2009年6月17日水曜日

サマーインターン

サマーインターンを、ultracapacitorのスタートアップですることになりました。将来、長期的に、どのような道をとるにしろ、米国のスタートアップで働いてみる経験は、変え難いものになると信じており、大変楽しみです。

ところで、ultracapacitorとは何なのでしょうか。
私は全くの素人なのですが、インターン先を決めるに当たって色々と調べてみました。

ultracapacitorとは、コンデンサのように電気をためられる性質を持っている製品です。現在は、電気歯ブラシ等小型の製品に主に使われていると思います。自動車への応用の研究も盛んです。
http://www.jisc.go.jp/newstopics/2009/capacitor.pdf

シリコンバレーでは、クリーンテクノロジーへの転換のボトルネックになっているのは、蓄電技術のイノベーションの速度だと、良く言われています(最も分かりやすい例が自動車で、電池の値段が高すぎるので、なかなか電気自動車への移行が進まないと言われています)。そこで、蓄電技術分野での投資・起業・就職が活発なのですが、現在、最も人気があるのは、リチウムイオン電池だと思います。これは、成熟したマーケットで、現在、日本の大企業がシェアの5割以上を占めています。スタートアップで有名なのは、A123で、以前にIPOしかけて(景気悪化というタイミングのために)やめたという経緯もあり、「ここに就職すれば景気回復後に必ずIPOするはずであり、ストックオプションでたくさん儲けられる」と考えるビジネススクールの学生が盛んに就職活動をしています。

ultracapacitorは、下表のとおり、リチウムイオン電池に比べて、数倍以上のパワーがあります(充放電の速度がはやい)。これは、自動車では、加速度や充電速度に関係し、重要です。

もっとも、現段階では、リチウムイオン電池に比べて、約20分の1しか蓄電できない(Specific Energy)と言われています(下表参照)。蓄電量は、自動車でいうと走行距離に関連し、やはり重要です。この弱点を補うために、シリコンバレーでは、ultracapacitorに、ニッケル水素電池等(比較的安価で電気をたくさん蓄積できる)を組み合わせることが注目されています。

しかし、私が個人的に注目しているのは、ultracapacitorの寿命です(下表ではリチウムイオンの100倍程度の寿命ですが、別の専門家は1000倍の寿命があるといいます)。もし、ultracapacitorの寿命も勘案して、電池とultracapacitorのlife time value analysisを実施すると、どのように基準をとっても、ultracapacitorの価値は、圧倒的に高いことになると思います(表を使って計算してみてください)。これは理論値ですので、実際には、valueをextractするビジネスモデルが必要になりますし、また、理論を実現するには、(車が重くなりすぎないような組み合わせの実現等)様々な障害があることは承知しています。ただ、経済産業省は、電気自動車の移行には、現在の電池に対して、性能で7倍、コストで40分の1の電池が必要と発表しており(以下URL)、電池という成熟した分野でこれだけのイノベーションを起こす(以前にも御紹介したとおり20年必要と考えている専門家が多い)よりは、ultracapacitorでビジネスモデルを利用して勝負する方が可能性が高いと感じています。
http://www.meti.go.jp/press/20070528001/initiative-torimatome.pdf

(表:Andrew Burke and John Miller, "Electrochemical Capacitor: Challenges and Opportunities of Real World Applications"The Electrochemical Society Interface/ Spring 2008, 54頁より )



2009年6月12日金曜日

Sponsor

IVY LEAGUE CONSULTINGが当ブログのスポンサーとなることになりました。ハーバード等トップスクールを卒業された外国人コンサルタントが、留学コンサルティングをされており、MBA等の大学院の出願サポートをされています。利用された方の約95%が志望したMBA・大学院(スタンフォードMBAを含む)に合格されているとのことでした。初回相談は無料とのことですので、御留学を志望されている方は、試しに、一度相談を受けられてはいかがでしょうか。なお、以下のURLから初回無料相談を申し込めるようです。http://www.daigakuinryugaku.com/

2009年6月3日水曜日

Deanのエッセイ

Deanがエッセイを書くと下記のようになるようです。スタンフォードMBAの「何があなたにとって一番重要ですか」等のエッセイの御参考まで。
http://www.gsb.stanford.edu/news/headlines/joss_essay.html

