StanfordでのSteven Chuの講演が以下から見れます。
http://gaia.stanford.edu/
2010年3月17日水曜日
2010年3月1日月曜日
日経BPなどに載りました。
2010年2月28日日曜日
シリコンバレーのベンチャーキャピタリストに対するプレゼンテーション
水がなくて、農家に捨てられた土地。

(写真の出典:http://www.vfej.vn/public/Images/content_img/0china.jpg )
水がなくて捨てられた農地を、バイオ燃料畑・穀物畑に戻せないでしょうか。
最近、シリコンバレーで、自分の体積の500倍の体積の水を吸収する物質が発明されました。
この技術を利用すれば、乾燥地を穀物畑に変えられるのではないでしょうか。
最近は、アイディアをベンチャーキャピタリストやCEOに話してフィードバックをもらっています。
昨日は、Khosla Venturesをはじめとして16人のベンチャーキャピタリストが会ってくれ、プレゼンテーションをしました。
しかし、こういうとき、日本人は、発音の差・プレゼンを重視しない教育の差があり、苦労します。
そこで、スタンフォードMBAで、プレゼンの方法の授業をとりはじめました。
面白かったのは、Nancy Duarte氏のプレゼンメソッド。
彼女は、アルゴアの映画、Inconvenient Truthのスライドを作成しています。
そのNancy Duarte氏による上手なプレゼンテーションをするためのレクチャーが、以下から見れます:
ソースは、こちらです:
http://blog.duarte.com/page/3/
(写真の出典:http://www.vfej.vn/public/Images/content_img/0china.jpg )
水がなくて捨てられた農地を、バイオ燃料畑・穀物畑に戻せないでしょうか。
最近、シリコンバレーで、自分の体積の500倍の体積の水を吸収する物質が発明されました。
この技術を利用すれば、乾燥地を穀物畑に変えられるのではないでしょうか。
最近は、アイディアをベンチャーキャピタリストやCEOに話してフィードバックをもらっています。
昨日は、Khosla Venturesをはじめとして16人のベンチャーキャピタリストが会ってくれ、プレゼンテーションをしました。
しかし、こういうとき、日本人は、発音の差・プレゼンを重視しない教育の差があり、苦労します。
そこで、スタンフォードMBAで、プレゼンの方法の授業をとりはじめました。
面白かったのは、Nancy Duarte氏のプレゼンメソッド。
彼女は、アルゴアの映画、Inconvenient Truthのスライドを作成しています。
そのNancy Duarte氏による上手なプレゼンテーションをするためのレクチャーが、以下から見れます:
ソースは、こちらです:
http://blog.duarte.com/page/3/
2010年1月24日日曜日
なぜStanford MBAなのか
「おい、また新しい技術があるぞ。」
また友達から電話がかかってきた。数々のノーベル賞受賞者を生んできたベルラボ。その科学者だった友達(45歳)からの電話だ。
前に電話がかかってきたときは、「太陽電池にくっつけると、太陽電池の効率が1.5倍になり、kWh当たりコストが2分の1になる技術」の紹介だった。「太陽電池業界のインテルになれるか」というビジョンが頭に浮かんだ。そのプロジェクトは今でも遂行中だ。
今度は何の技術なのか。
友達「水をためるパウダーだ。水の中にパウダーを入れると固まってジェル状になる。」
私「砂漠でも出来るの?」
友達「水を含ませたパウダーを砂漠にまぜておけば、植物はずっと生きている」
私「コストは?」
友達「ほとんど0だ。」
今度は、前よりももっと面白い話だ。
すべての砂漠をバイオ燃料の畑にできるのか。
そんなビジョンが、うっすらと頭に浮かんできた。

砂漠は、地価が安い。砂漠は、Cashを生みにくいから、DCFで評価すれば当然地価は安くなる。
砂漠をバイオ燃料畑にできれば、大量のCashを生むようになり、価値があがる。
実現するために必要なコストが、それに見合うかどうか、数字をはじく必要がある。
数字があえば、砂漠を緑に変えられるかもしれない。

しかし、数字をはじく前に人にあって話しをしてみよう。
すぐに動き始めた。
シエラ・ベンチャーズの創業者のピーター・ウェンデル氏、エリック・シュミットのアドバイザーのレイモンド氏、Khosla Ventures、Kleiner Perkinsのパートナーといった面々とランチをしたり、電話で話してみた。
このブログで「悪魔のベンチャーキャピタリスト」として紹介したKhosla Ventures。
「数字をはじいてみて、うまくいきそうだったら、1頁の紙でいいから送ってくれ。投資するか検討したい。ビジネスプランはいらないよ。」
という返事だった。
さらに周りを普段歩いている色々な人とランチをしてみた。
そのうちの一人が、たまたまバイオ燃料業界で世界最大の企業のCFOだった。
彼は、「とても面白い」とプロジェクトチームに入ってくれた。
その彼が、Marketingで最強の人材も連れてきた。
今日は、自分のメンターに連絡してみよう。
Stanford GSBでは、全員にメンターがつく。私の場合は、joint degreeでMBAのほかにMSを取得中なので、ビジネスパーソン及び教授が三人、科学者のメンターが一人つく。
科学者のメンターは、Chris Field。
ノーベル賞を受賞した科学者で、安い土地(Marginal Land)でバイオ燃料畑をつくることを声高に叫んでいる人だ。
それぞれの分野で世界第一人者の人が手の届くところにいる。
それが、Stanford。
「地球上のあらゆる場所で、Stanford GSBの2年生程素晴らしい場所はない」
新しいDeanになったSalonerからのメールだ。
このプロジェクトがうまくいくのかは、もちろん分からない。
しかし、まさに夢のような経験だし、今後どの道をとるにせよ、この過程から学んできたことは、いかせると思う。
それが、私がStanford MBAにきた理由だ。
また友達から電話がかかってきた。数々のノーベル賞受賞者を生んできたベルラボ。その科学者だった友達(45歳)からの電話だ。
前に電話がかかってきたときは、「太陽電池にくっつけると、太陽電池の効率が1.5倍になり、kWh当たりコストが2分の1になる技術」の紹介だった。「太陽電池業界のインテルになれるか」というビジョンが頭に浮かんだ。そのプロジェクトは今でも遂行中だ。
今度は何の技術なのか。
友達「水をためるパウダーだ。水の中にパウダーを入れると固まってジェル状になる。」
私「砂漠でも出来るの?」
友達「水を含ませたパウダーを砂漠にまぜておけば、植物はずっと生きている」
私「コストは?」
友達「ほとんど0だ。」
今度は、前よりももっと面白い話だ。
すべての砂漠をバイオ燃料の畑にできるのか。
そんなビジョンが、うっすらと頭に浮かんできた。
砂漠は、地価が安い。砂漠は、Cashを生みにくいから、DCFで評価すれば当然地価は安くなる。
砂漠をバイオ燃料畑にできれば、大量のCashを生むようになり、価値があがる。
実現するために必要なコストが、それに見合うかどうか、数字をはじく必要がある。
数字があえば、砂漠を緑に変えられるかもしれない。
しかし、数字をはじく前に人にあって話しをしてみよう。
すぐに動き始めた。
シエラ・ベンチャーズの創業者のピーター・ウェンデル氏、エリック・シュミットのアドバイザーのレイモンド氏、Khosla Ventures、Kleiner Perkinsのパートナーといった面々とランチをしたり、電話で話してみた。
このブログで「悪魔のベンチャーキャピタリスト」として紹介したKhosla Ventures。
「数字をはじいてみて、うまくいきそうだったら、1頁の紙でいいから送ってくれ。投資するか検討したい。ビジネスプランはいらないよ。」
という返事だった。
さらに周りを普段歩いている色々な人とランチをしてみた。
そのうちの一人が、たまたまバイオ燃料業界で世界最大の企業のCFOだった。
彼は、「とても面白い」とプロジェクトチームに入ってくれた。
その彼が、Marketingで最強の人材も連れてきた。
今日は、自分のメンターに連絡してみよう。
Stanford GSBでは、全員にメンターがつく。私の場合は、joint degreeでMBAのほかにMSを取得中なので、ビジネスパーソン及び教授が三人、科学者のメンターが一人つく。
科学者のメンターは、Chris Field。
ノーベル賞を受賞した科学者で、安い土地(Marginal Land)でバイオ燃料畑をつくることを声高に叫んでいる人だ。
それぞれの分野で世界第一人者の人が手の届くところにいる。
それが、Stanford。
「地球上のあらゆる場所で、Stanford GSBの2年生程素晴らしい場所はない」
新しいDeanになったSalonerからのメールだ。
このプロジェクトがうまくいくのかは、もちろん分からない。
しかし、まさに夢のような経験だし、今後どの道をとるにせよ、この過程から学んできたことは、いかせると思う。
それが、私がStanford MBAにきた理由だ。
2010年1月10日日曜日
ハゲタカからの忠告をとるか
「ハゲタカからのご忠告です。本業以外のビジネスに手を出した企業は、必ず潰れます」(真山仁『レッドゾーン』)
映画ハゲタカの原作となったレッドゾーンの主人公の台詞だ。ハゲタカからの忠告は、いつでも正しいのだろうか。
コングロマリット・ディスカウント。「投資家は、自分で株式のポートフォリオを組みたいのであるから、投資される事業会社の方で、複数の事業を手がけるべきでない」というハゲタカからの忠告。複数の事業を手がけると、投資する側からは、「何がDriverとなって成長しているのか」「何が問題で利益が落ちているのか」といったことが見えにくくなる。買手に十分な情報がない場合には、(いったい本当はいくらなのか分からないので)買手にそれだけリスクが生じ、それだけ高い値段を払いたくなくなるというのはみえやすい。このことは、ノーベル賞を取得したアケロフ教授のレモンの理論の中でも述べられている(こちらに分かりやすい説明があります)。乱暴な説明だが、中国の屋台でロレックスが売っているとして、仮にホンモノだとしても、誰もロレックス本店と同じ値段は払わないだろう。コングロマリット経営をすると、投資家に情報が見えにくくなるので、それだけ投資家は高い値段を払いたくなくなるのだ。
また、「餅は餅屋」という。
例えば、GMは、自動車のみならず、航空宇宙産業やITなどにも手を出し、(労働組合問題、人事問題、ファイナンス問題などの問題も重なって)潰れてしまったといわれている(詳しくは、『M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
』)。
トヨタ自動車についても、自動車事業のほかに、住宅事業(トヨタホーム)、金融事業(トヨタファイナンシャルサービス株式会社)、ITS事業、Gazoo事業、マリン事業、バイオ・緑化事業などの複数の事業を行っているので、ピュアプレイに戻るべきだという専門家の指摘がある(『M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
』)。例えば、ファイナンス事業に手を出した結果、借入金が大きく膨らみになってしまい(7年前は5兆8000億円くらいだった借入金が、2009年3月時点で は12兆6000億円くらい。もちろん全部がファイナンス事業のせいではないが。)、また、2008年9月のリーマンショックの影響も大きく受けたという のだ。
コングロマリット経営で有名なGEも、2009年3月には、ピーク時(42ドル)の7分の1である一株6ドルになった。リーマンショック後に、ファイナンス部門のGEキャピタルが大打撃を受け、金融事業の見直し、スリム化に着手したといわれているのだ(M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
)。
ハゲタカからの忠告は説得力がある。
しかし、どんな場合にも、本当なのだろうか。
投資家の立場を知るなら、M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
は秀逸の本だ。私のStanford MBAのクラスメートは、「とても参考になった。学部生ならこの本を読むだけで、投資銀行に内定が出るだろう」と言っていた。
しかし、投資家のトップの人達だけでなく、
投資される立場のトップの人達の意見も聞いてみよう。
例えば、インテル3代目CEOのアンディ・グローブなら何と言うか。
彼は、「経営の神様」とも呼ばれることがある。
アンディ・グローブ:
・「私は、ウォルマートのCEOに、『ヘルスケア事業に進出せよ』とメールを送った。その結果なのか、ウォルマートは、Health and Human Services省のAssistant SecretaryのJohn Agwunobi氏を雇った。」
・「次はGEだ。GEのCEOには、『電気自動車事業に進出せよ』とメールを送った。返事を待っているところだ。」
AppleのSteve Jobsなら何と言うだろうか。
Appleは、もともとApple Computersという名前だったと記憶しているが、この名前をやめて、Appleという名前になったのではないかと思う(もし違っていたらスミマセン)。
なぜなのか推測してみよう。
Appleは、iPODやiTunesを手がけるようになった。
さらに、Appleは、iPhoneという携帯事業にも進出した。
今までの本業以外をするようになった。
しかし、結果はご存知のとおり。
大成功だ。
さて、上に述べたGMやトヨタとの違いはどこにあるのか。
「シナジーのことを言っているのだろう?」という声が聞こえそうだ。
違う。
ほかにも、理由がある。
そのうちの一つが、以前に、このブログで御紹介したストラテジック・インフレクション・ポイントだ。
技術などの飛躍的な進歩が、業界の競争の方程式を根本的に変えてしまう場合がある。新たな競争の方程式にのれた企業は、覇者となるが、のれなかった企業は、大打撃を受ける。
iTunesの例で考えてみよう。
ソフトウェアやIT技術の飛躍的な進歩によって、音楽業界には、ストラテジック・インフレクション・ポイントが到来していた。ナップスターなどのアントレプレナーが出現する。ネットを利用して音楽をダウンロードするという時代が到来したのだ。あせった音楽業界はナップスターなどを訴えて迎撃した。
彼らはスタートアップだったから、既存の音楽業界全体とやりあうだけのリソースはなかった。
しかし、Appleは違う。大企業としてのリソースがある。
iTunesは成功した。
そして、それは、ネットと音楽の融合という新しい業界の流れを見こして、音楽業界にStrategic Inflection Pointが到来すると見抜いたSteve Jobsの先見性によるのだろう。
つまりこういうことだ。
シナジーだけではない。
Strategic Inflection Pointの到来する業界に打って出る。この業界では、既存企業は、変化しないと生き残れない。どんな企業であれ、「変化する」のはとても大変だ。既存企業が、変化がなかなかできなくて困っているところに、Appleのような別業界の大企業が入ってくる。
アンディ・グローブのメールも、これを言っているのだろう。自動車業界とアメリカのヘルスケア業界にストラテジック・インフレクション・ポイントが到来するのだ、と。
いくらストラテジック・インフレクション・ポイントが到来しても、アントレプレナーが大企業で埋まっているマーケットでシェアをとるのは難しい。リソースがないからだ。しかし、自分のそれまでのコア事業とリソースで守られた大企業ならば話は別だ。Appleが、iTunesで成功できた秘訣がここにある。Appleが、もしスタートアップだったら、あの時点での成功は難しかっただろう。
ストラテジック・インフレクション・ポイントの到来を見抜ければチャンスが到来するだろう。しかし、『インテル戦略転換
』に述べられているように、これは大変難しい。ストラテジック・インフレクション・ポイント後の業界の新しい方程式を見抜くのはもっと難しい。
そこで、アンディ・グローブに、
・「ストラテジック・インフレクション・ポイント後の新しい業界の方程式がどうなるか」その見抜き方一般論と、
・電気自動車の業界の新しい方程式はどうなるのか
を質問してみた。
「それは私にも分からない。二つくらい上の次元の話だろう。」
という返事だった。
映画ハゲタカの原作となったレッドゾーンの主人公の台詞だ。ハゲタカからの忠告は、いつでも正しいのだろうか。
コングロマリット・ディスカウント。「投資家は、自分で株式のポートフォリオを組みたいのであるから、投資される事業会社の方で、複数の事業を手がけるべきでない」というハゲタカからの忠告。複数の事業を手がけると、投資する側からは、「何がDriverとなって成長しているのか」「何が問題で利益が落ちているのか」といったことが見えにくくなる。買手に十分な情報がない場合には、(いったい本当はいくらなのか分からないので)買手にそれだけリスクが生じ、それだけ高い値段を払いたくなくなるというのはみえやすい。このことは、ノーベル賞を取得したアケロフ教授のレモンの理論の中でも述べられている(こちらに分かりやすい説明があります)。乱暴な説明だが、中国の屋台でロレックスが売っているとして、仮にホンモノだとしても、誰もロレックス本店と同じ値段は払わないだろう。コングロマリット経営をすると、投資家に情報が見えにくくなるので、それだけ投資家は高い値段を払いたくなくなるのだ。
また、「餅は餅屋」という。
例えば、GMは、自動車のみならず、航空宇宙産業やITなどにも手を出し、(労働組合問題、人事問題、ファイナンス問題などの問題も重なって)潰れてしまったといわれている(詳しくは、『M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
トヨタ自動車についても、自動車事業のほかに、住宅事業(トヨタホーム)、金融事業(トヨタファイナンシャルサービス株式会社)、ITS事業、Gazoo事業、マリン事業、バイオ・緑化事業などの複数の事業を行っているので、ピュアプレイに戻るべきだという専門家の指摘がある(『M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
コングロマリット経営で有名なGEも、2009年3月には、ピーク時(42ドル)の7分の1である一株6ドルになった。リーマンショック後に、ファイナンス部門のGEキャピタルが大打撃を受け、金融事業の見直し、スリム化に着手したといわれているのだ(M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
ハゲタカからの忠告は説得力がある。
しかし、どんな場合にも、本当なのだろうか。
投資家の立場を知るなら、M&A新世紀 ターゲットはトヨタか、新日鐵か?
