2010年7月3日土曜日

スタンフォードMBA:ヨーロッパでクライナーパーキンスと働く

ドイツの巨大企業シーメンス。

その元チーフオペレーティングオフィサー(最高執行責任者)のヤン・フォン・ドックムから電話がかかってきた。

「君のレジュメとプロジェクトを見たのだが、夏をドイツで過ごさないか。」

と誘われた。ヤンは、クライナーパーキンスのオペレーティングパートナー。彼がボードに座っているポートフォリオの会社がドイツにあるのだ。

クライナーパーキンスは、このブログでも紹介したように、世界有数のベンチャーキャピタル。日本人に有名なパートナーとしては、アルゴア、パウエル元長官、オラクル元CEOなどが並ぶ。

ヤンから、「ドイツで結果を出したら、君にクライナーパーキンスに入って欲しい。」と言われた。

シリコンバレーのベンチャーキャピタルにも色々ある。アソシエイトやプリンシプルがいる組織であれば、ビジネススクールを出たての学生でも入れる。しかし、クライナーは、フラットな組織で全員が対等。会社をIPOしたこともない私の経歴で、クライナーの本体に入れる可能性は、限りなく0%に近い。

しかし、ある日のこと、夢にドイツの森の風景が出てきた。それで真剣に検討をはじめた。そのことを、ファイナンス系の友達に言うと「それ、人にいわない方が良いよ。そういうことでDecision Makingする人だと思われるから」と言われた。

アインシュタインは、「直感は、神が人間に与えた才能だ」というようなことを言ったと記憶している。また、このブログで紹介したVinod Khoslaをはじめ、ベンチャーキャピタルによっては、「直感で投資の有無を決定する。だから、ビジネスプランを読むよりは、起業家と夕食を一緒にすることで投資を決定する」と豪語するベンチャーキャピタルもいる。とはいえ、スタンフォードビジネススクールの教科書で、ベンチャーキャピタリストにも使われている
第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい (翻訳)
にそって、一応分析してみよう。そう、ベンチャーが成功するかは、以下の3つの要素にかかるといわれている。

①マネジメント (CEOとして成功した経験がある人か、リーダーシップがあるか、などなど)
②技術 (良く言われるのが既存の技術の10倍の性能があるか、すぐに実現するか、などなど)
③マーケット (良く言われるのが1000億円のマーケットがあり、技術がNice to haveでなく、Must Haveかどうか。お客さんが早く動くか、などなど)

①は、インタビューを受けて、「良い人だな」と感じた。それ以上は、ドイツとカリフォルニアという地理の差があり、会えないので、分からなかった。②は、ホームページに20倍の技術と書いてあった。③は、再生エネルギーをベースにしたガスのマーケットで、ドイツはフィードインタリフ制度があるので、マーケットは、優に1000億円を超えているはず。

そして、「ヨーロッパで、しかも、クライナーのポートフォリオで働いてみることが出来る!」というユニークな経験に魅かれ、夏をドイツで過ごすことに決めた。



というわけで、今は、ドイツの小さな町にいる。

毎日学びがある。
例えば、ある日のこと。とても変な車にのっている人が会社に来たので、「変わった人だな」と思いながら、一緒に昼ご飯を食べて、今まで過ごした国の食べ物の話などをして談笑していたところ、後から
「彼はGEのCTOだったんだよ。今はうちの会社のCTOだよ」
と言われてショックを受けた。
GEは、私の今いる会社の業界で、リーダー。
学校で耳に蛸が出来るほど聞いた「スタートアップは物凄い人材をマネジメントに入れることで成功する」という話を思い出し、感銘を受けた。

日常生活面では、ヨーロッパのほかの地域へのアクセスが素晴らしい。

今から2時間後から、チェコのプラハに小旅行。チェコは、ドイツやウィーンに近く、ユニークな文化を持っているために、ドボルザーク、スメタナ、ヤナーチェクといった素晴らしい作曲家が生まれた。今は、以下の演奏を聴きながら楽しみにしている。


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