2010年10月14日木曜日

ベンチャーキャピタルでのインターン

ドイツでのインターンが終わり、クライナーパーキンスのヤン(以前のブログを参照)と話したところ、「約束通り、結果を出したから好きなものをあげよう」と言われた。

「パートナーのポジションか、自分のスタートアップへの投資か、ポートフォリオでのポジションを下さい」とズケズケとお願いしたところ、「それでこそ起業家だ」と笑われた。

こちらから正式に依頼をしたあと、ファームで正式に検討するそうだ。彼は、推薦で、ドアを開けてくれる役目なのだろう。

「どれを貰おう」、と悩んでいるところに、シリコンバレーのナノテクにフォーカスしたベンチャーキャピタルから、

「学期中に、ちょっと働いてみない」

と声がかかった。

学生とスタートアップのCEOの両方をしながら、さらにVCでインターンをすることは時間の面で厳しい。しかし、自分がベンチャーキャピタルに向いているか見るチャンスなので、引き受けることにした。

私のインターン先のVCは、技術の評価に徹底的にフォーカスしたファーム。上司の一人は、70歳の技術者出身者。もう一人は、アントレ出身者。彼は、会社を2つ売って、1つIPOし、アプライドマテリアルのコーポレートベンチャーを立ち上げた経歴の持ち主。

今日は、その彼とロサンジェルスの太陽電池カンファレンスに日帰り出張。

巨大なビル二つにぎっしりつまった企業を回っていく。

3分の1くらいが、中国企業。中には、「英語は喋れない。」と中国語で話しかけてくる企業もあった。

「御社の強みは?」と聞くと、少し考えてから「特にありません」と返事が返ってくる。「世界を変える」というような技術にも、とりたててユニークな技術にも出会えなかったのが印象的だった。ヨーロッパで、フィードインタリフ制度のサポートがあるので、一時期、中国の太陽電池生産量は、毎年160%の上昇を経験した(ちなみに、ビジネススクールでは、毎年10%の市場シェア上昇と聞くと、「少し魅力的かも」という話になるので、その16倍)。アメリカでは、平均して40%くらいの上昇だろう。需要は政府の政策ゆえ。ユニークな技術や強みがなければ、政府のサポートが弱まった後、多くの企業が潰れるのではないか。

今をときめくHareon SolarとLDKのCEOとも話せた。やはりどんどん生産量を拡大するそうだ。

太陽電池のコストは、生産量が2倍になると大体80%になると言われている(サンパワーの創業者のスタンフォード大、スワンソン教授の予言が今までは当たっている)。平均40%の生産量拡大が続くとすると、コスト面で、石炭に勝つのは6年後だろう。「世界を変える」ユニークな技術があらわれなければ、政府の後押しがそれまで続くかどうかという点が焦点になりそうだ。

私自身は、スタンフォードのPHDの学生達と、フォトンのエネルギーを最適化することを検討しはじめた。太陽電池の効率が20%弱にとどまっている理由のひとつは、バンドギャップに満たないフォトンは電子を加速できず、バンドギャップを超えるフォトンのエネルギーが、超えた部分について無駄になることによる。この課題を解決するひとつの方法は、マルティジャンクションとよばれる手法だが、「そうではなく、フォトンのエネルギーの方を最適化した方が、コストも安く、生産ラインも修正しなくて良いのでは」と話したところ、何人かのPHDの学生が興味を持ってくれた。友達のベルラボの科学者からは、「物理の基本だね。良い物質があるかだけど、聞いたことないね」と言われた。

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