は秀逸の本だ。私のStanford MBAのクラスメートは、「とても参考になった。学部生ならこの本を読むだけで、投資銀行に内定が出るだろう」と言っていた。
しかし、投資家のトップの人達だけでなく、
投資される立場のトップの人達の意見も聞いてみよう。
例えば、インテル3代目CEOのアンディ・グローブなら何と言うか。
彼は、「経営の神様」とも呼ばれることがある。
アンディ・グローブ:
・「私は、ウォルマートのCEOに、『ヘルスケア事業に進出せよ』とメールを送った。その結果なのか、ウォルマートは、Health and Human Services省のAssistant SecretaryのJohn Agwunobi氏を雇った。」
・「次はGEだ。GEのCEOには、『電気自動車事業に進出せよ』とメールを送った。返事を待っているところだ。」
AppleのSteve Jobsなら何と言うだろうか。
Appleは、もともとApple Computersという名前だったと記憶しているが、この名前をやめて、Appleという名前になったのではないかと思う(もし違っていたらスミマセン)。
なぜなのか推測してみよう。
Appleは、iPODやiTunesを手がけるようになった。
さらに、Appleは、iPhoneという携帯事業にも進出した。
今までの本業以外をするようになった。
しかし、結果はご存知のとおり。
大成功だ。
さて、上に述べたGMやトヨタとの違いはどこにあるのか。
「シナジーのことを言っているのだろう?」という声が聞こえそうだ。
違う。
ほかにも、理由がある。
そのうちの一つが、以前に、このブログで御紹介したストラテジック・インフレクション・ポイントだ。
技術などの飛躍的な進歩が、業界の競争の方程式を根本的に変えてしまう場合がある。新たな競争の方程式にのれた企業は、覇者となるが、のれなかった企業は、大打撃を受ける。
iTunesの例で考えてみよう。
ソフトウェアやIT技術の飛躍的な進歩によって、音楽業界には、ストラテジック・インフレクション・ポイントが到来していた。ナップスターなどのアントレプレナーが出現する。ネットを利用して音楽をダウンロードするという時代が到来したのだ。あせった音楽業界はナップスターなどを訴えて迎撃した。
彼らはスタートアップだったから、既存の音楽業界全体とやりあうだけのリソースはなかった。
しかし、Appleは違う。大企業としてのリソースがある。
iTunesは成功した。
そして、それは、ネットと音楽の融合という新しい業界の流れを見こして、音楽業界にStrategic Inflection Pointが到来すると見抜いたSteve Jobsの先見性によるのだろう。
つまりこういうことだ。
シナジーだけではない。
Strategic Inflection Pointの到来する業界に打って出る。この業界では、既存企業は、変化しないと生き残れない。どんな企業であれ、「変化する」のはとても大変だ。既存企業が、変化がなかなかできなくて困っているところに、Appleのような別業界の大企業が入ってくる。
アンディ・グローブのメールも、これを言っているのだろう。自動車業界とアメリカのヘルスケア業界にストラテジック・インフレクション・ポイントが到来するのだ、と。
いくらストラテジック・インフレクション・ポイントが到来しても、アントレプレナーが大企業で埋まっているマーケットでシェアをとるのは難しい。リソースがないからだ。しかし、自分のそれまでのコア事業とリソースで守られた大企業ならば話は別だ。Appleが、iTunesで成功できた秘訣がここにある。Appleが、もしスタートアップだったら、あの時点での成功は難しかっただろう。
ストラテジック・インフレクション・ポイントの到来を見抜ければチャンスが到来するだろう。しかし、『インテル戦略転換
そこで、アンディ・グローブに、
・「ストラテジック・インフレクション・ポイント後の新しい業界の方程式がどうなるか」その見抜き方一般論と、
・電気自動車の業界の新しい方程式はどうなるのか
を質問してみた。
「それは私にも分からない。二つくらい上の次元の話だろう。」
という返事だった。
2010年1月6日水曜日
悪魔のベンチャーキャピタリストとのランチ
Stanfordの学生なら誰もが憧れる存在が立っていた。Vinod Khoslaだ。
「Y.I.と申します。」
「Vinod Khoslaだ。」
Vinod Khoslaは、スタンフォードビジネススクールの学生から見ると、オバマと同じくらいヒーローのような存在。
たまに(1年に1度くらい)、教室をウォークインで訪れると、多くの学生達は、最初我が目を疑い、その後、「おー、コスラを見てしまった」という感じで緊張して固まってしまう。
そのKhoslaとランチをする機会に恵まれた。
色々質問してみた。
Vinod Khoslaは、スタンフォードビジネススクールの卒業生(スタンフォードにはWaitlistから無理やり入学したといわれている)。卒業と同時に余り知られていない会社を立ち上げたが、2年くらい後に、Javaで有名なSun MicrosystemsのCo-Founder兼CEOになった。5年くらい後に、このブログでも紹介したKleiner Perkinsに入るためにSun Microsystemsを退職。以来、(やはりこのブログで紹介した)John Doerrと一緒に投資をしてきた。個人資産は、1000億円を超えると言われている(2007年頃のFortuneでは1200億円から1500億円くらいだったような。。。)。クリーンテクノロジーの投資家では、John Doerrと並ぶ巨匠として知られる。
Khoslaは、インド人で顔が黒く、いつも黒っぽい服を着ているので、「Devil(悪魔)」と呼ばれることもある。設立初期の段階でリスクをとって投資をする。そして、上手くいかないと分かると平気で切り捨てる(ファイナンスのリアルオプションの理論からすると当然か)。創業者のチームに対しても、取締役会のメンバーを決める前に、一人一人全員をインタビューして、「出来ない奴」がチームにいる場合には、先に切り捨てる。起業家に対して、ダメなところがあると、遠慮のない厳しく批判をする。そういったところも名前に反映されたのかもしれない。
会う前は、緊張したが、会ってみると、とても「いい人」だった。学校を案内して、
「クリーンテクノロジーに興味のある学生はGSBではどんどん増えています。いらして頂いたので、皆とても喜んでいます」
と言うと、嬉しそうにニコニコしていた。
どんなに厳しい人でも『学生』の前ではガードが下がるということだろうか。
Khoslaは、Kleiner Perkinsを2004年に退職した。その後は、超ハイリスクハイリターンをとることで知られる。このため、当初は、他の投資家から資金を集めて投資するという普通のベンチャーキャピタルのモデルを捨てて、個人で投資をしていたほどだ(その後、クリーンテクノロジーは、とてもCapital Intensiveなので、他の投資家から資金を集めて、投資家の好みに対応したファンドを設立することにした)。
なぜ、超ハイリスクハイリターンをとるのか。その理由は推測だが、恐らく、中国とインドのCO2の排出量の増加を見込んでだろう。例えば、近い将来、中国のCO2の排出量は、現在の全世界のCO2の排出量を上回ると言われている。これだけ物凄い速度でCO2の排出が出ているときに、ちょっとやそっとCO2の排出量を減らす対策をしても全く追いつかないと考えたのだろう。「根本的な解決ができるのは、本当に物凄い技術だけだ」そう考えて超ハイリスクハイリターン戦略をとっているのだと思う。それは、"$0billion and $0million are different."とか「カネを失うのは全くかまわない。だが、成功したときには、見合わないとダメだ」とか「クリーンテクノロジーは、Cindia Effect(中国とインドのCO2排出)を考えたときに意味をなさないとダメだ」という彼の言葉にもあらわれている。
とりあえず、話した内容を以下にまとめてみた。(ランチで聞いた内容と彼の講演の内容が混ざっている)
非常にシンプルで、聞いていると「そうか」と思うのだが、普通はなかなかこういう風には考えられないと思った。
Y.I.「投資の戦略と起業家の戦略のAlignmentはどう考えるのか。技術の莫大なリスクをとるのであれば、成功したときのアップサイドが大きくなるから、リターンは莫大になるだろう。であれば、ビジネス面では、アメリカ人には難しいモノづくりを自分でするのではなく、ライセンスやアウトソースをする等、もっと手堅い戦略をとりたいと考える起業家もいそうだ。それでも個人で数百億円儲けられるのであれば、何もそれ以上ビジネスリスクをとって数千億円を目指さなくても良いと考えるのは自然だと思う。しかし、あなたの投資の戦略では、これを許さないのでは?」
Khosla「技術のリスクをとるということは、必然的にビジネスのリスクは低くなる。今までより技術が圧倒的に優れているときには、マーケットシェアをとるのは難しくない。モノづくりをできる人はゴロゴロ転がっている。教わればいい。ちょっとの時間の問題だ。ライセンスをしている企業は、ポートフォリオにもある。」
Khosla「専門家に頼むととても精密なモデルを使って将来を予測する。だが、精密なモデルの前提は、ダーツの放り投げだ。だから、専門家は間違う。専門家の言う『答え』は当てにならない。だが、専門家の指摘する『問題』は重要だ」
Khosla「専門家のいうことを聞いたとしよう。そうすると、結局、平均点しかとれない(注:他の人と同じことをすることになるので)。平均点に勝つためには、専門家とは違うように考えないといけない」
Khoslaは、ビジネスプランを精査して、デューディリジェンスをするのではなく、『起業家と夕食を食べて、投資を決定する』(傾向がある)と言われている。優れた技術があって、大きなマーケットがあれば、投資をするという印象があったとので、以下の質問をしてみた。
Y.I.「人がダメだったらどうするのか。投資をする前に人がダメだと思ったら投資しないか。物凄い技術で物凄いマーケットでも結論は同じか。MissionaryとMercenaryという基準も大事か。」
Khosla「人がダメなら投資はしない。その場合、物凄い技術は世の中に出てこないからだ。Mercenaryな会社には悩まされることがある。投資した後に気が付いたときには、人を変えるなど問題を解決する。解決できなければ株を売る」
Khosla「私はたくさん調べたうえで、直感に従って投資をする。新しく世の中に出た科学論文は全部読んでいる。技術が、我々の力をもってすれば、3年以内にモノになるか、イノベーションのサイクルを加速できるか、他の人が考えていないようなことか、そういう点に注目しているんだ」
Khosla「『すべてのものが、クリーンに作り直される』本当にそう信じているんだ。家も、もっとクリーンな素材でつくられるだろう(注:彼はCaleraというCO2をCaptureして製造されるセメントの会社に投資した)。このプラスチックのコップも、Renewableな素材でつくりなおされるだろう。このカーペットもそうだ。『すべてのものがクリーンに作り直される』これに賭けたわけだ。賭けが、間違っているかもしれない。だが、自分が、自分の専門とする技術とか強みに従って、賭けをしないのであれば、結局、平均点しかとれないんだ。」
なぜ、スタンフォードがCritical Analytical Thinkingという授業を創設したのか。Khoslaと話をしていて、その理由が分かる気がした。
情報化社会では、「情報をとってくるものが勝つのではない。情報をとってきた人は、平均点で、とって来た情報に対して『Critical Analytical Thinkingと(直感に従った)賭けをし、賭けに勝った人』が本当の勝者なんだ」
Khoslaはそう言っているような気がした。
「Y.I.と申します。」
「Vinod Khoslaだ。」
Vinod Khoslaは、スタンフォードビジネススクールの学生から見ると、オバマと同じくらいヒーローのような存在。
たまに(1年に1度くらい)、教室をウォークインで訪れると、多くの学生達は、最初我が目を疑い、その後、「おー、コスラを見てしまった」という感じで緊張して固まってしまう。
そのKhoslaとランチをする機会に恵まれた。
色々質問してみた。
Vinod Khoslaは、スタンフォードビジネススクールの卒業生(スタンフォードにはWaitlistから無理やり入学したといわれている)。卒業と同時に余り知られていない会社を立ち上げたが、2年くらい後に、Javaで有名なSun MicrosystemsのCo-Founder兼CEOになった。5年くらい後に、このブログでも紹介したKleiner Perkinsに入るためにSun Microsystemsを退職。以来、(やはりこのブログで紹介した)John Doerrと一緒に投資をしてきた。個人資産は、1000億円を超えると言われている(2007年頃のFortuneでは1200億円から1500億円くらいだったような。。。)。クリーンテクノロジーの投資家では、John Doerrと並ぶ巨匠として知られる。
Khoslaは、インド人で顔が黒く、いつも黒っぽい服を着ているので、「Devil(悪魔)」と呼ばれることもある。設立初期の段階でリスクをとって投資をする。そして、上手くいかないと分かると平気で切り捨てる(ファイナンスのリアルオプションの理論からすると当然か)。創業者のチームに対しても、取締役会のメンバーを決める前に、一人一人全員をインタビューして、「出来ない奴」がチームにいる場合には、先に切り捨てる。起業家に対して、ダメなところがあると、遠慮のない厳しく批判をする。そういったところも名前に反映されたのかもしれない。
会う前は、緊張したが、会ってみると、とても「いい人」だった。学校を案内して、
「クリーンテクノロジーに興味のある学生はGSBではどんどん増えています。いらして頂いたので、皆とても喜んでいます」
と言うと、嬉しそうにニコニコしていた。
どんなに厳しい人でも『学生』の前ではガードが下がるということだろうか。
Khoslaは、Kleiner Perkinsを2004年に退職した。その後は、超ハイリスクハイリターンをとることで知られる。このため、当初は、他の投資家から資金を集めて投資するという普通のベンチャーキャピタルのモデルを捨てて、個人で投資をしていたほどだ(その後、クリーンテクノロジーは、とてもCapital Intensiveなので、他の投資家から資金を集めて、投資家の好みに対応したファンドを設立することにした)。