2009年6月2日火曜日

今そこにある危機

MBAに留学すると興味が変わるのか」と良く聞かれます。私のケースを記載したいと思います。

MBAに留学する前、私は、バイオテクノロジーに興味がありました。例えば、癌を治す新薬が出来たら素晴らしいなどと考えておりました。仕事でも、バイオ・ヘルスケア系の案件を積極的に受任するように心がけていました。

留学後、教授・友人からの刺激を受け、今はクリーンテクノロジーに興味があります。MBAとともに、環境科学(ソーラーパネルなどのクリーンエナジー、水、バッテリーなどに関する科学)の分野のMSもJoint Degreeとして取得することになりました(下記URLですので、出願者の方は、興味があればご参考になさってください)。
http://iper.stanford.edu/home

1.気候変動を予測するという授業

私がクリーンテクノロジーに興味をもったきっかけは、モンテカルロシミュレーションを用いて、気候変動を予測する授業を履修したことにありました。この授業では、20人から30人程度の少人数の学生が、ノーベル受賞者(例えばアルゴアとともにノーベル平和賞を受賞したIPCCのクリス・フィールド氏)をはじめ、その分野で世界をリードする多くの科学者から直接指導を受けられます。

科学者の間で用いられている精密なモデルを利用して、温度の上昇を予想したところ、数十年間で、気温が約10度上昇することを学びました。大勢の人が死亡し、経済にも大きな打撃が及びます。 また、『仮に』、2020年に、CO2の排出量を0(!)にできたとしても、温度はどんどん上昇していきます。(数字を抽象的に記載しているのは、スタンフォードのHonor Codeとの関係で、これ以上具体的に書けないためです。合格されてスタンフォードMBAに留学される方は、ここの記載は、課題とは前提を変えていますので、参考にしないで下さい。

単純ですが、これは大変なことだと思いました。

2.多くのExpertとの会話

また、シリコンバレー・スタンフォードのExpertsたちから、以下のようなショッキングな話を連日聞いています。

・「10年から20年後にはバングラデッシュはなくなるだろう。海面の上昇でバングラデッシュがあった場所は水没する。北はヒマラヤだし、彼らには東や西にも逃げ場はない。1億5000万の国民の大半が死亡するだろう。」(CIAを含め、ホワイトハウスの上層部もクライアントとしている、著名な環境コンサルタント(シニアパートナー))

・「水は21世紀のオイルというのはシリコンバレーの常識だ。」(トップの一つであるVC(シニアパートナー))

・「水は21世紀のオイルだ。20世紀に石油の争奪が戦争を産んだというのは常識だ。21世紀には、気温の上昇によって、川も干上がって水不足が更に進む。例えば、われわれの分析では、メコン川も、近い将来には、大半干上がってしまう。われわれのシュミレーションでは、近い将来、すべての人類を賄うのに足りる水はない。その解決策は、(水の争奪及び人口の減少という意味で)大規模戦争となるだろう」(著名な環境コンサルタント(シニアパートナー))

いわゆる有名人がこういった議論をするのを目の前で聞くと、嫌でも刺激を受けます。

3.テクノロジー

それでは、テクノロジーのイノベーションは、問題を解決することができるのでしょうか。

多くの大企業が、「No」と考えているようです(ディスラプティブなブレークスルーは困難なので、リアリスティックに、Energy Efficiencyなどを中心としてCO2の排出を下げるべきだとする立場)。 エクソンのCEO、BPのCEO、ChevronのCEOが最近講演にいらっしゃいましたが、どなたも、「代替エネルギーへの移行がここ30年間で飛躍的に進む可能性はないと考えている」とおっしゃっていました。朝日新聞の2009年4月20日報道によれば、トヨタの経営幹部は、純粋な電気自動車について、「走行距離を伸ばすには、ただでさえ高価な電池をたくさん積むしかなく、とても売れる価格にならない」と言及されたそうです。

ただし、もし、違うシナリオとなった場合には、現在の業界のリーダーは、戦略・戦略をサポートする企業カルチャー・競争上の強みなどのすべての変革を迫られるため、業界の再編となる可能性があります。

三菱自動車の益子社長は、「社運をかけて」電気自動車を他者に先駆けて今夏から投入するといわれたそうです(文芸春秋2009年6月号)。また、電気自動車の会社であるテスラは、1000万円程度のロードスターに加え、500万円程度のセダンを発売します。セダンの購入申し込みは1000台に至ったといわれています。

