2013年11月9日土曜日

Twitterの上場



忘れもしない2009年の冬。
グーグルの会長のエリック・シュミット氏らが教授として講義するスタンフォードビジネススクールの名物授業「ベンチャーキャピタルと起業家」。

その授業に、Twitterの創業者、ビズ・ストーンが、投資家のピーター・フェントンと一緒に登場した。

Twitterのコンセプトの始まりは2006年頃。
スピンオフで会社として誕生したのは2007年の4月だ。

つまり、授業は、Twitterが会社になってから、まだ3年弱の頃だ。
それだけに、授業の前のスタンフォードビジネススクールの学生のTwitterに対する評価は、マチマチ。
「もしかしたら、Googleを追い落とすかもしれない」というくらいの印象しかなかった。

授業のはじめに、教授が、
「Twitterが成功すると思う人、手をあげて」
というと、何とクラスの半分くらいの手しかあがらなかった。

それだけに、ケーススタディでは、Twitterについて、皆言いたい放題だった。

好意的な意見:

  • 2009年の1月から2月の間に、Twitterのユーザが、600万人から1000万人に上昇している。幾何級数的なユーザの上昇は、成功するスタートアップの典型だ。
  • 2008年秋にFacebookが、500億円程度でTwitterを買うというオファーを出している。
  • リアルタイムで、他人の経験や情報を取得できるのは素晴らしい。
否定的な意見:
  • Twitterが、どうやって利益をあげるのか、全く分からない
ケースのディスカッションが終わった後、ビズ・ストーンとピーター・フェントンが壇上にあがった。ビズ・ストーンは、ピーター・フェントンに昔書いた手紙を読んでくれた。

「Twitterについて、信じて欲しいこと○箇条」

というような感じで、「必ず甲子園に連れて行くからついてきて欲しい」というトーン。とても純粋な人なんでしょう。ラブレターみたいだなぁ、と思ったのを覚えている。

ラブ・レターを読むようなソフトな口調のビズ・ストーンが、メディアの業界を民主化するんだ、と語ると、ピーター・フェントンは、Twitterについて出会ったその日、余りの衝撃に骨がとけるような気がした、と言っていた。直感で投資したらしい。

しかし、創業者と投資家は、まさに恋人同士という感じに見えた。

終始恋人にラブレターを読んでいるようなソフトな口調のビズ・ストーンのせいで、クラスは異様な雰囲気だった。

しかし、そんな二人の情熱というか恋心のようなものに感化され、 何だか凄そうだぞ、という気持ちになってくる。

クラス全体が洗脳された
そんな雰囲気だった。

クラスの終わりに、Twitterの投資家でもあるピーター・ウェンデル教授が、もう一度、

「Twitterが大成功すると思う人、手をあげて。最低でも時価総額数千億円だ。僕の投資が成功だったと思うか」

と聞くと、今度は、 クラスの全員が、一斉に手をあげた。
その熱狂、全員がTwitterを信じた瞬間に、とても驚いたのを覚えている。

今週、Twitterが上場した。
株価が株式公開日に74%上昇。
今では、大体3兆円くらいの時価総額がついている。

2008年に500億円。2013年に3兆円。5年で60倍か。
5年前に数百万円の価値のストックオプションをもらって入った人の資産は、 数億円になったということだろうか。
お金持ち達の誕生で、シリコンバレーでは、また家賃と不動産の値段があがりそうだ。