2009年8月13日木曜日

スタンフォードGSBの素晴らしさ

スタンフォードGSBでは、成績上位者になるとアソシエイトディーンから「おめでとう」というメールが届きます。私のところにもメールが届きました。

(アソシエイトディーンのシャロン)

もっとも、スタンフォードGSBにはもっと素晴らしいものがたくさんあるので、誰も成績を気にしていないのが実体というところです。

例えば、人との出会いは、もっとかけがえのないものであるとスタンフォードのコミュニティのメンバーは考えています。
野球の試合を友人と見にいったときのこと。

「あの4番バッターは、太っているし、年老いているから、あれだけ遠くに飛ばして1塁にしか行けないんだ。自分だったら2塁まで行ける」
と言い張るクラスメートがいるので、
「プロの陸上選手だったのかい」
とからかうと
「もともとは、そうだよ。スタンフォード大学を卒業した後、陸上選手になって、転職してビジネスの道に入り、そして今ビジネススクールにいるんだ。今も毎朝走っているし、土日は、42キロ走る日もあるよ」
という意外な返事が来ました。

(もと陸上選手の友人)

友人の新しい一面を発見すると、大変刺激を受けます。

その友人からは、クラスメートについて、
「ちなみに、アンドリューシュネルは、オリンピックの水泳選手で、ナショナルレコードを保持していたことがある。ジェイソンは、メジャーリーグのピッチャーだったよ」
などと色々と話してくれました。

(もと水泳選手の友人)

(もとピッチャーの友人)

これだけ色々なバックグラウンドの友人と、壁がなく、心から通じ合って会話を楽しめるのは、留学中の2年間だけかもしれません。

次の学期に、また友人の新しい一面を発見するのが楽しみです。

2009年8月10日月曜日

Stanford MBA: インターン先

インターン先の会社が、stimulus packageの対象に選ばれました。蓄電の分野で、ベンチャーキャピタルから出資を受けている会社としては、A123以外では、私のインターン先のみでした。(詳細は以下)

”Venture-backed A123Systems Inc. was among the largest winners, with a $249.1 million grant, but it counts established firms such as GE Energy Financial Services' venture arm as one of its backers and has filed to go public. The only other venture-backed company on the list is EnerG2 Inc., a Seattle-based start-up developing nanoparticles for use in ultracapacitors that closed an $8.5 million Series A round in October, led by OVP Venture Partners and FireLake Capital Management. ”(”Not us VC-Backed Companies Left In The Cold By DOE Battery Grants” By Mara Lemos Stein 8/6/2009 より引用

A123は、クリーンテックに興味がある人なら誰でも知っている会社で、去年(おととし?)にIPOしかけて、「景気が悪い」とやめた会社です。電池に興味のあるMBAの学生であれば、誰でも就職したい会社です(多くの学生は、やめかけたIPOを実際にしたときに、ストックオプションで儲かると考えているようです)。

これに対して、私のインターン先の会社は、誰も注目していなかった会社でした。私は、「ultracapacitorなんて誰も注目していないし面白そうだ」とインターンしたい会社のトップ3(ほかはA123とアンプリウス)に入っていたのですが、インターン先を相談した方々からも以下のとおりイマイチの評判でした。

・クライナーパーキンス(世界トップのVCの1つ)のパートナー:「ultracapacitorはまだ何もない段階だ」
・アトリウムキャピタル(シリコンバレーのVC)のナンバー2:「ultracapacitorは現段階ではマーケットがあるとはいえない。しかも、その会社は、3Xから5Xテクノロジーだと考えているが、10Xテクノロジー以外は見ないべきだ」
・日系ベンチャーキャピタル:「あまり魅力的な話には聞こえない。聞けば聞く程ダメそうだ」

それが少しづつ注目を集めています。
私のところにも複数VCからコンタクトがありましたし、また、今ではメディアにも相当注目されています。

では、マーケットはあるのかというと、例えば、コマツ一社だけをとってみても、昨年30台のキャパシタパワーシャベル、今年は700台のキャパシタパワーシャベル、来年に3000台のキャパシタパワーシャベルをつくる計画をしています。1台のキャパシタパワーシャベルは、2700万円で、通常のパワーシャベルより1000万円高いです。簡単な計算をすると、コマツ一社だけを見ても、かなりの勢いでマーケットを拡大していることがわかると思います。このようなボトムアップの積み上げをしていくと結構な規模になりますし、何よりも成長率が170%程度になります。

また、テクノロジーも、実際には、3Xから5Xとは比べ物にならないほど凄い値が出ているのを日々見ています。(英語でいう馬鹿げている程高い値。。。)

2009年8月2日日曜日

スタンフォードMBA:授業

秋学期、どのような授業が取れたのかが発表になりました。

スタンフォードGSBでの2年生の時間割がどうなるのか、このブログを読まれている方の中には、ご興味がある方もいらっしゃると思いますので、以下にまとめてみたいと思います。