どのシナリオが正しく、それに応じて、どの企業が勝つのか、大変興味深いと感じています。

現在のところ、シリコンバレーでは、トヨタの読みが正しいという噂が多いように感じています。電気自動車への移行となるのは、20年後だろうと言われています(車のモデルの変化には、5年から8年であり、モデル変化3回分の時間が必要と言われています)。そのような理由で、「電気自動車は、現段階ではマーケットがあると誰も信じない。誰も信じなければ、ファイナンスはつかない。ベンチャーのリスクは、オペレーションリスクではなく、次のラウンドでVCファイナンスが入るかだ。電気自動車のベンチャーにとってのチャレンジがここにある」という人もいます。

「それでも誰かが何かをしなければならない。僕は、Political Willの問題だと思う」などと友人達は議論してきます。毎日のクラスメート達との議論にエキサイトしています。

2009年6月1日月曜日

Stanford MBA 合格法(続)

長いこと連載の途切れていた合格法ですが、アプリカントの方から概ね以下の内容の御質問を受けましたので、久しぶりに簡潔に書いてみたいと思います。(なお、今までに記載した合格法については、ページの左側の部分に『MBA留学合格法』というリンクがありますので、そこからご覧下さい。)

<御質問内容>
「スタンフォードに留学したいと思っています。カウンセラーに相談したところ、『若干厳しいかもしれない』との趣旨のことを言われてしまい、悩んでいます。カウンセラーには、具体的には、『学歴・職歴の面で不利だ』と言われてしまいました。何とかならないでしょうか。」

なお、この方は、実際には十分に立派な学歴・職歴をお持ちです。どのように対処するべきか、この方には、概ね以下のようにご回答いたしました。

<回答>------------

スタンフォードMBAの合格基準は、私の記憶では、intellectual ability, leadership, community activityの3つであったと思います。私の考えでは、 その趣旨は、「intellectual abilityがないと、授業についていけないかもしれないし、新しいアイディアを世の中に実現できないかもしれない」「leadershipがないと他の人がついてこないので、新しいValueを世の中に実現できないかもしれない」「カルチャーにフィットしていないと、スタンフォードの良さが身につかないし、周りの人から良い影響を受けない」といったことにあると思います。学歴・職歴が良い場合は、intellectual abilityの点が高くなり、合格可能性が高まるのかもしれませんが、この点に万一ご心配がある場合であっても、以下の戦略で十分おぎなえると思われます。

①Intellectual ability:
(1)まず、エッセイの文章が、論理的であれば、他の出願者と差がつくと思います。スタンフォードMBAは、Critical Analytical Thinking (CAT)という授業を創設したことにも現れているように、論理性を非常に重視します。なお、CATを創設したSaloner教授は、スタンフォードMBAの次期Deanです。
(2)また、スタンフォードは、アイディアを重視します。新しいスタートアップのアイディア・将来働かれる会社で起こしたい変革など、新しいバリューを実現するアイディアを記載できれば、他の方に差をつけられると思います。なお、単なるDifferentiationとアイディアは、若干異なることに注意してください。
アイディアを思いつくのにあたっては、本を読むのが非常に有効です。例えば、私のブログで紹介しているSaloner教授のテキストの11章辺りのDemand Side Increasing Returnの理論を用いた新しいアイディアを書いて、読み手がアイディアを信じれば、合格の可能性は相当に高くなると思われます。私の場合には、日本の書店で売っているBerkeleyのチェスブロウ教授の書いたオープンイノベーションの本に書いてあった理論を参考にしつつ、エッセイにアイディアを記載しました。

②リーダーシップ
ここは、他のビジネススクールと同じですので、スタンフォードMBAのエッセイを後にまわすことで対処可能だと思います。

③カルチャーへのフィット
人によりますが、チャレンジ精神があること、アイディアのあること、人と人とのつながりを大切にすること、何があっても絶対に入りたいという意欲が伝わってくること、幼い頃から苦労して育った経験があること(戦地で育った友人がたくさんいます)、エンタテイニングであること、などなどだと思います。全部揃っている必要は勿論ないと思います。

なお、日本人の出願者の方は、(何があなたにとって一番大事ですか、というエッセイなどで)「世の中を良くしたい」と書かれる人が多いと思いますが、この辺りは、もう少し具体的に書くべきであることに注意すべきだと思います。例えば、私のブログのグアテマラや南アフリカの項目を読んで頂ければ、アドミッションの感覚に関して、若干参考になるのではないかと思います。1番目のエッセイについては、例えば、Social Justice、Education、Poverty、Impact on People、家族、Confidence・・・などが、テーマの例として挙げられると思います。