なぜ、超ハイリスクハイリターンをとるのか。その理由は推測だが、恐らく、中国とインドのCO2の排出量の増加を見込んでだろう。例えば、近い将来、中国のCO2の排出量は、現在の全世界のCO2の排出量を上回ると言われている。これだけ物凄い速度でCO2の排出が出ているときに、ちょっとやそっとCO2の排出量を減らす対策をしても全く追いつかないと考えたのだろう。「根本的な解決ができるのは、本当に物凄い技術だけだ」そう考えて超ハイリスクハイリターン戦略をとっているのだと思う。それは、"$0billion and $0million are different."とか「カネを失うのは全くかまわない。だが、成功したときには、見合わないとダメだ」とか「クリーンテクノロジーは、Cindia Effect(中国とインドのCO2排出)を考えたときに意味をなさないとダメだ」という彼の言葉にもあらわれている。
とりあえず、話した内容を以下にまとめてみた。(ランチで聞いた内容と彼の講演の内容が混ざっている)
非常にシンプルで、聞いていると「そうか」と思うのだが、普通はなかなかこういう風には考えられないと思った。
Y.I.「投資の戦略と起業家の戦略のAlignmentはどう考えるのか。技術の莫大なリスクをとるのであれば、成功したときのアップサイドが大きくなるから、リターンは莫大になるだろう。であれば、ビジネス面では、アメリカ人には難しいモノづくりを自分でするのではなく、ライセンスやアウトソースをする等、もっと手堅い戦略をとりたいと考える起業家もいそうだ。それでも個人で数百億円儲けられるのであれば、何もそれ以上ビジネスリスクをとって数千億円を目指さなくても良いと考えるのは自然だと思う。しかし、あなたの投資の戦略では、これを許さないのでは?」
Khosla「技術のリスクをとるということは、必然的にビジネスのリスクは低くなる。今までより技術が圧倒的に優れているときには、マーケットシェアをとるのは難しくない。モノづくりをできる人はゴロゴロ転がっている。教わればいい。ちょっとの時間の問題だ。ライセンスをしている企業は、ポートフォリオにもある。」
Khosla「専門家に頼むととても精密なモデルを使って将来を予測する。だが、精密なモデルの前提は、ダーツの放り投げだ。だから、専門家は間違う。専門家の言う『答え』は当てにならない。だが、専門家の指摘する『問題』は重要だ」
Khosla「専門家のいうことを聞いたとしよう。そうすると、結局、平均点しかとれない(注:他の人と同じことをすることになるので)。平均点に勝つためには、専門家とは違うように考えないといけない」
Khoslaは、ビジネスプランを精査して、デューディリジェンスをするのではなく、『起業家と夕食を食べて、投資を決定する』(傾向がある)と言われている。優れた技術があって、大きなマーケットがあれば、投資をするという印象があったとので、以下の質問をしてみた。
Y.I.「人がダメだったらどうするのか。投資をする前に人がダメだと思ったら投資しないか。物凄い技術で物凄いマーケットでも結論は同じか。MissionaryとMercenaryという基準も大事か。」
Khosla「人がダメなら投資はしない。その場合、物凄い技術は世の中に出てこないからだ。Mercenaryな会社には悩まされることがある。投資した後に気が付いたときには、人を変えるなど問題を解決する。解決できなければ株を売る」
Khosla「私はたくさん調べたうえで、直感に従って投資をする。新しく世の中に出た科学論文は全部読んでいる。技術が、我々の力をもってすれば、3年以内にモノになるか、イノベーションのサイクルを加速できるか、他の人が考えていないようなことか、そういう点に注目しているんだ」
Khosla「『すべてのものが、クリーンに作り直される』本当にそう信じているんだ。家も、もっとクリーンな素材でつくられるだろう(注:彼はCaleraというCO2をCaptureして製造されるセメントの会社に投資した)。このプラスチックのコップも、Renewableな素材でつくりなおされるだろう。このカーペットもそうだ。『すべてのものがクリーンに作り直される』これに賭けたわけだ。賭けが、間違っているかもしれない。だが、自分が、自分の専門とする技術とか強みに従って、賭けをしないのであれば、結局、平均点しかとれないんだ。」
なぜ、スタンフォードがCritical Analytical Thinkingという授業を創設したのか。Khoslaと話をしていて、その理由が分かる気がした。
情報化社会では、「情報をとってくるものが勝つのではない。情報をとってきた人は、平均点で、とって来た情報に対して『Critical Analytical Thinkingと(直感に従った)賭けをし、賭けに勝った人』が本当の勝者なんだ」
Khoslaはそう言っているような気がした。
2010年1月4日月曜日
スタンフォードMBAの授業「社会をどう変えるのか」
スタンフォードMBAの授業をとっている学生が、毎回の授業の内容をレポートするブログがあります。「社会を、ITでどう変えるのか」という趣旨の授業です。そのブログは、以下です。
http://www.powerofsocialtech.com/
最初の方の投稿に、シラバスへのリンクがあります。
シラバスを読むと、授業のコンセプト(どうすればITで社会を変えられるのか)や、スタンフォードのほかのブログへのリンク、また、授業で読むべきとされている文献のリストにもたどりつけます。
ご興味がある方のご参考まで。
http://www.powerofsocialtech.com/
最初の方の投稿に、シラバスへのリンクがあります。
シラバスを読むと、授業のコンセプト(どうすればITで社会を変えられるのか)や、スタンフォードのほかのブログへのリンク、また、授業で読むべきとされている文献のリストにもたどりつけます。
ご興味がある方のご参考まで。
ベタープレイス
MBAの日本人の間でも、クリーンテクノロジーに対する関心が高まっています。
合格された方から、
「MBAに合格しました。ブログ読んでます。クリーンテクノロジーに関心があるので、一度会いませんか。」
という嬉しい連絡を頂くことがあります。
お会いして、
「具体的にどういう分野にご興味があるのですか」
と質問すると、
結構頻繁に頂く御返事が
「うーん。ベタープレイスとか?!」
ベタープレイスは、日本でも、雑誌記事に載るなど、注目を集めています。
環境省がバックアップし、元ルイヴィトン日本CEOでハーバードMBA卒業生の方が、日本のヘッドをされています。
どういう企業なのか。
最も注目されているのが、バッテリースワップ。
どういうことでしょうか。
三菱のアイミーブや日産のリーフに代表されるように、電気自動車が注目される時代になりました。
しかし、電気自動車に積む電池は、まだまだ値段が高く、また、充電に時間がかかります。
箱根に旅行するときなど、長距離を旅行する際に、充電が切れると大変です。
そこで、ベタープレイスは、
「電池は私が持っているのを、お貸しします。携帯電話みたいに、使っただけお金を払って頂ければ結構です。充電が切れても大丈夫ですよ。私共のバッテリースワップステーションで、電池ごと交換しますから、すぐです」
というソリューションを打ち出したのです。
さて、ベタープレイスは、どのくらい成功する確率があるのでしょうか。
「当たるとデカイ」です。なぜなら、一度、スワップステーションが全国にできてしまうと、後発企業の参入障壁が非常に高いからです。
ベタープレイスがバッテリースワップステーションを全国に設置するとする。後発企業からすると、バッテリースワップステーションを全国にいきなり設置するだけ資本がある可能性は低いと思われるので、少しずつになる。ベタープレイスは、いろいろな方法で後発企業の参入を妨害できます(例えば、後発企業のステーションの傍でだけ価格競争する)。また、バッテリーにはいろいろなタイプがあるとすると(あるいはベタープレイスが他の企業のバッテリーとのスワップを許さないとすると)、ユーザからすると、全国にステーションが設置された便利なベタープレイスのほうを使うという風になりやすくなります。
しかし、本当に成功できるのでしょうか。
良くある批判が、電池には色々なタイプがあるので、すべてのタイプを揃えないといけないとすると、バッテリースワップは難しい、という批判。また、電池は重いからスワップは難しいという批判。しかし、いずれも技術的に解決できそうであり、私に届いている情報(真偽は不明)では技術的には解決済みとのこと。
しかし、より難しい問題が、ファイナンスだと思います。
ある情報筋(真偽は不明)によれば、カリフォルニアをバッテリースワップステーションでカバーするだけで1000億円が必要とのこと(電池代を含まない)。電池を入れれば、もっともっと凄い金額になりそうです。
そうすると、ベンチャーには難しいのではないか。
リスクの高いベンチャーは、エクイティで調達するのが基本だと思いますが、ベンチャーキャピタルのファンドの規模(大きくても1つで1000億円くらい)を考えると、エクイティでの全額の調達は無理そうです。ヘッジファンドやプライベートエクイティがベンチャーに投資していたときもありましたが、リーマンショックで、シリコンバレーからは殆どが「蒸発してしまった」といわれています。
エクイティでは足りないので、デットで入れるとすると?
実際にも、ベタープレイスは、デットファイナンスを検討しているという噂です。
しかし、ファイナンスの理論によれば、デットとエクイティの比が重要です。 (デットの比を高めれば、金利に伴う節税効果のために、キャッシュフローの期待値が向上し、当初は企業価値が向上します。しかし、あまりにデットの比率を高めると、今度は倒産する可能性が高くなり、倒産した場合のコストの期待値が計算に入るために企業価値は下がります。)
デットとエクイティの比は、ベタープレイスのように、アセットをたくさん有しているビジネスでは、デットの比率が高めになる傾向があります。 しかし、ここで思い出されるのが、有名なイリジウムのケースです。
イリジウムは、日本の京セラの稲盛氏をはじめとした世界のスーパースターを抱え、ファイナンス業界から注目を集めました。アセットをたくさん有するビジネスであり、また、スーパースターが運営していたため、「利益があまり出る前の段階から」ファイナンス業界が大量の資金をデットで貸したと言われています。
イリジウムは、最後には失敗します。
そして、その教訓として、「アセットがたくさんあれば、確かに『ターゲット』となるデットの比は高くなる。しかし、本当にデットの比を高めるのは、利益がきちんと出てからとすべきで、利益が出る前にデットの比を高めてはいけない」と良く言われます。
ベタープレイスが、イリジウムの二の舞にならなければ良いのですが。
ベタープレイスは、まずはイスラエルなど小さな国から順番にビジネスをはじめています。ここで、利益を出して、デットの比を高められるようにすれば、国土の大きな国に打って出れるかもしれません。また、デットのほかに、政府の資金などを入れようとしています。いずれにしても、大量のカネという意味でダイナミックで、かつ、デットの比を高めるタイミングという意味でセンシティブなExecutionになりそうです。
日産は、「ベタープレイスとセットにされて、日本でバッテリースワップ型の車を出すかのように言われているが、そういう計画は今のところない」との旨の発言をしたと言われています。 しかし、その日産も、ルノーの方で、イスラエルでは、ベタープレイスに協力して、バッテリースワップ型の車を出すと言われています。
おそらく「ベタープレイスがイスラエルで成功すれば、他の国での協力に検討するし、失敗すれば、トカゲの尻尾を切るように切ってしまえば良い」と考えているのでしょう。
ベタープレイスが非常に難しく、センシティブなExecutionに成功するか注目です。
合格された方から、
「MBAに合格しました。ブログ読んでます。クリーンテクノロジーに関心があるので、一度会いませんか。」
という嬉しい連絡を頂くことがあります。
お会いして、
「具体的にどういう分野にご興味があるのですか」
と質問すると、
結構頻繁に頂く御返事が
「うーん。ベタープレイスとか?!」
ベタープレイスは、日本でも、雑誌記事に載るなど、注目を集めています。
環境省がバックアップし、元ルイヴィトン日本CEOでハーバードMBA卒業生の方が、日本のヘッドをされています。
どういう企業なのか。
最も注目されているのが、バッテリースワップ。
どういうことでしょうか。
三菱のアイミーブや日産のリーフに代表されるように、電気自動車が注目される時代になりました。
しかし、電気自動車に積む電池は、まだまだ値段が高く、また、充電に時間がかかります。
箱根に旅行するときなど、長距離を旅行する際に、充電が切れると大変です。
そこで、ベタープレイスは、
「電池は私が持っているのを、お貸しします。携帯電話みたいに、使っただけお金を払って頂ければ結構です。充電が切れても大丈夫ですよ。私共のバッテリースワップステーションで、電池ごと交換しますから、すぐです」
というソリューションを打ち出したのです。
さて、ベタープレイスは、どのくらい成功する確率があるのでしょうか。
「当たるとデカイ」です。なぜなら、一度、スワップステーションが全国にできてしまうと、後発企業の参入障壁が非常に高いからです。
ベタープレイスがバッテリースワップステーションを全国に設置するとする。後発企業からすると、バッテリースワップステーションを全国にいきなり設置するだけ資本がある可能性は低いと思われるので、少しずつになる。ベタープレイスは、いろいろな方法で後発企業の参入を妨害できます(例えば、後発企業のステーションの傍でだけ価格競争する)。また、バッテリーにはいろいろなタイプがあるとすると(あるいはベタープレイスが他の企業のバッテリーとのスワップを許さないとすると)、ユーザからすると、全国にステーションが設置された便利なベタープレイスのほうを使うという風になりやすくなります。
しかし、本当に成功できるのでしょうか。
良くある批判が、電池には色々なタイプがあるので、すべてのタイプを揃えないといけないとすると、バッテリースワップは難しい、という批判。また、電池は重いからスワップは難しいという批判。しかし、いずれも技術的に解決できそうであり、私に届いている情報(真偽は不明)では技術的には解決済みとのこと。
しかし、より難しい問題が、ファイナンスだと思います。
ある情報筋(真偽は不明)によれば、カリフォルニアをバッテリースワップステーションでカバーするだけで1000億円が必要とのこと(電池代を含まない)。電池を入れれば、もっともっと凄い金額になりそうです。
そうすると、ベンチャーには難しいのではないか。
リスクの高いベンチャーは、エクイティで調達するのが基本だと思いますが、ベンチャーキャピタルのファンドの規模(大きくても1つで1000億円くらい)を考えると、エクイティでの全額の調達は無理そうです。ヘッジファンドやプライベートエクイティがベンチャーに投資していたときもありましたが、リーマンショックで、シリコンバレーからは殆どが「蒸発してしまった」といわれています。
エクイティでは足りないので、デットで入れるとすると?