W 06:30 PM - 09:30 PM

NEGOTIATIONS
Neale, Margaret

Various Meeting Time

T:10:00-1:00
T:19:00-22:00


INTERPERSONAL DYNAMICS
Bristol, Scott

MF 08:00 AM - 09:45 AM

STRATEGIC MKTG COMMUNICATIONS
Shiv, Baba

TTh 08:15 AM - 09:45 AM
INCENTIVES AND PRODUCTIVITY
Lazear, Edward

Various Meeting Time
TWF 3:15pm-6:15pm




HOW TO CHANGE THINGS
Heath, Chip

New Product Development
Draganska, Michael
TTh 01:15 PM - 02:45 PM


まとめますと、授業がある時間が、

月曜:朝8時から9時45分
火曜:朝8時から午後10時
水曜:午後6時30分から9時30分
木曜:朝8時から9時45分、午後1時15分から2時45分
金曜:朝8時から9時45分、午後3時15分から6時15分

さらに授業を取ることも可能ですし、これより少なく授業を取ることも可能です。
多くの学生は、1週間に2日しか出席しないように計算して授業をとって、旅行に出かけます。

私の場合は、空いた時間に、マスターオブサイエンスのコースを取ろうと思っています。
また、今から取る授業を変えることも可能なので、火曜日のInterpersonal Dynamicsのコースを別の学期にふりかえて、代わりに、グロースベック教授のManaging Growing Enterprise(スタンフォードGSBでの1番人気の授業の一つ)を入れることも考えています。

2009年8月1日土曜日

スタンフォードGSB:インターン先で学んでいること

サマーインターンも約半分が終わろうとしておりますが、今のところ、何とか順調にやれています。いくつか学んだことがあります。

1 インセンティブ
 私に与えられた5つのプロジェクトは、例えば、いわゆる10倍テクノロジーのビジネスプランを書く仕事など、いずれも非常にチャレンジングで、興味深い内容でした。頑張ろうという気持ちがわいてきました。

2 チャレンジ
 せっかくアメリカのスタートアップで働けるチャンスが手に入ったのだから、どんな小さな仕事も一生懸命やろうと思い、平日家に帰った後も、土日も、専門書を読むなど、仕事に関係のあることを中心にして時間を過ごしていました。
 しかし、日本人の私は、顔も発音もアメリカ人とは違いますし、かなり苦労しました。例えば、最初は、社内でミーティングがセットしてあっても、(日本人だからなのかインターンだからなのか)私とのミーティングは最後まで後回しにされてしまい、予定時刻よりも数時間待って、業務時間終了間際となるのが当たり前で、中々仕事が前に進みませんでした。
 隣の席で、一緒にインターンをしている別のビジネススクールの学生からは、どうやら「こいつは発音も悪いし頭が悪いに違いない」と思われたらしく(注:私の勝手な予想です)、最初の数週間、(同じビジネススクールのインターンであるのにかかわらず)会話が「おはよう」「また明日」以外は全くありませんでした。これでもまだ良い方で、社内の科学者の中には、挨拶もしてくれない人もいました。
 しかし、頑張っているうちに、少しづつ、信頼されるようになり、ようやく会社の一員として認めてもらえるようになりました。CEOやCOOが皆の前で褒めてくれたことも、相当手伝った気がします。
 今では、ミーティングが遅れることもなくなり、隣の席のインターンの学生とも始終会話がはずむようになりました。
 それよりも何よりも、科学者が、一緒に座って、「なぜこのテクノロジーが優れているのか」何時間でも説明してくれるようになりました。
 教えてもらえるようになって、よくよく聞いてみると本当に凄いです。
 
 クリーンテクノロジーの進歩が、ナノテクノロジーの利用に関連するだろうということは良く言われています。蓄電の場合、一つのアプローチがナノワイヤーと呼ばれるテクノロジーで、物質を、ナノレベルで糸状にします。
 例えば、アンプリウスというスタンフォードのマテリアルサイエンスの学生の間で有名な会社があります。この会社は、リチウムイオン電池の負極に、ナノワイヤー状のシリコンを利用しています。今までは、リチウムイオン電池の負極にはグラファイトが使われていました。グラファイトの代わりにシリコンを使えば、シリコンはグラファイトの10倍以上エネルギーをためることができます。しかし、シリコンは電気をためると、5倍に膨張してしまうため、実際にはシリコンが広く負極に使われることはありませんでした。アンプリウスは、シリコンをナノワイヤー状にして負極に利用しました。こうすると、シリコンは電気をためても膨張せず、ナノワイヤーが伸びるだけになるため、従来の課題が解決されます。
 
 しかし、ナノワイヤーをアンプリウスのような方法で実現しようとすると、ナノワイヤー状にするのにコストや手間がかかるようです。実際にも、アンプリウスは、現段階では、大量生産への移行は出来ていないようです。

 私のいるスタートアップのテクノロジーは、別のアプローチで、ナノワイヤーと同じような結果を実現できます。その方法論は、詳細がかけないのが残念ですが、大変エキサイティングでした。

3 アイディア
 いくつか会社の持っているアイディアの分析をさせてもらいました。
 その結果、アイディアは、ひらめきに依存するだけではだめで、いわゆる「思いつき」の後に、時間をとって、しっかりと考える時間が必要であることを学びました。