最後に、他の人がきちんとやってくること(トフル、GMAT、ウェブサイトをすべて読んで情報収集する、リーダーシップのエッセイ)は、確実におさえるべきだと思われます。

2009年5月31日日曜日

南アフリカとSocial Justice

1.南アフリカのService Learning Trip

South Africa Service Learning Tripに参加しました。
グアテマラのService Learning Tripのテーマは、Supply Chain Managementを利用して貧困と社会の不正義を解決することにありました。

これに対して、South Africa Service Learningのテーマは、Educationを利用してSocial Justiceを実現することにあります。

貧しい人とたくさん出会い 、その人達を「助ける」Social Entrepreneurshipを考え、体験するのが、トリップの目的であり、参加者にはそのような姿勢が求められます。
そうなるのだろうと予想していました。

しかし、私の予想と現実の世界は全く異なっていました。


2.高校生達のエネルギー

トリップは、スタンフォードMBAの2005年の卒業生が設立したAfrican Leadership Academyを訪問することから始まりました。
広大なキャンパスに集められた生徒達は、全員 、アフリカの各国から選抜された高校生です。

エネルギーにあふれていました。

「自分たちは、アフリカを変えるリーダーシップを実現する」
といったテーマでビジョンをカリスマ的に演説します。

また、「アフリカの根本的な問題は、リーダーシップの欠如にあると思う」といった趣旨の議論を堂々としてきます。
3.Utah村でのホームステイ

Utahという砂漠の中の、マラリアのリスクのある村に泊まりました。

貧しい家に泊まるのだろうと思っていたところ、自分の住んでいる家よりも広く立派な家でした。
アメリカの中流階級程度の家でしょうか。

車が2台あり(日本のトヨタ車)、子供達はフラットパネルテレビで衛星テレビ放送とDVDを楽しんでいました。


しかし、その表面に見える豊かさとは裏腹に、現実の彼らの生活には影がありました。


彼らは、自分達の生活が豊かに『見えるように』していました。
なぜなのか、そのときには疑問でした。

我々は、家の中にある非常に綺麗な水洗トイレを(指示されて)使っていました。
しかし、その後、実は、畑の中に、本当の彼らのトイレ(水洗ではない)があることを発見しました。

彼らは、我々の前で水を平気で使っていました。
しかし、その後、彼らの村には、水がなく、川も干からびてしまっており、水道が通っておらず、たまに湧き出る水を遠くまで取りに行っていることが分かりました。
学校にも水はありませんでした。


(村の子供の通う小学校の様子)

4.雄大な自然と動物達

Utah村の後には、マラリアのリスクのある地域をジープで周り、動物達を見ました。


  

(その地域では一生に一度しか見れないと言われている幻のチーターに遭遇。)

(ジープに壁はない)


(ライオンを探しに出かけた二人が発見して走って逃げ帰って来る様子)



(ライオンに囲まれてほえられる。かなりの迫力)


(湖ではカバがダイビングをする様子を目撃)


(夜になり、「安全」と言われた場所で宴の準備をしていると「ライオン接近中」との情報が入る)


(このオスライオンは「プライド」と呼ばれているらしい。目の前まで接近した)

(南アフリカのペンギン。殆ど動かないかヨチヨチ歩き)

夜はテントで眠り、「ライオンなどが来ることがあるので、絶対に外に出ないように」と注意を受けました。
夜通し知らない動物・虫の鳴き声が響き渡っていました。
また、テントのすぐ上で大量のサルのような鳴声が聞こえ、「テントはライオンどころかサルでさえ防げないのでは。。。」と思って、サルの襲撃に備えていました。

5.スラム街で

テントで夜を過ごした後には、ケープタウンの近くのスラム街の小さな宿屋に泊まりました。

宿屋の女主人は、「自分達は、尊厳があり、助けを借りなくても自分の力で立派に生きていける。貧しく可哀相な人に見るのはやめて欲しい。」と言われていました。

2009年5月30日土曜日

1年間の総括

スタンフォードMBAでの生活も1年間が終わろうとしており、簡単に1年間を振り返ってみたいと思います。良かった点・反省点という形で記載しますので、これからMBA留学される方のご参考になれば幸いです。また、しばしば質問を受けるスタンフォードで利用しているテキストについても記載したいと思います。