実際にも、ベタープレイスは、デットファイナンスを検討しているという噂です。
しかし、ファイナンスの理論によれば、デットとエクイティの比が重要です。 (デットの比を高めれば、金利に伴う節税効果のために、キャッシュフローの期待値が向上し、当初は企業価値が向上します。しかし、あまりにデットの比率を高めると、今度は倒産する可能性が高くなり、倒産した場合のコストの期待値が計算に入るために企業価値は下がります。)
デットとエクイティの比は、ベタープレイスのように、アセットをたくさん有しているビジネスでは、デットの比率が高めになる傾向があります。 しかし、ここで思い出されるのが、有名なイリジウムのケースです。
イリジウムは、日本の京セラの稲盛氏をはじめとした世界のスーパースターを抱え、ファイナンス業界から注目を集めました。アセットをたくさん有するビジネスであり、また、スーパースターが運営していたため、「利益があまり出る前の段階から」ファイナンス業界が大量の資金をデットで貸したと言われています。
イリジウムは、最後には失敗します。
そして、その教訓として、「アセットがたくさんあれば、確かに『ターゲット』となるデットの比は高くなる。しかし、本当にデットの比を高めるのは、利益がきちんと出てからとすべきで、利益が出る前にデットの比を高めてはいけない」と良く言われます。
ベタープレイスが、イリジウムの二の舞にならなければ良いのですが。
ベタープレイスは、まずはイスラエルなど小さな国から順番にビジネスをはじめています。ここで、利益を出して、デットの比を高められるようにすれば、国土の大きな国に打って出れるかもしれません。また、デットのほかに、政府の資金などを入れようとしています。いずれにしても、大量のカネという意味でダイナミックで、かつ、デットの比を高めるタイミングという意味でセンシティブなExecutionになりそうです。
日産は、「ベタープレイスとセットにされて、日本でバッテリースワップ型の車を出すかのように言われているが、そういう計画は今のところない」との旨の発言をしたと言われています。 しかし、その日産も、ルノーの方で、イスラエルでは、ベタープレイスに協力して、バッテリースワップ型の車を出すと言われています。
おそらく「ベタープレイスがイスラエルで成功すれば、他の国での協力に検討するし、失敗すれば、トカゲの尻尾を切るように切ってしまえば良い」と考えているのでしょう。
ベタープレイスが非常に難しく、センシティブなExecutionに成功するか注目です。
ドリームスクール
スタンフォードMBAは、ハーバードMBAとならび、最も人気のある学校。
昔から統計調査では、「(もしどこのMBAにでも行けるなら)51%の人がスタンフォードMBAに行きたく、49%の人がハーバードMBAに行きたい」という結果が出ていると聞いたことがあります。
ところが、最近良く
「スタンフォードMBAに出願しようと思っていて、合格率の低さにびっくりした。カウンセラーからも、時間の無駄だから受けるなって言われた。でもドリームスクールだからどうしよう。時間の無駄かなぁ。」
というような相談を受けます。
こういうアドバイスを外人のカウンセラーから強く受けると、Confrontationの文化のない日本人(若者)は、結構、シュンとなるかもしれません。
しかし、MBAに留学してアメリカ人と議論してきた経験からすると、(クチだけの人にならない限り)アメリカ人に対しては、自信を持って、自分がいかにすぐれていて、受かるポテンシャルがあるのか反論すべきだと思います。例えば、Andrew Groveを見ていても、アメリカ人は、意見と意見を正面から衝突させるConfrontationを大切にします。まるで、弁護士が法廷で主張のすべてを出し尽くすように。
個人のレベルとしては、時間を使うという小さなリスクをとって、高い目標を目指すチャレンジ精神を大切にしたいです。
もっと大きなレベルでは(裏の話)、実は、Vicious Cycleが出来つつあり、流れを変える必要もあるのです。
以下は本当にあった話です。
(アドミッションとの会話)
日本人在校生・卒業生有志:「日本人合格者を増やしてください」
アドミッションオフィス:「出願者数が足りない。日本人はもっとスタンフォードMBAを受けるべきだ。興味がなくなっているのか」
(元ディーンとの会話)
私:「日本人は今一学年3人です。もっと人数を増やして頂けると嬉しいのですが。」
元ディーンのBob Joss:「一学年3人なのは知っているよ。日本のGDPは世界2番目だから、もっと合格者を増やしたいね。ただ、他の国と比べて、圧倒的に出願者数が足りない」
日本人から見ると、「受けても受からないから受けない」
スタンフォードMBAから見ると、「あまり受けてこないので、取る人数を減らす」
このサイクルが決まってしまうと、どんどんStanford MBAの日本人が減ってしまいます。
昔から統計調査では、「(もしどこのMBAにでも行けるなら)51%の人がスタンフォードMBAに行きたく、49%の人がハーバードMBAに行きたい」という結果が出ていると聞いたことがあります。
ところが、最近良く
「スタンフォードMBAに出願しようと思っていて、合格率の低さにびっくりした。カウンセラーからも、時間の無駄だから受けるなって言われた。でもドリームスクールだからどうしよう。時間の無駄かなぁ。」
というような相談を受けます。
こういうアドバイスを外人のカウンセラーから強く受けると、Confrontationの文化のない日本人(若者)は、結構、シュンとなるかもしれません。
しかし、MBAに留学してアメリカ人と議論してきた経験からすると、(クチだけの人にならない限り)アメリカ人に対しては、自信を持って、自分がいかにすぐれていて、受かるポテンシャルがあるのか反論すべきだと思います。例えば、Andrew Groveを見ていても、アメリカ人は、意見と意見を正面から衝突させるConfrontationを大切にします。まるで、弁護士が法廷で主張のすべてを出し尽くすように。
個人のレベルとしては、時間を使うという小さなリスクをとって、高い目標を目指すチャレンジ精神を大切にしたいです。
もっと大きなレベルでは(裏の話)、実は、Vicious Cycleが出来つつあり、流れを変える必要もあるのです。
以下は本当にあった話です。
(アドミッションとの会話)
日本人在校生・卒業生有志:「日本人合格者を増やしてください」
アドミッションオフィス:「出願者数が足りない。日本人はもっとスタンフォードMBAを受けるべきだ。興味がなくなっているのか」
(元ディーンとの会話)
私:「日本人は今一学年3人です。もっと人数を増やして頂けると嬉しいのですが。」
元ディーンのBob Joss:「一学年3人なのは知っているよ。日本のGDPは世界2番目だから、もっと合格者を増やしたいね。ただ、他の国と比べて、圧倒的に出願者数が足りない」
日本人から見ると、「受けても受からないから受けない」
スタンフォードMBAから見ると、「あまり受けてこないので、取る人数を減らす」
このサイクルが決まってしまうと、どんどんStanford MBAの日本人が減ってしまいます。
2010年1月3日日曜日
MissionaryとMercenary
John Doerrについて、補足。
1.投資とポートフォリオについて
ある雑誌記事のインタビューによれば、「投資をする際には、技術、マーケット、チームを見る」そうです。
そして、スタートアップを、「MissionaryタイプとMercenaryタイプ」という観点から見るようです。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。(John Doerrの2009年の講演より)

いくつかのシリコンバレーの企業で働いてみました。
実際に、シリコンバレーの企業で働いてみると、「心地よい」と感じるスタートアップは、Missionaryな要素をたくさん持っていました。「カスタマーの視点に立つように」というような指示が末端のスタッフにまで行き届きます。また、仕事をしていても、常にチームのサポートがあります。「ファウンダーだけが良い思いをしている」ということはなく、若くても、結果を出していれば、大切にされます。
逆に、働いてみて「凄いんだろうけれど、ストレスを感じる」スタートアップは、Mercenaryな要素をたくさん持っていました。例えば、「金をもうけて将来楽をしたい」(Making Money、The deffered Life Plan)という発想で、「今を、自分の情熱に従って生きる」という感じがあまりありません。また、何か仕事をしていても、チームのサポートがなく、「●●しておいて」と普通の感覚であれば「奇跡を起こせ」というような指示がとびます(loners)。顧客の立場に立とうという発想もなく、「競争者に勝つために、顧客が●を要求したらその顧客は切ろう」という議論が平気でまかり通ります。さらに、設立間際であるにもかかわらず、「あと7年で市場を全部とる」というようなOptimisticな議論が戦略もなくされます。これを変えようと、頑張っても、ファウンダーが最も強い(aristocracy)ので、筋がとおっていたとしても、なかなか意見が通りません。
Kleiner自体は、Missionaryになりたいのだと思います。例えば、インターネットのトーマス・エジソンと呼ばれるBill Joyやアルゴアがパートナーにいる一方で、大変若いパートナーもいるようです。
2.キャリアアドバイス
John Doerrは、以下のような経験を若いうちに積むと良い、と講演しています。
・Launch a product
・Manage a douzen or more employees
・Learn great management processes from the best: GE, Intel, Amazon, Cisco, Intuit, Google
より具体的には、以下のようなスキルを得るべきだと言います。
・Ability to listen actively, think critically
・Communicate (think on your feet, debating the merits of issues, whether large or small groups)
そして、その理由として、以下のように述べています。
“Ideas are easy. Execution is everything. It takes a team to win.”
従って、「事を成す」ためには、チームをinspireする必要がある。チームをinspireするためには、think on your feetのスキルを使って、行くべき方向にチームを導く必要がある、と言うのです。
他にも、特に以下のようなことを学ぶべきだと語ります。
・Confront problem without confronting others
・Recruit, to sell, to hire and fire, inspire, manage, develop and motivate with tough love
・Extra points for humor
さらにネットワークが非常に重要なので、「毎日10分間ネットワーキングに時間を使うように」と言います。そして、マーケティング、セールス、ビジネスディベロップメントの各ポジションが、ネットワークをするのに最適なポジションだと語ります。
そして、こうしたスキルを身につけた結果、「起業するべきときは、自分で分かる。多くの人にとって、これはSprintじゃない。Marathonなんだ」と言います(上記表を参照)。
勿論、グーグルの創業者のサーゲイとラリーのように、例外はあります。
「もし君が例外なら、僕の講演が終わった後、すぐに来てくれ」とのことでした。
1.投資とポートフォリオについて
ある雑誌記事のインタビューによれば、「投資をする際には、技術、マーケット、チームを見る」そうです。
そして、スタートアップを、「MissionaryタイプとMercenaryタイプ」という観点から見るようです。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。(John Doerrの2009年の講演より)

いくつかのシリコンバレーの企業で働いてみました。
実際に、シリコンバレーの企業で働いてみると、「心地よい」と感じるスタートアップは、Missionaryな要素をたくさん持っていました。「カスタマーの視点に立つように」というような指示が末端のスタッフにまで行き届きます。また、仕事をしていても、常にチームのサポートがあります。「ファウンダーだけが良い思いをしている」ということはなく、若くても、結果を出していれば、大切にされます。
逆に、働いてみて「凄いんだろうけれど、ストレスを感じる」スタートアップは、Mercenaryな要素をたくさん持っていました。例えば、「金をもうけて将来楽をしたい」(Making Money、The deffered Life Plan)という発想で、「今を、自分の情熱に従って生きる」という感じがあまりありません。また、何か仕事をしていても、チームのサポートがなく、「●●しておいて」と普通の感覚であれば「奇跡を起こせ」というような指示がとびます(loners)。顧客の立場に立とうという発想もなく、「競争者に勝つために、顧客が●を要求したらその顧客は切ろう」という議論が平気でまかり通ります。さらに、設立間際であるにもかかわらず、「あと7年で市場を全部とる」というようなOptimisticな議論が戦略もなくされます。これを変えようと、頑張っても、ファウンダーが最も強い(aristocracy)ので、筋がとおっていたとしても、なかなか意見が通りません。
Kleiner自体は、Missionaryになりたいのだと思います。例えば、インターネットのトーマス・エジソンと呼ばれるBill Joyやアルゴアがパートナーにいる一方で、大変若いパートナーもいるようです。
2.キャリアアドバイス
John Doerrは、以下のような経験を若いうちに積むと良い、と講演しています。
・Launch a product
・Manage a douzen or more employees
・Learn great management processes from the best: GE, Intel, Amazon, Cisco, Intuit, Google
より具体的には、以下のようなスキルを得るべきだと言います。
・Ability to listen actively, think critically
・Communicate (think on your feet, debating the merits of issues, whether large or small groups)
そして、その理由として、以下のように述べています。
“Ideas are easy. Execution is everything. It takes a team to win.”
