朝起きて外に出ると、夜中に雨が降ったらしく、雨水が太陽の光をはね返して輝いていました。
それを見たとき、
「上手くいったんだ」
と何となくですが確信しました。
私が寝ている間に、日本では、インターン先の会社のCEOが、圧倒的な規模の、世界最大の市場シェアを誇る日本で、各社に(売込みの)プレゼンを行っていました。
ビザの関係で残念ながら私は出席できませんでしたが、数多くの日本人の友人に多大に助けてもらいながら、プレゼン資料や想定Q&Aを含め、絶対に完璧だと思えるまで準備をしてきました。
スタンフォードビジネススクールでは、日本は、米国のスタートアップにとって「とんでもないマーケット」として取り上げられ、授業では、大体、「どうしようもないところだ」などと教授に結論付けられます。そして、ケースの主人公のCEOが教室にやってきて
「日本では失敗したが、数多くあるマーケットのうちの1つに過ぎず、ヨーロッパでは我々は成功しているから問題ない」
などとスピーチして終わります。
それだけに、最後の大仕事を終えた後には、安堵の思いでした。
その後は、職場の同僚と一緒に、連日、野球観戦、ランチ、ディナー等を楽しみました。
職場の同僚と外出すると、スタンフォードのアメリカ人とは異なった話題が展開されます。
中には私より若い科学者もおり、
「働きながら博士号をとるべきか、休職して博士号又はMBAを取得するべきか」
「スタートアップで働くのと、大企業で働くのと、どちらが良いか」
などと色々と悩みを相談されました。
「寂しくなる。学期が終わったら絶対戻ってきて欲しい」と言われ、私も「夏もいよいよ終わりか」という気持ちになり、最後の数日は、長い友人に御別れを告げるときと同じで、心に穴が開いたような気持ちになりました。CEOとCFOからは、「来てくれて本当に良かったと思っている。何とか学期中も卒業後も働いてくれないか」などと光栄な御言葉を頂きましたが、穴のあいたような気持ちは変わりませんでした。
「アメリカのスタートアップで仕事をやり遂げられた」と自信をつけてスタンフォードに戻ったのですが、多くのクラスメート達は、先を行っていました。
夏の間に会社を設立して軌道にのせており、1年生のときよりもCEOに近い視点で話をしていました。良く話を聞いてみると、いくつかのアイディアは、本当にグーグルやフェイスブックになるかもしれないと感じさせるものでした。
アイディアを思いつく度にノートにメモって、ダメなアイディアを消していき、アイディアを精緻化していったようです。
何をしているときにも、アイディアから頭が離れることはないそうです。
2年生の計画について情報交換しても、せっかくのクラスを頑張るつもりはないそうです。
「Y.I.、クラスが良いのは分かる。僕も、タッチーフィーリーが凄く良いというのはずっと聞いてきた。けれど、僕は、授業中に『僕の会社でこんなにたくさん重要なミーティングをしなくちゃいけないのに、僕はここで何をしているんだ』と思うのは嫌だ。それに、僕はセミプロレベルの俳優だったから、タッチーフィーリーは、趣味のレベルとしては興味深いけど、プロフェッショナルなレベルとしては、もはや必要ないはずだ。」
(50人のエンジニアを面接して、コンピュータオタクとダースベーダーを自分のスタートアップのチームに選んだ友人。スペインでフェースブックに勝ったが、その会社はもう売るつもりらしい。)
等と話す彼は、1年生の間に375人のエンジニアをリストアップし、50人のエンジニアを面接して、一人のCTOと二人のプログラマを選んで、夏の間に、ネットの会社をたちあげました。彼は、スペインでフェイスブックよりもシェアを獲得した経験があります。そんな彼が選んだプログラマはどんな人だったか、というと、
「一人は、めちゃくちゃ細くて、物凄い長髪のオタクのような感じの奴だ。引っ越して僕の会社にやってきた。ところが、引越しの荷物としては、細い体に凄い小さいバックパックを一つ背負ってきただけだった。聞くと、パソコンのほかに下着とTシャツが入っているだけだと言っていた。これを見たとき、こいつは最高だと思った」
(画像は、Funny Junkより引用。著作者名は不明(無名の著作物)。著作権法32条及び48条に基づいて適法ですが、権利者から連絡があれば削除します。なお、URLは、http://www.funnyjunksite.com/funny/funny-computer-pictures/)
「もう一人は、ダースベーダのセット(着ぐるみ)を揃えている奴だ。あの呼吸器とボイスチェンジャーも勿論ついている。一緒に外出するときには、ダースベーダの格好と声で、『我輩の準備はできている』と言うんだ。身振りつきで。僕が、面接で最も重視するのはパーソナリティだ。」
(ダースベーダに関する著作権のため、著作権処理済と思われるアマゾンのイメージを使用しています)
「ある日のこと、彼らが、僕のところに『重要な話がある』と言ってやってきた。はっきり言って『オプションがもっと欲しいのかな』と僕は凄く心配になった。ところが、もっと良く聞いてみると『僕らは会社に泊まって働くのが好きだ。パソコンをするのは楽しい。今は椅子で寝ている。これは効率がよくない。職場にカウチを買って欲しい』という要求だった。すぐに買いに言ったよ」
などと話していました。
まだアイディアの段階のクラスメートに対しては、起業経験のある学生をはじめとして、数多くの学生がどんどんアイディアを提供してインプットしていました。
自分も小さな成功で満足してはいられない、と触発されました。
2009年9月5日土曜日
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