2011年2月28日月曜日

瞑想と直感:「直感こそ、神が人間に与えた最高の才能」(アインシュタイン)

コーチングのクラスをGSBでとっているのだが、reflectionの大切さを痛感している。

2週間に3回、GSB1年生をコーチする。コーチしているだけだと、何も学んでいるように感じない。しかし、その後、机の前に一人で座って、

・良かった点、悪かった点の分析
・自分が感じたこと・学んだこと
・次回の抱負

を少し考えて、書き出すだけで、自分を客観的に見つめなおし、レパートリーを増やし、理想のコーチ像に近づくことが出来ている(気がする)。

日本では、コーチングというと、「何様か!」と傲慢な感じがするが、アメリカでは、非常に崇高なスキルであり、リーダーシップのうち最も必要なスキルのひとつとして評価されている。メソッドとしても、自分の考えやアドバイスを提供する(これは傲慢ですよね)のではなく、むしろ、質問をすることを通じて、相手が深く考えることを助けるのだ。

スタンフォードビジネススクールでは、リーダーシップのカリキュラムが来年から変更され、このコーチングのメソッドが、リーダーシップ教育の過程で、最重視されることになった。

そこで使われている素晴らしい教材が以下の本である。

Co-Active Coaching: New Skills for Coaching People Toward Success in Work And Life

この本を読むと、コーチとしての自分を高めるだけでなく、いわゆるソフトスキルを高めることができる。例えば、Level 3リスニングというスキルを利用すると、コーチされる側の心の最も深い部分まで潜っていくことができるが、こうしたソフトスキルを上記の教材で学べるのだ。

ところで、学校で、Level3リスニングのデモを数十年のキャリアがある教授と「マスターコーチ」が行ってくれた。マスターコーチが教授をコーチ。教授が心の深い部分に潜っていくのを助けた。

教授:「忙しくて、完ぺき主義者の自分には、色々なことを中途半端にしか出来ないのが耐えられない」
マスターコーチ:「その感情を表現すると?」
教授:「罠にはまったような」

このような質問を繰り返していくことで、更に、教授は、自分の感情やValuesの本当に深い部分までさかのぼっていった。マスターコーチは、教授と同じ気持ちになり、それを表情に浮かべることで、教授と一緒に心の深層に下りていっていた。興味深かったのは、マスターコーチの方が、教授よりも先に、教授の感情を表現した表情になったことである。これは、マスターコーチは、教授が感じるよりも先に、教授の本当の心の深層を感じとり、それを表情などで表現することができからである。

「なぜ、教授よりも先に、教授の感情を感じとることができるのか?そのための秘訣は?」と質問すると、「直感を体で感じることだ」という回答が返ってきた。

アインシュタインは、「直感こそ、神が人間に与えた最高の才能だ」というような哲学的な発言をしたと思う(正確な発言は覚えていない)が、スタンフォードビジネススクールでは、リーダーシップとコーチング教育の一貫として、直感を鍛える方法まで教えてくれ、また、それを実践する場を与えてくれる。

ここまでいくと、哲学と瞑想の世界だ。

しかし、ビジネスでも使える。

例えば、史上最強のベンチャーキャピタリストでクライナーパーキンス出身のヴィノド・コスラは、「自分は直感をベースに投資する。直感を鍛える方法を経験で、ジョン・ドアーと一緒に学んだんだ。それで今まで成功してきた。投資家のカネを十倍にした」というようなことを、ランチ時に発言していた。

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