従って、「事を成す」ためには、チームをinspireする必要がある。チームをinspireするためには、think on your feetのスキルを使って、行くべき方向にチームを導く必要がある、と言うのです。
他にも、特に以下のようなことを学ぶべきだと語ります。
・Confront problem without confronting others
・Recruit, to sell, to hire and fire, inspire, manage, develop and motivate with tough love
・Extra points for humor
さらにネットワークが非常に重要なので、「毎日10分間ネットワーキングに時間を使うように」と言います。そして、マーケティング、セールス、ビジネスディベロップメントの各ポジションが、ネットワークをするのに最適なポジションだと語ります。
そして、こうしたスキルを身につけた結果、「起業するべきときは、自分で分かる。多くの人にとって、これはSprintじゃない。Marathonなんだ」と言います(上記表を参照)。
勿論、グーグルの創業者のサーゲイとラリーのように、例外はあります。
「もし君が例外なら、僕の講演が終わった後、すぐに来てくれ」とのことでした。
伝説のベンチャーキャピタリスト、John Doerrとは
Kleiner Perkinsの話題をもう一つ。そのパートナーの一人、John Doerrについて。
以前にご紹介したとおり、シリコンバレーでは有名人です(例えば、こちらの記事)。
個人資産は、1200億円。アメリカのBest Leadersの一人にも選ばれました。
クリーンテクノロジーの分野のベンチャーキャピタリストでは、Vinod KhoslaとJohn Doerrが2人の「巨匠」とするのが一般的だと思います(例えば、こちらの記事を参照)
クライナーパーキンスは、2000年か2001年頃からクリーンテクノロジーの領域に進出しましたが、その契機について明らかにしているのが、以下のJohn Doerrの2007年の講演です。
John Doerr2007年講演 (ビデオを見る時間がない方は、こちらに抜粋があります)
この講演では、「私は怖い」と語る最初から感情的で、最後は泣き出してしまいます。
以前にもご紹介したとおり、John Doerrの所属するKleiner Perkinsは、異常なトラックレコードを叩き出してきました。2009年のJohn Doerrの公表によれば、Kleiner Perkinsのトラックレコードは、以下のとおりです。
・Annual Revenue:10兆円
・時価総額:50兆円
・33年間で475件に投資。
・今までに173件がIPO。163件がM&AでExit。
しかし、そんなKleiner Perkinsの力を持ってしてさえ、Climate Changeの非常事態を解決できないかもしれない。だから、John Doerrは、講演中に「私は怖い」と語るのだと思います。
Doerrによれば、エクソン・モービルの『一日』の売り上げは、1000億円を超えます。一方で、Kleiner Perkinsのグリーンテクノロジーファンドの規模は、約1000億円。
「未来を予測するのに最も簡単な方法は、未来を発明すること。二番目に簡単なのは、それについてファイナンスすること」とDoerrは、語ります。未来は予見できないので、それなら、つくりだすのがよい、という趣旨でしょう。しかし、エクソン・モービルの一日の売り上げ(1000億円)や中国のCO2排出量の増加には凄まじいものがあります(詳しくは、John Doerr2007年講演を参照)。Kleinerの力をもってしても、未来をつくりだせるのか「怖い」とDoerrは感じているのだと思います。
先に述べたように、Doerrによれば、エクソン・モービルの『一日』の売り上げは、1000億円超。2007年当時のアメリカ政府のグリーンテクノロジーに関する予算も1000億円程度。この講演の中で、彼は、クリーンテクノロジーの分野では、「政策が非常に大事だ」と語ります。起業家の力だけでは問題は解決できず、なんとしても政策が必要だというのです。そして、具体的に5つの政策を以下の記事で提唱しています。
The Green Road to Prosperity. By: Doerr, John, Scientific American Earth 3.0, 19361513, 2009, Vol. 19, Issue 1
「政策が必要」という言葉通り、Doerrは、アメリカ政府に対して、強いパイプを作り出してきました。昨年2月に大統領に対するアドバイザリーボードのメンバーになったのです(こちらの記事)。
そのインセンティブではなく、結果の方を中心に吟味して、「クリーンテクノロジーに対してシリコンバレーのトップベンチャーキャピタリストは真剣なのではない。政府とのパイプが欲しいだけだ。」とする経済専門家の声もあります。私自身、ある教授から、「クリーンテクノロジーは、近い将来、熱が冷めるだろう。中国とインドの二酸化炭素排出量の増加は、もうどうしようもない。ベンチャーキャピタリスト達が投資しているのも、政府とのコネが欲しいだけだろう」とアドバイスをもらったことがあります。確かに、政府とのコネを得たのは、Doerrだけではなく、Foundation Capitalなどのクリーンテクノロジーに強い他のベンチャーキャピタルファームも同じ。例えば、スタンフォードビジネススクールを最近卒業したばかりのFoundation CapitalのSteve Vassalloも、最近大統領からホワイトハウスに意見聴取に呼ばれたと話していました。
しかし、Doerrがクリーンテクノロジーへの検討をはじめたのが、2000年か2001年頃。その後、環境問題に興味のなかったように見えるブッシュ政権の時代にも、グリーンテクノロジーへの投資を続けています。 本当に、政府とのコネが欲しかっただけならば、ブッシュ政権の時代にグリーンテクノロジーへの投資はしないのではないかと思います。
これは、John Doerr2007年講演で見せた涙を、真実の涙ととるか、単なるパフォーマンスととるかという違いでもあると思います。
以前にご紹介したとおり、シリコンバレーでは有名人です(例えば、こちらの記事)。
個人資産は、1200億円。アメリカのBest Leadersの一人にも選ばれました。
クリーンテクノロジーの分野のベンチャーキャピタリストでは、Vinod KhoslaとJohn Doerrが2人の「巨匠」とするのが一般的だと思います(例えば、こちらの記事を参照)
クライナーパーキンスは、2000年か2001年頃からクリーンテクノロジーの領域に進出しましたが、その契機について明らかにしているのが、以下のJohn Doerrの2007年の講演です。
John Doerr2007年講演 (ビデオを見る時間がない方は、こちらに抜粋があります)
この講演では、「私は怖い」と語る最初から感情的で、最後は泣き出してしまいます。
以前にもご紹介したとおり、John Doerrの所属するKleiner Perkinsは、異常なトラックレコードを叩き出してきました。2009年のJohn Doerrの公表によれば、Kleiner Perkinsのトラックレコードは、以下のとおりです。
・Annual Revenue:10兆円
・時価総額:50兆円
・33年間で475件に投資。
・今までに173件がIPO。163件がM&AでExit。
しかし、そんなKleiner Perkinsの力を持ってしてさえ、Climate Changeの非常事態を解決できないかもしれない。だから、John Doerrは、講演中に「私は怖い」と語るのだと思います。
Doerrによれば、エクソン・モービルの『一日』の売り上げは、1000億円を超えます。一方で、Kleiner Perkinsのグリーンテクノロジーファンドの規模は、約1000億円。
「未来を予測するのに最も簡単な方法は、未来を発明すること。二番目に簡単なのは、それについてファイナンスすること」とDoerrは、語ります。未来は予見できないので、それなら、つくりだすのがよい、という趣旨でしょう。しかし、エクソン・モービルの一日の売り上げ(1000億円)や中国のCO2排出量の増加には凄まじいものがあります(詳しくは、John Doerr2007年講演を参照)。Kleinerの力をもってしても、未来をつくりだせるのか「怖い」とDoerrは感じているのだと思います。
先に述べたように、Doerrによれば、エクソン・モービルの『一日』の売り上げは、1000億円超。2007年当時のアメリカ政府のグリーンテクノロジーに関する予算も1000億円程度。この講演の中で、彼は、クリーンテクノロジーの分野では、「政策が非常に大事だ」と語ります。起業家の力だけでは問題は解決できず、なんとしても政策が必要だというのです。そして、具体的に5つの政策を以下の記事で提唱しています。
The Green Road to Prosperity. By: Doerr, John, Scientific American Earth 3.0, 19361513, 2009, Vol. 19, Issue 1
「政策が必要」という言葉通り、Doerrは、アメリカ政府に対して、強いパイプを作り出してきました。昨年2月に大統領に対するアドバイザリーボードのメンバーになったのです(こちらの記事)。
そのインセンティブではなく、結果の方を中心に吟味して、「クリーンテクノロジーに対してシリコンバレーのトップベンチャーキャピタリストは真剣なのではない。政府とのパイプが欲しいだけだ。」とする経済専門家の声もあります。私自身、ある教授から、「クリーンテクノロジーは、近い将来、熱が冷めるだろう。中国とインドの二酸化炭素排出量の増加は、もうどうしようもない。ベンチャーキャピタリスト達が投資しているのも、政府とのコネが欲しいだけだろう」とアドバイスをもらったことがあります。確かに、政府とのコネを得たのは、Doerrだけではなく、Foundation Capitalなどのクリーンテクノロジーに強い他のベンチャーキャピタルファームも同じ。例えば、スタンフォードビジネススクールを最近卒業したばかりのFoundation CapitalのSteve Vassalloも、最近大統領からホワイトハウスに意見聴取に呼ばれたと話していました。
しかし、Doerrがクリーンテクノロジーへの検討をはじめたのが、2000年か2001年頃。その後、環境問題に興味のなかったように見えるブッシュ政権の時代にも、グリーンテクノロジーへの投資を続けています。 本当に、政府とのコネが欲しかっただけならば、ブッシュ政権の時代にグリーンテクノロジーへの投資はしないのではないかと思います。
これは、John Doerr2007年講演で見せた涙を、真実の涙ととるか、単なるパフォーマンスととるかという違いでもあると思います。
Stanford MBA Round 1合格者
スタンフォードMBAのラウンド1の合格者が発表になりました。
私がかつて所属していた弁護士事務所の先輩で、プライベートエクイティファンドに転職した方が合格しました。
やはりこのブログを参考にされたそうです。
これで2年連続ブログ読者が高い確率でStanford MBAに合格しています。統計はとっていませんが、在校生と話す限り、おそらく合格者の10割がこのブログを読んでいると思います。
お役に立てているのであれば、嬉しい限りです。
受験される方は、過去の記事に、合格法をたくさんのせてあります(左側の欄のタグで「MBA留学合格法」をクリックすると表示されます)ので、参考にされて下さい。
私がかつて所属していた弁護士事務所の先輩で、プライベートエクイティファンドに転職した方が合格しました。
やはりこのブログを参考にされたそうです。
これで2年連続ブログ読者が高い確率でStanford MBAに合格しています。統計はとっていませんが、在校生と話す限り、おそらく合格者の10割がこのブログを読んでいると思います。
お役に立てているのであれば、嬉しい限りです。
受験される方は、過去の記事に、合格法をたくさんのせてあります(左側の欄のタグで「MBA留学合格法」をクリックすると表示されます)ので、参考にされて下さい。
2009年12月31日木曜日
Kleiner Perkinsの5つの成功の法則
Kleiner Perkinsについて記載をしたついでに、彼らの投資基準を下に書いておきたいと思う。
一人のパートナーが9から11のポートフォリオにしか関与できないため、これらを満たさないスタートアップには投資しないらしい。
1. Leadership
2. Large and transformational market
3. Reasonable financing
4 Sense of Urgency
5. People who are missionaries but not mercenaries
1番目は分かりやすい。
2番目について、「マーケットがあれば技術のリスクはとるが、マーケットが大きくないとかReadyでない分野では投資しない」とコメントしていた。確かに、彼らのポートフォリオを見てみると、業界の第一人科学者から「その技術はうまくいかない」とコメントを受けた企業がある。
3番目について、スタートアップのファウンダーは、あるべきバリュエーションよりも高過ぎるバリュエーションを求めすぎることがある。これは単にカネを入れすぎることはできないというよりも、「そういう目先の欲深い人はそもそも成功しない」ということだと思う。例えば、最初のバリュエーションが高すぎるとRound B以降でファイナンスがつきにくくなってしまう。結局、IPOまでいけず、潰れてしまうことになりかねない。目先の欲にとらわれてはダメということなのだろう。
4番目について、競争者に勝って、最初に動かないといけないし、一番にならないといけない。そのために「何としてもやってやる」という気構えが必要との旨を話していた。
5番目について。金儲けが目的の人ではなく、世の中にバリューをつくりだすなど、別のより崇高なことが目的の人でないといけない。5番目については、John Doerrは、Mercenaryでもうまく行くと講演したことがあるが、自分が一緒に働くのなら、missionaryの方が良いとも講演していた。5番目については、以前紹介したJohn Doerrの愛読書のMonk and the Riddle: The Education of a Silicon Valley Entrepreneur (Harvard Business School press tip sheet)
に更に詳しい説明がのっている。クライナーのパートナーが書いた本だ。
ここまで書くと、
「そんなの当たり前じゃないか」
と思われる方も多いかもしれない。
しかし、実際にいくつかシリコンバレーのスタートアップとプロジェクトをしてみて、5つ揃っていない企業は結構ある。
ある企業は、素晴らしい技術を持っていたが、上記の3番と5番に欠けていた。金儲けに走っているのが目に見えるのだ。有名なベンチャーキャピタリスト、Vinod KhoslaからTermSheetを提示されたのに、バリュエーションが低い、とはねた。その企業はまだプロダクトもなかったし、高いバリュエーションを期待するのは難しい。mercenariesにありがちなそうなのだが、チームにdiversityがなく、顧客よりも競争相手にフォーカスしてしまっており、さらに、ミッションやバリューよりもファイナンスの話が多い。こういったすべての帰結として、従業員もついていかず、上記の1番にも欠けてしまっていた。
ある企業は、日本の大企業よりも動くのがのろく、また、マーケットがとても小さかった。上記の2番と4番に欠けていたのだ。
スタンフォードの教授で、ヴェリタスのファウンダーのMark Leslie教授は、もう少し単純なことを言われていた。
「マーケットが悪くて、チームが良いときには、マーケットが勝つ。マーケットが良くて、チームが悪いときにもマーケットが勝つ。マーケットもチームも良いときには、何か特別なことが起こる」
たしかに、上記の2番目以外は、「チーム」という枠で人くくりにできる。
一人のパートナーが9から11のポートフォリオにしか関与できないため、これらを満たさないスタートアップには投資しないらしい。
1. Leadership
2. Large and transformational market
3. Reasonable financing
4 Sense of Urgency
5. People who are missionaries but not mercenaries
1番目は分かりやすい。
2番目について、「マーケットがあれば技術のリスクはとるが、マーケットが大きくないとかReadyでない分野では投資しない」とコメントしていた。確かに、彼らのポートフォリオを見てみると、業界の第一人科学者から「その技術はうまくいかない」とコメントを受けた企業がある。
3番目について、スタートアップのファウンダーは、あるべきバリュエーションよりも高過ぎるバリュエーションを求めすぎることがある。これは単にカネを入れすぎることはできないというよりも、「そういう目先の欲深い人はそもそも成功しない」ということだと思う。例えば、最初のバリュエーションが高すぎるとRound B以降でファイナンスがつきにくくなってしまう。結局、IPOまでいけず、潰れてしまうことになりかねない。目先の欲にとらわれてはダメということなのだろう。
4番目について、競争者に勝って、最初に動かないといけないし、一番にならないといけない。そのために「何としてもやってやる」という気構えが必要との旨を話していた。
5番目について。金儲けが目的の人ではなく、世の中にバリューをつくりだすなど、別のより崇高なことが目的の人でないといけない。5番目については、John Doerrは、Mercenaryでもうまく行くと講演したことがあるが、自分が一緒に働くのなら、missionaryの方が良いとも講演していた。5番目については、以前紹介したJohn Doerrの愛読書のMonk and the Riddle: The Education of a Silicon Valley Entrepreneur (Harvard Business School press tip sheet)
ここまで書くと、
「そんなの当たり前じゃないか」
と思われる方も多いかもしれない。
しかし、実際にいくつかシリコンバレーのスタートアップとプロジェクトをしてみて、5つ揃っていない企業は結構ある。
