で情報が十分に共有される環境をつくり、世界一のチームをつくり、常にチームが世界一かをチェックする能力があるかをチェックする。具体的には、例えば、従業員がミッションに貢献し、仕事を達成する環境をつくっているか、それとも、社内政治ばかりしているか。ネットフリックスが出しreference guide to freedom and responsibility cultureに具体例が書いてある。

(3)について、目標となる数字を示せるか。

 2.リーダーシップの条件
 
ベン・ホロウィッツは、リーダーを3つのカテゴリーに分ける。

スティーブ・ジョブズ型:ビジョンを明確に語ることで人がついてくるタイプ
ビル・キャンプベル型:正しい野心をもっているタイプ
アンディ・グローブ型: 正しいマネジメント能力をもっているタイプ

1番目のタイプについては、例えば、倒産寸前のアップルでも従業員はジョブズのビジョンについていった。

2番目のタイプについて、ビル・キャンプベルというのは、San Francisco 49ersというフットボールのチームを弱小から最強にのしあげた伝説のコーチ。その後、Go CorporationというノートパソコンのかわりにIPADみたいな製品(ただし指ではなくペンを使う)を売ろうという会社のCEOになり、従業員が最高だと感じる会社をつくったが、市場にプロダクトがフィットするタイミングがあわず、世紀の大失敗をする。しかし、Go Corporationに大金を投資した投資家達は、ビル・キャンプベルと色々とビジネスをする。「正しい野心をもっているタイプ」というのは、会社を私物として扱うのではなく、会社のために経営をする人のこと。アメリカでは実は悲しいことに珍しいのだが、これは、ポジションが上がれば上がるほど、人は権力の虜になるからだろう。ベン・ホロウィッツは、これは生まれながらの才能で学べるものではない、と書くが、このスキルをみにつける本は色々と出ており、例えば、Ten Laws of TrustというJoel Petersenというジェット・ブルー社の会長が書いた本には、このタイプになるための方法が色々と書いてある。また別の機会に紹介したいと思う。

3番目のタイプについては、アンディ・グローブは、High Output Managementという有名な本で、正しいマネージャーになる方法を書いており、ベン・ホロウィッツは、このことを言っている。この本については別の機会に紹介したいと思う。




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