スタンフォードビジネススクールの留学の勉強中に、アドミッションのウェブサイトに、
"Believe in yourself, because we believe in you"
という文言があった。
日本語訳をすると、
「自分の価値を信じなさい。我々はあなたの価値を信じているから」
ということになる。
なぜ、こんなことが書いてあるのだろうか。
意味がわからず、ずっと不思議だった。
今になってみると、こんな意味なのではないかと思う。
大学生の頃には、CEOってかっこいい、と純粋に思っていた。CEOを経験した後、今考えると、とても孤独な職業だと思う。
CEOは孤独だ。全員が諦めた時に、一人だけ絶対に諦めているところを見せてはいけない。
Hard Thing about Hard Thingsの著者のベン・ホロウィッツは、会社の株価が1株1ドルよりも下がって、取引所から1ドル以上にできなければ、上場廃止にすると言われた時に、株式の合併をすると、「弱く見える」という理由で、株式の合併をせずに、かわりに、大手投資家を説得するという"Hit the Road"をしたそうだ。
起業家の場合も同じだ。全員が「うまくいく」と思うアイディアの場合、「誰かがやったことがある」ので失敗する。多くの人が「失敗する」と思うアイディアで、実は正しいアイディアを選ぶ必要がある。そうすると、色々な人に話して、「それはうまくいかないと思う」と言われることの連続だ。
ペン・コンピュータで有名なGO CORPORATIONを創業したカプランも、ビルゲイツと会った後に、「カプランはCEOの器でない」というメールをマイクロソフト社内に流されていた。
投資家と会って、「いつ本当のCEOを雇うのか」と創業者CEOが聞かれるのは日常だ。
色々な人から批判され、陰口を叩かれ、全員が諦めた時に皆を鼓舞して(それで陰口を叩く人がいたりして)、それでも戦うのがCEOだ。
これに対して、弱いCEOは、「どうせダメだから・・・」「日本は千年の系だから」と言ったりする。正直で良い奴といえば、それまでだが、正直で、会社の状況をありのままに話すことは必要だが、弱いところを見せられない辛い職業なのだからJOB DESCRIPTIONを満たしていない人が多いと思う。
だから、
"BELIEVE IN YOURSELF"
とアドミッションのブログに書いてあったんだろう。
世界中の全員にバカだと思われても、自分とチームを信じて、長く戦い続けられるか。
これが勇気であり、CEOには絶対に必要な能力だと思う。
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