ある企業は、素晴らしい技術を持っていたが、上記の3番と5番に欠けていた。金儲けに走っているのが目に見えるのだ。有名なベンチャーキャピタリスト、Vinod KhoslaからTermSheetを提示されたのに、バリュエーションが低い、とはねた。その企業はまだプロダクトもなかったし、高いバリュエーションを期待するのは難しい。mercenariesにありがちなそうなのだが、チームにdiversityがなく、顧客よりも競争相手にフォーカスしてしまっており、さらに、ミッションやバリューよりもファイナンスの話が多い。こういったすべての帰結として、従業員もついていかず、上記の1番にも欠けてしまっていた。
ある企業は、日本の大企業よりも動くのがのろく、また、マーケットがとても小さかった。上記の2番と4番に欠けていたのだ。
スタンフォードの教授で、ヴェリタスのファウンダーのMark Leslie教授は、もう少し単純なことを言われていた。
「マーケットが悪くて、チームが良いときには、マーケットが勝つ。マーケットが良くて、チームが悪いときにもマーケットが勝つ。マーケットもチームも良いときには、何か特別なことが起こる」
たしかに、上記の2番目以外は、「チーム」という枠で人くくりにできる。
2009年12月30日水曜日
Stanford MBAの教授は日本をどう見ているか
スタンフォードビジネススクールへの出願の追い上げの時期だ。
私も2年前のクリスマス頃の時期には、エッセイを書き直して書き直して過ごしていたことを覚えている。
そういう時期なので、Stanford GSBの教授が、
「日本についてどう見ているのか」
について書いてみたい。
スタンフォードビジネススクールの元Dean(学長)であるRobert Joss。
授業を取って以来、顔を覚えてもらい、自宅の豪邸にも呼ばれた。スタンフォードビジネススクールでは、教授が学生を家に呼び、学生が教授をコーヒーやランチに誘うなど、教授がapproachableなところに特徴がある。
彼が日本の朝日新聞のシンポジウムの討論会に出て帰ってきた後のこと。
朝日新聞が彼の発言をどうまとめたのか、「翻訳してくれ」と部屋に呼び出された。
私:「読んでみました。(冗談で)レピュテーションを下げるような発言はありませんでした。」
Bob:「笑。それよりも、Y.I.、日本にいったが、元気がなくてびっくりしたよ。アメリカは、不景気だけど、『自分たちならできる』という精神を忘れていないし、元気だぞ」
私:「日本は、起業家が社会的にまだまだ評価されていないと思います。青色LEDの発明者は、『日本で起業して失敗したら自殺しなくてはいけない』と演説したそうです。もっと、日本人の合格者を増やしていただけると嬉しいのですが。」
Bob:「日本のGDPが世界で2番であることを考えると、できれば3人よりは合格者を増やすべきだ。起業もいいけど、私は、日本の問題は、企業の組織のマネジメントにあると思う。」
Bob:「日本はモノづくりはうまい。しかし、チームとか、組織のカルチャーとかは、まだまだだと思う。例えば、会議で若い人達が下を向いて発言をしないのでは人材の無駄づかいだ。スタンフォードビジネススクールに、それを変えられる人に来て欲しい。」
Bob:「あと、日本のサービス産業は、世界のレベルと比べて低いよね。」
Bob Jossは、Deanの前には、ウェルズファーゴ銀行の幹部、オーストラリアで最大の銀行のCEOなどで働いた経歴を持つ。今は、シティバンクの取締役だ。
別の教授Edward Lazearからも同じようなコメントを受けた。
彼は、元大統領経済諮問委員会委員長だった。アメリカの大統領に対して経済のアドバイスをする人の中で、一番偉い人だ。
教授「日本の景気(注:失われた10年のことを指し、リーマンショックのことを指していない)は、随分前に回復している。日本政府が、銀行に対して打ち出した政策は、遅くはあったが、成功したんだ。リーマンショックのとき、私がアメリカ政府にいたときには、日本政府が当時打ち出した政策を真似したんだ。ただ、日本のように遅い段階でしたのではなく、物凄いスピードで実行したんだ。結果は素晴らしいと思う。アメリカの景気は随分前から上向きに回復してきているよ。」
教授「日本にとっての誤算は、中国をはじめとした他のアジアの国の台頭だ。彼らが、ものづくりの競争に入ってきた。これらの国に対して、これから日本がものづくりの競争に勝っていくのは、私にはどんどん厳しいと思う。サービス産業に移行すべきだろう」
教授「サービス産業に移行すれば、人材の流動性も進む。ものづくりのスキルよりもサービス産業のスキルの方が、industry specificじゃないからね。」
大統領アドバイザーだったほどの教授の授業をとれるのは本当に幸福なことだ。
しかし、サービス産業に移行すべきだというのはどういうことだろうか。
元インテル3代目CEOで「経営の神様」と呼ばれるアンディ・グローブ。
彼は、今でもスタンフォードビジネススクールで教鞭をとっている。
そんなアンディ・グローブの授業をとる機会に恵まれた。電気自動車とクリーンな石炭の分野で、どのような戦略行動(Strategic Action)をとるべきか、という授業だ。
彼が授業で強調した概念の一つが、ストラテジックインフレクションポイントという概念だ。(詳細は、インテル戦略転換
を参照されたい)
これは、技術、競争、サプライヤーパワー、バイヤーパワー、Substituteなどが飛躍的に変化する(10X Forces)と、それが様々な変化を呼び、幾何級数的な変化を引き起こし、結果、従来通用した競争の方程式が、通用しなくなり、新たな競争の方程式に適用できた企業は生き残るが、適用できなかった企業は痛い目を見る、という概念だ。
良くあがる例が、チャップリンとウォルマート。技術の飛躍的な変化で、無声映画に対して、音声映画が可能となったとき、変化に適応せず、無声のパントマイムにこだわった役者達は痛い目を見た。また、ウォルマートが町にやってくると、「競争」に10X Forceが生じる。町の小さな店は、今までのやり方で競争するのではなく、例えば「文房具にフォーカスする」といったストラテジックな変化をする必要があるというのだ。
アンディ・グローブは、ストラテジック・インフレクション・ポイントの概念が国家のレベルでも通用すると考えていた(これをSelf-Similarity Across Scaleというらしい)。
「中国や韓国の台頭で『競争』に10X Forcesが生じ、Strategic Inflection Pointとなった。日本にとって競争の方程式が変わった」Edward Lazear教授はそのように考えたのかもしれない。
しかし、現実問題として、日本は、世界のほかの国と言葉とカルチャーが違うから、サービス産業での競争にはハンデがつきやすいのではないか。しかも、百歩譲って、サービス産業に移行するとしても、具体的には何なのか。
そう質問しようとしたとき、Lazear教授は、「記者会見があるからまたね」と去っていってしまった。
私も2年前のクリスマス頃の時期には、エッセイを書き直して書き直して過ごしていたことを覚えている。
そういう時期なので、Stanford GSBの教授が、
「日本についてどう見ているのか」
について書いてみたい。
スタンフォードビジネススクールの元Dean(学長)であるRobert Joss。
授業を取って以来、顔を覚えてもらい、自宅の豪邸にも呼ばれた。スタンフォードビジネススクールでは、教授が学生を家に呼び、学生が教授をコーヒーやランチに誘うなど、教授がapproachableなところに特徴がある。
彼が日本の朝日新聞のシンポジウムの討論会に出て帰ってきた後のこと。
朝日新聞が彼の発言をどうまとめたのか、「翻訳してくれ」と部屋に呼び出された。
私:「読んでみました。(冗談で)レピュテーションを下げるような発言はありませんでした。」
Bob:「笑。それよりも、Y.I.、日本にいったが、元気がなくてびっくりしたよ。アメリカは、不景気だけど、『自分たちならできる』という精神を忘れていないし、元気だぞ」
私:「日本は、起業家が社会的にまだまだ評価されていないと思います。青色LEDの発明者は、『日本で起業して失敗したら自殺しなくてはいけない』と演説したそうです。もっと、日本人の合格者を増やしていただけると嬉しいのですが。」
Bob:「日本のGDPが世界で2番であることを考えると、できれば3人よりは合格者を増やすべきだ。起業もいいけど、私は、日本の問題は、企業の組織のマネジメントにあると思う。」
Bob:「日本はモノづくりはうまい。しかし、チームとか、組織のカルチャーとかは、まだまだだと思う。例えば、会議で若い人達が下を向いて発言をしないのでは人材の無駄づかいだ。スタンフォードビジネススクールに、それを変えられる人に来て欲しい。」
Bob:「あと、日本のサービス産業は、世界のレベルと比べて低いよね。」
Bob Jossは、Deanの前には、ウェルズファーゴ銀行の幹部、オーストラリアで最大の銀行のCEOなどで働いた経歴を持つ。今は、シティバンクの取締役だ。
別の教授Edward Lazearからも同じようなコメントを受けた。
彼は、元大統領経済諮問委員会委員長だった。アメリカの大統領に対して経済のアドバイスをする人の中で、一番偉い人だ。
教授「日本の景気(注:失われた10年のことを指し、リーマンショックのことを指していない)は、随分前に回復している。日本政府が、銀行に対して打ち出した政策は、遅くはあったが、成功したんだ。リーマンショックのとき、私がアメリカ政府にいたときには、日本政府が当時打ち出した政策を真似したんだ。ただ、日本のように遅い段階でしたのではなく、物凄いスピードで実行したんだ。結果は素晴らしいと思う。アメリカの景気は随分前から上向きに回復してきているよ。」
教授「日本にとっての誤算は、中国をはじめとした他のアジアの国の台頭だ。彼らが、ものづくりの競争に入ってきた。これらの国に対して、これから日本がものづくりの競争に勝っていくのは、私にはどんどん厳しいと思う。サービス産業に移行すべきだろう」
教授「サービス産業に移行すれば、人材の流動性も進む。ものづくりのスキルよりもサービス産業のスキルの方が、industry specificじゃないからね。」
大統領アドバイザーだったほどの教授の授業をとれるのは本当に幸福なことだ。
しかし、サービス産業に移行すべきだというのはどういうことだろうか。
元インテル3代目CEOで「経営の神様」と呼ばれるアンディ・グローブ。
彼は、今でもスタンフォードビジネススクールで教鞭をとっている。
そんなアンディ・グローブの授業をとる機会に恵まれた。電気自動車とクリーンな石炭の分野で、どのような戦略行動(Strategic Action)をとるべきか、という授業だ。
彼が授業で強調した概念の一つが、ストラテジックインフレクションポイントという概念だ。(詳細は、インテル戦略転換
これは、技術、競争、サプライヤーパワー、バイヤーパワー、Substituteなどが飛躍的に変化する(10X Forces)と、それが様々な変化を呼び、幾何級数的な変化を引き起こし、結果、従来通用した競争の方程式が、通用しなくなり、新たな競争の方程式に適用できた企業は生き残るが、適用できなかった企業は痛い目を見る、という概念だ。
良くあがる例が、チャップリンとウォルマート。技術の飛躍的な変化で、無声映画に対して、音声映画が可能となったとき、変化に適応せず、無声のパントマイムにこだわった役者達は痛い目を見た。また、ウォルマートが町にやってくると、「競争」に10X Forceが生じる。町の小さな店は、今までのやり方で競争するのではなく、例えば「文房具にフォーカスする」といったストラテジックな変化をする必要があるというのだ。
アンディ・グローブは、ストラテジック・インフレクション・ポイントの概念が国家のレベルでも通用すると考えていた(これをSelf-Similarity Across Scaleというらしい)。
「中国や韓国の台頭で『競争』に10X Forcesが生じ、Strategic Inflection Pointとなった。日本にとって競争の方程式が変わった」Edward Lazear教授はそのように考えたのかもしれない。
しかし、現実問題として、日本は、世界のほかの国と言葉とカルチャーが違うから、サービス産業での競争にはハンデがつきやすいのではないか。しかも、百歩譲って、サービス産業に移行するとしても、具体的には何なのか。
そう質問しようとしたとき、Lazear教授は、「記者会見があるからまたね」と去っていってしまった。
Stanford MBAの学生の『憧れの職業』
「Y.I.、クライナーパーキンスって知っている?最近はじめて名前を聞いたよ~」
ベトナム人のクラスメートに言われて驚いた。まさかシリコンバレーの中心で、クライナーパーキンスを知らないスタンフォードビジネススクールの学生がいるとは。。。
「意外と知られていないのかな」
そう思って日本の友人に聞いてみると、意外と
「クライナーって何?」
という反応。
そこで、一度クライナーパーキンスについて、簡単に書いてみることにした。
シリコンバレーでクライナーパーキンスは知らない人がいないくらい有名な存在。
世界でトップのベンチャーキャピタルの一つだ。
そのトラックレコードを下にまとめてみた(クライナーパーキンスのパートナーJohn Doerrが2009年に公表したものをそのまま翻訳している。ただし、1ドル100円で換算)。
・Annual Revenue:10兆円
・時価総額:50兆円
・33年間で475件に投資。
・今までに173件がIPO。163件がM&AでExit。
日本の国家予算が85兆円くらいだと思われる。
Annual Revenueは、その約9分の1、時価総額はその半分以上。
33年間で475件に投資して、336件がIPO又はM&AでExitしているということは、少なく見積もっても、約70%がきちんとExitしていることになる。実際には、成功率はもっと高いはずだ(不況の中で好景気になるまでIPOを待っているポートフォリオや、まだ投資して間もない初期の段階にあるポートフォリオがあるだろう)。
John Doerrは、「自分の仕事は、投資家から投資された金額を10倍にして返すことだ。そして、今までは、それに成功してきた」と話す。
「自分のお金を10倍にしてくれる」のであれば、誰でもクライナーパーキンスにカネを入れたくなる。
しかし、クライナーパーキンスに投資するのは難しい。とても閉鎖的なコミュニティなのだ。会ってもらうのさえ難しい。日本の投資家で、「クライナーにカネを入れることができた」という例は聞いたことがない。『やっと会ってもらえた』と興奮する例はある。
クライナーは、創業初期の段階から、グーグル、アマゾン、AOL、コンパック、ジェネンテック、Intuit、サン・マイクロシステムズ、ネットスケープ、ロータスといったそうそうたる企業に投資して、育て上げてきた。
クライナーが投資をして育てた会社は、どうなったか。
例えば、1994年にクライナーのJohn Doerrは、ネットスケープに4億円を投資した。昔、スタンフォードビジネススクールのアンディ・グローブの授業中に、John Doerrが、ネットスケープに熱狂していたことは今でも語り継がれている。そのときアンディ・グローブは、「ネットスケープは、ネットの歴史で脚注くらいの存在になるだろう」と反対したそうだ。結局、ネットスケープは、4000億円で買収された。
グーグルに対する投資の際には、20%の株式を25億円で取得。その後、グーグルの時価総額は一時期10兆円をつけた。
アマゾンでも、投資額が55000%となったといわれている。
クライナーのチームには、アルゴア元副大統領、パウエル元国務長官といった政治家もいれば、サン・マイクロシステムズを創業時から一流企業に育て上げたCTOのBill Joyなどの技術家、オラクル(世界No2のソフトウェアの会社)の社長兼COO出身のRay Laneなどのビジネスマンもいる。
「クライナーパーキンスのパートナーにいつかなりたい」というのは、多くのスタンフォードビジネススクールの学生の普通の心情だ。クライナーのパートナーは、スタンフォードビジネススクールの学生にとっても憧れの職業なのだ。しかし、ビジネススクールを卒業してすぐには、会うことは出来てもパートナーにはなれない。卒業後に「1年くらいしたら辞めます。単なる経験として働いてみたい」と話せば、プリンシパルのレベルであれば、雇ってもらえる例がある。しかし、彼らがパートナーにのぼっていくことはないだろう。パートナーになるのは、アルゴアのようにずば抜けた人か、クライナーのポートフォリオで、(投資ではなく)マネジメントをした経験のあるアントレプレナーなのだ。横からパートナーになるのが通常だ。
それもあって、スタンフォードビジネススクールでは、「若くて元気のあるうちには、起業して苦労して、年をとって疲れたら、クライナーなどのベンチャーキャピタルで、投資をして、ポートフォリオを助ける」というキャリアパスを理想と考える学生が多い。
そんなクライナーも最近クリーンテックに対する投資をはじめた。
今ではクリーンテクノロジーで50のポートフォリオを持つ。
しかし、一見すると、苦戦しているように見えた。
・例えばポートフォリオのBloomenergyは、燃料電池の会社。しかし、秘密主義で有名だ。スタンフォードビジネススクールを出た従業員に対してさえ、情報をあかさなかった。こうした態度から、「秘密にするということは何もないのだろう。何かあれば情報を出すはずだ」という噂がスタンフォードで囁かれるようになった。さらに、「燃料電池って、随分前から『実現まであと10年』と言い続けられて来たけど、結局何10年たっても実現しないし、今でも『実現まであと10年』っていわれているよね」という声も出るようになってきた。
・AusraはSolar Thermalの会社。Solar Thermalというと格好良いが、要は、太陽光をレンズで集光して水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回すという原理だ。1年位前に、マネジメントが、「今のままではコスト面で勝てない」と弱音を吐いたという噂がシリコンバレーで囁かれた。
・Fiskerはプラグインハイブリッドカーの会社だ。しかし、日本の自動車の大企業などと正面衝突するのだろうか。。。何か物凄いCompetitive Advantageがあるのであれば別だが、そういう情報は少なくともスタンフォードのレベルには入ってこない。「大丈夫なのかなぁ」という気持ちになってくる。
・また、バイオ燃料の会社に大量に投資をしている。しかし、スタンフォードのノーベル賞を受賞した教授は、バイオ燃料が、CO2排出量を減らすのは難しいという旨を熱弁していた。また、バイオ燃料の会社を一流にするのは200億円程度の投資が必要といわれており、Capital Intensiveだ。
・唯一、最近シリコンバレーでIPOの噂が囁かれるSilverSpringNetworksに対しては、創業初期に投資をすることができず、最近になってようやくカネを入れた。
また、クライナーのクリーンテクノロジーのポートフォリオでIPOした会社があるという話はあまり聞かない。
しかし、百聞は一見に如かず、実際に働いてみようということで、クライナーの会社で数ヶ月間くらい働いてみた。
もとサンマイクロシステムズのCTOであるBill Joyがリードインベスターの会社だ。
ステルスモードの会社なので、詳細は記載できないが、確かに凄い。
他の多くのベンチャーとはレベルが違った。
電池のコストが馬鹿げているほど安いのだ。
「もしかすると本当に世界を変えるかもしれない」と感じた。
さて、そんなクライナーパーキンスで、トップの投資家と言われているJohn Doerrの愛読書のリストと「スタートアップ成功マニュアル」を手に入れた。
まず、彼の愛読書は、以下のとおりだ。
Startup: A Silicon Valley Adventure Story
Monk and the Riddle: The Education of a Silicon Valley Entrepreneur (Harvard Business School press tip sheet)
Good to Great: Why Some Companies Make the Leap...And Others Don't
Banker To The Poor: Micro-Lending and the Battle Against World Poverty
The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Century
Hot, Flat, and Crowded: Why We Need a Green Revolution-and How It Can Renew America
An Inconvenient Truth: The Planetary Emergency of Global Warming and What We Can Do About It
Our Choice: A Plan to Solve the Climate Crisis
そして、彼のスタートアップ成功マニュアルは、以下のとおりだ。
スタートアップ成功マニュアル
ベトナム人のクラスメートに言われて驚いた。まさかシリコンバレーの中心で、クライナーパーキンスを知らないスタンフォードビジネススクールの学生がいるとは。。。
「意外と知られていないのかな」
そう思って日本の友人に聞いてみると、意外と
「クライナーって何?」
という反応。
そこで、一度クライナーパーキンスについて、簡単に書いてみることにした。
シリコンバレーでクライナーパーキンスは知らない人がいないくらい有名な存在。
世界でトップのベンチャーキャピタルの一つだ。
そのトラックレコードを下にまとめてみた(クライナーパーキンスのパートナーJohn Doerrが2009年に公表したものをそのまま翻訳している。ただし、1ドル100円で換算)。
・Annual Revenue:10兆円
・時価総額:50兆円
・33年間で475件に投資。
・今までに173件がIPO。163件がM&AでExit。
日本の国家予算が85兆円くらいだと思われる。
Annual Revenueは、その約9分の1、時価総額はその半分以上。
33年間で475件に投資して、336件がIPO又はM&AでExitしているということは、少なく見積もっても、約70%がきちんとExitしていることになる。実際には、成功率はもっと高いはずだ(不況の中で好景気になるまでIPOを待っているポートフォリオや、まだ投資して間もない初期の段階にあるポートフォリオがあるだろう)。
John Doerrは、「自分の仕事は、投資家から投資された金額を10倍にして返すことだ。そして、今までは、それに成功してきた」と話す。
「自分のお金を10倍にしてくれる」のであれば、誰でもクライナーパーキンスにカネを入れたくなる。
しかし、クライナーパーキンスに投資するのは難しい。とても閉鎖的なコミュニティなのだ。会ってもらうのさえ難しい。日本の投資家で、「クライナーにカネを入れることができた」という例は聞いたことがない。『やっと会ってもらえた』と興奮する例はある。
クライナーは、創業初期の段階から、グーグル、アマゾン、AOL、コンパック、ジェネンテック、Intuit、サン・マイクロシステムズ、ネットスケープ、ロータスといったそうそうたる企業に投資して、育て上げてきた。
クライナーが投資をして育てた会社は、どうなったか。
例えば、1994年にクライナーのJohn Doerrは、ネットスケープに4億円を投資した。昔、スタンフォードビジネススクールのアンディ・グローブの授業中に、John Doerrが、ネットスケープに熱狂していたことは今でも語り継がれている。そのときアンディ・グローブは、「ネットスケープは、ネットの歴史で脚注くらいの存在になるだろう」と反対したそうだ。結局、ネットスケープは、4000億円で買収された。
グーグルに対する投資の際には、20%の株式を25億円で取得。その後、グーグルの時価総額は一時期10兆円をつけた。
アマゾンでも、投資額が55000%となったといわれている。
クライナーのチームには、アルゴア元副大統領、パウエル元国務長官といった政治家もいれば、サン・マイクロシステムズを創業時から一流企業に育て上げたCTOのBill Joyなどの技術家、オラクル(世界No2のソフトウェアの会社)の社長兼COO出身のRay Laneなどのビジネスマンもいる。
「クライナーパーキンスのパートナーにいつかなりたい」というのは、多くのスタンフォードビジネススクールの学生の普通の心情だ。クライナーのパートナーは、スタンフォードビジネススクールの学生にとっても憧れの職業なのだ。しかし、ビジネススクールを卒業してすぐには、会うことは出来てもパートナーにはなれない。卒業後に「1年くらいしたら辞めます。単なる経験として働いてみたい」と話せば、プリンシパルのレベルであれば、雇ってもらえる例がある。しかし、彼らがパートナーにのぼっていくことはないだろう。パートナーになるのは、アルゴアのようにずば抜けた人か、クライナーのポートフォリオで、(投資ではなく)マネジメントをした経験のあるアントレプレナーなのだ。横からパートナーになるのが通常だ。
それもあって、スタンフォードビジネススクールでは、「若くて元気のあるうちには、起業して苦労して、年をとって疲れたら、クライナーなどのベンチャーキャピタルで、投資をして、ポートフォリオを助ける」というキャリアパスを理想と考える学生が多い。
そんなクライナーも最近クリーンテックに対する投資をはじめた。
今ではクリーンテクノロジーで50のポートフォリオを持つ。
しかし、一見すると、苦戦しているように見えた。
・例えばポートフォリオのBloomenergyは、燃料電池の会社。しかし、秘密主義で有名だ。スタンフォードビジネススクールを出た従業員に対してさえ、情報をあかさなかった。こうした態度から、「秘密にするということは何もないのだろう。何かあれば情報を出すはずだ」という噂がスタンフォードで囁かれるようになった。さらに、「燃料電池って、随分前から『実現まであと10年』と言い続けられて来たけど、結局何10年たっても実現しないし、今でも『実現まであと10年』っていわれているよね」という声も出るようになってきた。
・AusraはSolar Thermalの会社。Solar Thermalというと格好良いが、要は、太陽光をレンズで集光して水を沸騰させ、その蒸気でタービンを回すという原理だ。1年位前に、マネジメントが、「今のままではコスト面で勝てない」と弱音を吐いたという噂がシリコンバレーで囁かれた。
・Fiskerはプラグインハイブリッドカーの会社だ。しかし、日本の自動車の大企業などと正面衝突するのだろうか。。。何か物凄いCompetitive Advantageがあるのであれば別だが、そういう情報は少なくともスタンフォードのレベルには入ってこない。「大丈夫なのかなぁ」という気持ちになってくる。
・また、バイオ燃料の会社に大量に投資をしている。しかし、スタンフォードのノーベル賞を受賞した教授は、バイオ燃料が、CO2排出量を減らすのは難しいという旨を熱弁していた。また、バイオ燃料の会社を一流にするのは200億円程度の投資が必要といわれており、Capital Intensiveだ。
・唯一、最近シリコンバレーでIPOの噂が囁かれるSilverSpringNetworksに対しては、創業初期に投資をすることができず、最近になってようやくカネを入れた。
また、クライナーのクリーンテクノロジーのポートフォリオでIPOした会社があるという話はあまり聞かない。
しかし、百聞は一見に如かず、実際に働いてみようということで、クライナーの会社で数ヶ月間くらい働いてみた。
もとサンマイクロシステムズのCTOであるBill Joyがリードインベスターの会社だ。
ステルスモードの会社なので、詳細は記載できないが、確かに凄い。
他の多くのベンチャーとはレベルが違った。
電池のコストが馬鹿げているほど安いのだ。
「もしかすると本当に世界を変えるかもしれない」と感じた。
さて、そんなクライナーパーキンスで、トップの投資家と言われているJohn Doerrの愛読書のリストと「スタートアップ成功マニュアル」を手に入れた。
まず、彼の愛読書は、以下のとおりだ。
Startup: A Silicon Valley Adventure Story
Monk and the Riddle: The Education of a Silicon Valley Entrepreneur (Harvard Business School press tip sheet)
Good to Great: Why Some Companies Make the Leap...And Others Don't
Banker To The Poor: Micro-Lending and the Battle Against World Poverty
The World Is Flat: A Brief History of the Twenty-first Century
Hot, Flat, and Crowded: Why We Need a Green Revolution-and How It Can Renew America
An Inconvenient Truth: The Planetary Emergency of Global Warming and What We Can Do About It
Our Choice: A Plan to Solve the Climate Crisis
そして、彼のスタートアップ成功マニュアルは、以下のとおりだ。
スタートアップ成功マニュアル
2009年10月23日金曜日
スタンフォードGSB Japanグループの参加への御案内
Stanford.GSB.Japanというスタンフォードの卒業生、在校生、出願予定者のためのグーグルグループを試験的に作成致しました。
【特徴及び機能】
・スタンフォード(ビジネススクール以外も含む)の卒業生、在校生、出願予定者であれば、他のメンバーに迷惑を及ぼす恐れがない限り、基本的に誰でも参加できます。
・メーリングリスト機能がありますので、メンバーであれば誰でも、質問等を投稿でき、メンバー間で情報交換ができます。また、在校生からスタンフォードに関する情報が届きます。
・その他Discussion Boardなど、グーグルグループの一般的な機能が使用可能です。
【グループへの参加方法】
グループにはメーリングリスト機能がありますが、メンバーに対する迷惑メールを防止するため、グループに参加するためには、以下の情報を、
stanford.gsb.japan@gmail.com
までお送り下さい。
・御名前
・現在の所属先部署を含む簡単なバックグラウンド
・件名に、「スタンフォード」という文字を含めて下さい。
手動で招待をお送りしますので、時間がかかるかもしれませんが、御容赦下さい。また、記入漏れがある場合には、グループへの登録を致しません。なお、当然ですが、上記情報を第三者に対して無断で開示することはありません。
【ディスクレーマー】
他のメンバーに対して迷惑となる行為(例:迷惑メール)をされたメンバーについては、発見し次第、グループから削除させて頂くことがあります。
これは試験的な試みですので、私個人への質問が多くなるなど、管理しきれなくなった場合には、グループを無断で閉鎖する可能性があります。
stanford.gsb.japan@gmail.comは、私が個人として使用しているメールではありませんので、こちらにメールを御送信頂いても、私からの返信はございません。
【特徴及び機能】
・スタンフォード(ビジネススクール以外も含む)の卒業生、在校生、出願予定者であれば、他のメンバーに迷惑を及ぼす恐れがない限り、基本的に誰でも参加できます。
・メーリングリスト機能がありますので、メンバーであれば誰でも、質問等を投稿でき、メンバー間で情報交換ができます。また、在校生からスタンフォードに関する情報が届きます。
・その他Discussion Boardなど、グーグルグループの一般的な機能が使用可能です。
【グループへの参加方法】
グループにはメーリングリスト機能がありますが、メンバーに対する迷惑メールを防止するため、グループに参加するためには、以下の情報を、
stanford.gsb.japan@gmail.com
までお送り下さい。
・御名前
・現在の所属先部署を含む簡単なバックグラウンド
・件名に、「スタンフォード」という文字を含めて下さい。
手動で招待をお送りしますので、時間がかかるかもしれませんが、御容赦下さい。また、記入漏れがある場合には、グループへの登録を致しません。なお、当然ですが、上記情報を第三者に対して無断で開示することはありません。
【ディスクレーマー】
他のメンバーに対して迷惑となる行為(例:迷惑メール)をされたメンバーについては、発見し次第、グループから削除させて頂くことがあります。
これは試験的な試みですので、私個人への質問が多くなるなど、管理しきれなくなった場合には、グループを無断で閉鎖する可能性があります。
stanford.gsb.japan@gmail.comは、私が個人として使用しているメールではありませんので、こちらにメールを御送信頂いても、私からの返信はございません。
2009年9月20日日曜日
何があなたにとって、最も大切ですか
"Life isn't a game that has a final score. Nor a riddle that has an answer. Nor a mountain that has a summit."
"Life is an endless unfolding, and if we wish it to be, an endless process of self-discovery, an endless and unpredictable dialogue between our own potentialities and the life situations in which we find ourselves."
(Gardner, “Personal Renewal” p51)
"[W]e want meaning in our lives."
"You have to build meaning in your life, and you build it through your commitments."
"You may commit yourself to strive for certain achievements or you may commit yourself to a way of being. There are men and women who make the world better just by being the kind of people they are. It matters very little whether they're behind the wheel of a truck or running a corporation or bringing up a family."
(Gardner, “Personal Renewal” pp47-48. For "There are men and women who make the world better just by being the kind of people they are," see http://www.gsb.stanford.edu/news/headlines/joss_essay.html)
Then, how do you want to be?
Is it discipline, unselfishness, courage, optimism, chivalry, hope, never give-up, respect, trust, humility, loyalty or something else?
Shackleton: "Some people say it is wrong to regard life as a game; I don't think so"
"Life to me means the greatest of all games. The danger lies in treating it as a trivial game, a game to be taken lightly, and a game in which the rules don't matter much. The rules matter a great deal. The game has to be played fairly, or it is no game at all. And even to win the game is not the chief end. The chief end is to win it honorably and splendidly. To this chief end several things are necessary. Loyalty is one. Discipline is another. Unselfishness is another. Courage is another. Optimism is another. And Chivalry is another."
"The only message I can think of for your boys is: in trouble, danger, and disappointment never give up hope. The worst can always be got over."
(Morrell & Capparell, Shackleton’s Way, Viking (2001) pp. 209-211)
Robert Joss: "...you’ll learn that it’s not about power or fame or fortune, but about the immense satisfaction that comes from moving an organization in the right direction. You’ll have to take responsibility, assess the onslaught of data and opinions available to you, set a strategy, and keep your organization on course. You’ll also have to earn the respect and trust of your employees so that they follow your lead. And, you’ll have to work to retain your humility, your ethical vigilance, and your sense of purpose. As you prepare for your second year at the GSB, think about what more you can learn in order to better prepare yourselves for this exciting and significant challenge. "
(Robert Joss, former dean of Stanford GSB)
Gardner: "Meaning is not something you stumble across, like the answer to a riddle or the prize in a treasure hunt. Meaning is something you build into your life. You build it out of your own past, out of your affections and loyalties, out of the experience of humankind as it is passed on to you, out of your own talent and understanding, out of the things you believe in, out of the things and people you love, out of the values for which you are willing to sacrifice for something. The ingredients are there. You are the only one who can put them together into that unique pattern that will be your life. Let it be a life that has dignity and meaning for you. If it does, then the particular balance of success or failure--as the world measures success or failure--is of less account."
(Gardner, “Personal Renewal” p53)
(受験生の方への注:今回からコピーペーストしてエッセイを書いた場合、恐らく不合格となると思います。なぜなら、グーグルアナリティクスで分析する限り、スタンフォードビジネススクールの受験生の殆どが、本ブログを読んでいると思われ、必ず1人はコピーペーストをする人がいるはずだからです。二人が、本ブログに記載されているようなマイナーな文句について、同じ引用をした場合、2人とも不合格になるのは確実だと思います)
"Life is an endless unfolding, and if we wish it to be, an endless process of self-discovery, an endless and unpredictable dialogue between our own potentialities and the life situations in which we find ourselves."
(Gardner, “Personal Renewal” p51)
"[W]e want meaning in our lives."
"You have to build meaning in your life, and you build it through your commitments."
"You may commit yourself to strive for certain achievements or you may commit yourself to a way of being. There are men and women who make the world better just by being the kind of people they are. It matters very little whether they're behind the wheel of a truck or running a corporation or bringing up a family."
(Gardner, “Personal Renewal” pp47-48. For "There are men and women who make the world better just by being the kind of people they are," see http://www.gsb.stanford.edu/news/headlines/joss_essay.html)
Then, how do you want to be?
Is it discipline, unselfishness, courage, optimism, chivalry, hope, never give-up, respect, trust, humility, loyalty or something else?
Shackleton: "Some people say it is wrong to regard life as a game; I don't think so"
"Life to me means the greatest of all games. The danger lies in treating it as a trivial game, a game to be taken lightly, and a game in which the rules don't matter much. The rules matter a great deal. The game has to be played fairly, or it is no game at all. And even to win the game is not the chief end. The chief end is to win it honorably and splendidly. To this chief end several things are necessary. Loyalty is one. Discipline is another. Unselfishness is another. Courage is another. Optimism is another. And Chivalry is another."
"The only message I can think of for your boys is: in trouble, danger, and disappointment never give up hope. The worst can always be got over."
(Morrell & Capparell, Shackleton’s Way, Viking (2001) pp. 209-211)
Robert Joss: "...you’ll learn that it’s not about power or fame or fortune, but about the immense satisfaction that comes from moving an organization in the right direction. You’ll have to take responsibility, assess the onslaught of data and opinions available to you, set a strategy, and keep your organization on course. You’ll also have to earn the respect and trust of your employees so that they follow your lead. And, you’ll have to work to retain your humility, your ethical vigilance, and your sense of purpose. As you prepare for your second year at the GSB, think about what more you can learn in order to better prepare yourselves for this exciting and significant challenge. "
(Robert Joss, former dean of Stanford GSB)
Gardner: "Meaning is not something you stumble across, like the answer to a riddle or the prize in a treasure hunt. Meaning is something you build into your life. You build it out of your own past, out of your affections and loyalties, out of the experience of humankind as it is passed on to you, out of your own talent and understanding, out of the things you believe in, out of the things and people you love, out of the values for which you are willing to sacrifice for something. The ingredients are there. You are the only one who can put them together into that unique pattern that will be your life. Let it be a life that has dignity and meaning for you. If it does, then the particular balance of success or failure--as the world measures success or failure--is of less account."
(Gardner, “Personal Renewal” p53)
(受験生の方への注:今回からコピーペーストしてエッセイを書いた場合、恐らく不合格となると思います。なぜなら、グーグルアナリティクスで分析する限り、スタンフォードビジネススクールの受験生の殆どが、本ブログを読んでいると思われ、必ず1人はコピーペーストをする人がいるはずだからです。二人が、本ブログに記載されているようなマイナーな文句について、同じ引用をした場合、2人とも不合格になるのは確実だと思います)
2009年9月17日木曜日
スタンフォードMBA合格法:エッセイ
Pollでのリクエストの数が本日付で7人と多いようなので、Stanford MBAの合格法を書きたいと思います。
Stanford GSBの合格法に興味のない方には、全く面白くないと思いますので、今回は読み飛ばして下さい。また、Stanford Sloanを受験される方も、私にSloanの合格法が書けるとは思えませんので、今回は読み飛ばして下さい。
最初に質問です。以下のうち、Stanford MBAに合格するアプリカントは誰でしょうか。
1:Aさんは、投資銀行に勤務して、日本最大級のM&Aのディールをリードした経験がある。今は著名なヘッジファンドでスタープレーヤー。学生時代に会社を3つたちあげて、3つとも売却した経験がある。
2:Bさんは、会社に失望して退職し、今は山にこもって仙人のような生活をしている。
3:Cさんは、プライベートエクイティに勤務していたが、自分は実は俳優業に興味があることが分かり、退職した。職を探して転々として無職のときに、Stanford GSBを受験した。
AさんやBさんのような人がStanford GSBを受験したかどうかは知りませんが、私のクラスメートには、Cさんのような人がいます。ちなみに、バークレーでは、Bさんのような人が合格したことがあるそうです。
Stanford MBAのエッセイを書くときに、良くある間違えは、achievementを強調し過ぎてしまうことだと思われます。Aさんのような輝かしい経歴があっても、エッセイにachievementばかりを記載すると落とされると思われます。
これは何故かを考えてみたいと思います。
まず、Stanford GSBのミッションを見てみてください。
http://www.gsb.stanford.edu/about/mission.html
次に合格基準を見てみてください。
http://www.gsb.stanford.edu/mba/admission/admission_criteria.html
この2つを総合して分かることは、Stanfordとしては、受験生が、ミッションに記載してあるような人物に、卒業して10年、20年後になる可能性があるかを見ているということだと思われます。
そのために、「あなたにとって一番重要なことは何ですか」というようなパーソナリティを問うエッセイが、メインエッセイになっているのだと思います。というのも、例えばintellectual curiosity(合格基準でもあります)などのパーソナリティの中には、本質的に、大人になってからの教育で変えることが『難しい』ものがあるからです。(注;パーソナリティには、「これが良くて、あれが悪い」というようなものは本来ないのかもしれませんが、例えば、intellectual curiosityがない場合には、(合格基準から推測されるように)Stanford MBAの教育やミッションにはフィットしないという方向に推測が働くということだと思われます。もう一つ注意すべき点は、仮に例えばintellectual curiosityがないとみなされても、これだけでは落とされないということです。良く言われることですが、アプリケーションを総合して判断がなされます。そして、「intellectual curiosityがない」などの一部の要素だけでmissionにあるような人物になるポテンシャルがあるかどうかを判断することはできないと思われます。最後にもう一つ、パーソナリティの多くは、intellectual curiosityを含めて、大人になってからの教育で、変えられるものと考えられますし、実際に多くのクラスメートのパーソナリティは変化しています。以上、当たり前なのですが、念のための注でした)
Stanford MBAとしては、「誰が、ミッションに記載してあるような人物に卒業後数十年してなる可能性があるのか」という『ポテンシャル』を見ているのだということを忘れてしまうと、メインエッセイでachievementばかりを記載してしまって、
「この人は、経歴は凄いけれど、パーソナリティが分からないから、我々の教育で伸びるかどうか分からない。それに、もしかするとarrogantかもしれない。そもそも、そんなに凄い経歴があるなら、我々の教育を受ける必要はないのでは。」
などと思われてしまって、落とされる可能性が高いのではないかと思われます。
それでは、ポテンシャルがあることは、どのようにしたら示せるのでしょうか。
これを考えるにあたって、以下の文献は、Admissionの視点に立つという意味で、参考になるように思われます(実際にスタンフォードで使用されている教材です)。
ぱっと思いつく「受ける」パーソナリティをあげると、intellectual curiosityのほかには、compassion, trust, optimism, empathy, confidenceの強さなどでしょうか。逆に受けないパーソナリティは、例えば、arrogantな気がします。
manipulativeになる必要はないのですが、上記の文献を読んで、アドミッションに「受ける」パーソナリティや「ストーリー」を意識しつつ、自分を信じて、素のままの自分のパーソナリティを書くのが良いと思います。
これをするにあたって、例えば、10歳くらいのときの経験のうち、印象に残っている出来事を考えてみて、それが自分の人格形成にどう影響を与えたか考えてみると良いかもしれません。例えば、以下のような感じです(実際のクラスメートの例です)。
・「自分は、10歳の夏に、はじめて『ビジネス』を経験した。アイスキャンディーを仕入れてきて、売るという単純なものだった。その過程で、いろいろな人と話をし、自分には、セールスの才能があることを学び、自信がついた。その自信は、次のセールスに結びつき、最終的に、学生時代に起業した際に、とても役に立った」
・「自分は、10歳のときに、クラスメートの女の子が、いじめにあって、雪をぶつけられているのを発見した。自分は、なぜかは分からないが、立ち上がって、クラスメートを救わなくては、という気持ちになった。この経験は、自信をつけ、正義のために立ち上がり、courageがあるというパーソナリティの形成に大きく貢献した」
なお、achievementを書くべきではないという趣旨ではございません。念のため。
Stanford GSBの合格法に興味のない方には、全く面白くないと思いますので、今回は読み飛ばして下さい。また、Stanford Sloanを受験される方も、私にSloanの合格法が書けるとは思えませんので、今回は読み飛ばして下さい。
最初に質問です。以下のうち、Stanford MBAに合格するアプリカントは誰でしょうか。
1:Aさんは、投資銀行に勤務して、日本最大級のM&Aのディールをリードした経験がある。今は著名なヘッジファンドでスタープレーヤー。学生時代に会社を3つたちあげて、3つとも売却した経験がある。
2:Bさんは、会社に失望して退職し、今は山にこもって仙人のような生活をしている。
3:Cさんは、プライベートエクイティに勤務していたが、自分は実は俳優業に興味があることが分かり、退職した。職を探して転々として無職のときに、Stanford GSBを受験した。
AさんやBさんのような人がStanford GSBを受験したかどうかは知りませんが、私のクラスメートには、Cさんのような人がいます。ちなみに、バークレーでは、Bさんのような人が合格したことがあるそうです。
Stanford MBAのエッセイを書くときに、良くある間違えは、achievementを強調し過ぎてしまうことだと思われます。Aさんのような輝かしい経歴があっても、エッセイにachievementばかりを記載すると落とされると思われます。
これは何故かを考えてみたいと思います。
まず、Stanford GSBのミッションを見てみてください。
http://www.gsb.stanford.edu/about/mission.html
次に合格基準を見てみてください。
http://www.gsb.stanford.edu/mba/admission/admission_criteria.html
この2つを総合して分かることは、Stanfordとしては、受験生が、ミッションに記載してあるような人物に、卒業して10年、20年後になる可能性があるかを見ているということだと思われます。
そのために、「あなたにとって一番重要なことは何ですか」というようなパーソナリティを問うエッセイが、メインエッセイになっているのだと思います。というのも、例えばintellectual curiosity(合格基準でもあります)などのパーソナリティの中には、本質的に、大人になってからの教育で変えることが『難しい』ものがあるからです。(注;パーソナリティには、「これが良くて、あれが悪い」というようなものは本来ないのかもしれませんが、例えば、intellectual curiosityがない場合には、(合格基準から推測されるように)Stanford MBAの教育やミッションにはフィットしないという方向に推測が働くということだと思われます。もう一つ注意すべき点は、仮に例えばintellectual curiosityがないとみなされても、これだけでは落とされないということです。良く言われることですが、アプリケーションを総合して判断がなされます。そして、「intellectual curiosityがない」などの一部の要素だけでmissionにあるような人物になるポテンシャルがあるかどうかを判断することはできないと思われます。最後にもう一つ、パーソナリティの多くは、intellectual curiosityを含めて、大人になってからの教育で、変えられるものと考えられますし、実際に多くのクラスメートのパーソナリティは変化しています。以上、当たり前なのですが、念のための注でした)
Stanford MBAとしては、「誰が、ミッションに記載してあるような人物に卒業後数十年してなる可能性があるのか」という『ポテンシャル』を見ているのだということを忘れてしまうと、メインエッセイでachievementばかりを記載してしまって、
「この人は、経歴は凄いけれど、パーソナリティが分からないから、我々の教育で伸びるかどうか分からない。それに、もしかするとarrogantかもしれない。そもそも、そんなに凄い経歴があるなら、我々の教育を受ける必要はないのでは。」
などと思われてしまって、落とされる可能性が高いのではないかと思われます。
それでは、ポテンシャルがあることは、どのようにしたら示せるのでしょうか。
これを考えるにあたって、以下の文献は、Admissionの視点に立つという意味で、参考になるように思われます(実際にスタンフォードで使用されている教材です)。
Kotter, John P. (1990) “What Leaders Really Do,” HBR R3820
Goffee & Jones, (2000) “Why should anyone be lead by you?” HBR R00506
ぱっと思いつく「受ける」パーソナリティをあげると、intellectual curiosityのほかには、compassion, trust, optimism, empathy, confidenceの強さなどでしょうか。逆に受けないパーソナリティは、例えば、arrogantな気がします。
manipulativeになる必要はないのですが、上記の文献を読んで、アドミッションに「受ける」パーソナリティや「ストーリー」を意識しつつ、自分を信じて、素のままの自分のパーソナリティを書くのが良いと思います。
これをするにあたって、例えば、10歳くらいのときの経験のうち、印象に残っている出来事を考えてみて、それが自分の人格形成にどう影響を与えたか考えてみると良いかもしれません。例えば、以下のような感じです(実際のクラスメートの例です)。
・「自分は、10歳の夏に、はじめて『ビジネス』を経験した。アイスキャンディーを仕入れてきて、売るという単純なものだった。その過程で、いろいろな人と話をし、自分には、セールスの才能があることを学び、自信がついた。その自信は、次のセールスに結びつき、最終的に、学生時代に起業した際に、とても役に立った」
・「自分は、10歳のときに、クラスメートの女の子が、いじめにあって、雪をぶつけられているのを発見した。自分は、なぜかは分からないが、立ち上がって、クラスメートを救わなくては、という気持ちになった。この経験は、自信をつけ、正義のために立ち上がり、courageがあるというパーソナリティの形成に大きく貢献した」
なお、achievementを書くべきではないという趣旨ではございません。念のため。
登録:
コメント (Atom)