1.入学前の夏

良かった点
サマースクールは、生活のセットアップ・英語での議論になれる・新しい友人との出会いという意味で、行って良かったと思います。

・反省点
以下の本を読んでおけば良かったと思っています。

Saloner教授のテキスト
Saloner教授は、スタンフォードMBAの次期Deanです。General Managementの概観ができる本です。この本を読んでおくと、いわゆるMBAのコア科目の内容を有機的に結合することができます。
入学するとまず読まされるのですが、忙しい最初の学期に読むのには相当ボリュームがあり、夏に読んでおけば良かったと思ったを覚えています。

オーライリー教授の本
オーライリー教授は、スタンフォードMBAの名物教授です。企業戦略の遂行の方法、イノベーションを起こす方法、イノベーションを生かす企業とイノベーションに殺される企業といったことを述べています。読んでおくと、Human Resource Management、Organizational Behaviorといったコア科目を有機的に結合することができるので、入学後するとまず読まされます。

2.秋学期

・良かった点
秋学期は、クラスメート間で競争がありましたので、卒業出来るかが心配で必死で勉強しました。Saloner教授のテキストオーライリー教授の本も数回読み、配布されるケースも数回読んで、変な内容でも構わず授業中に発言するようにつとめました。

・反省点
意地になってテキストやケースを読む戦略をとったのですが、後から考えてみると、効率を重視するべきだったと思います。

・テキスト
Saloner教授のテキストオーライリー教授の本ほどは、入学前に読んでおく必要性を感じませんが、スタンフォードMBAでは秋学期には以下のテキストを利用しています。

デマルゾ教授のファイナンスの教科書
デマルゾ教授は、スタンフォードMBAの名物教授。一通りのファイナンスの理論が書いてある本。Quantitativeな方程式を学べるほかに、Debt Equity Ratioを高く設定するのがOptimalなのはどのようなケースか、オプションの本質は何か、敵対的買収をすべき場合といった、より本質的な内容にも触れてあり、勉強になりました。

Critical Analytical Thinkingで利用した本
いわゆるベストセラータイプの本の結論を、論理的にどのように批判するのかといった観点で利用しました。

3.冬休み
以前にブログで御紹介しましたように、グアテマラへのトリップに参加しました。戦地で生まれ育った友人などの話を聞き、新しい人生観が開けました。

4.冬学期

・良かった点
サマースクールの間に以下の本を読んで勉強しておいたので、多少楽でした。
Economics (Addison-Wesley Series in Economics)
Essentials of Accounting (Essentials of Accounting)

・注目の授業:Environmental Modelingの授業
温暖化等環境問題について、モデリング(モンテカルロシュミレーションなど)をする授業を履修しましたが、ノーベル賞受賞科学者等様々な教授が講演をされ、大変刺激を受けました。この授業では、例えば、今すぐに二酸化炭素の排出量を0に出来たとしても、数十年後には気温が飛躍的に上昇し、多くの死亡者が出てしまう、といったことを、実際に科学者が利用しているモデルを利用してしミューレーションします。

・反省点
スタンフォードの外のベンチャーキャピタリスト・アントレプレナー等にもっと会っておけば良かったと思っています。

・教科書
アカウンティングの教科書:昔からスタンフォードで使われている教科書。
データ&デシジョンの教科書:特にコメントはありません。
Micro ECON textbook:名物教授であるKrepsが執筆しています。


5.春学期

・良かった点
毎日シリコンバレーのどこかのベンチャーキャピタリスト・アントレプレナー等に会いました。シリコンバレーに流れる噂やイノベーションに関する情報に触れ、大変刺激を受けました。例えば、EEStorという会社は、キャパシタのエネルギー密度が電圧と共に上昇することに着目し、キャパシタのエネルギー密度を飛躍的に上昇させることに挑戦しており、これに成功すれば世界が根本的に変わると噂が流れています(ただし、上手くいかないだろうという噂も多いようです。例えば、電圧を仮に飛躍的に上昇させられたとしても、世界を変えるのに至る電圧を実現した場合には、余りの高電圧のため、キャパシタを搭載した車のまわりに光り輝くオーラが発生してしまい、危険であると噂が流れています)。
http://en.wikipedia.org/wiki/EEStor
また、クラスメートとベンチャーキャピタルやスタートアップのためにいくつかプロジェクトをしました。例えば、従来のテクノロジーの数倍のパフォーマンスのテクノロジーについて、どのように新しいマーケットを開拓し、プライシングを設定するのか、といった戦略の立案を、マッキンゼーやベインのコンサルタント出身のクラスメートと行いました。テクノロジーそのものが興味深かったほかに、コンサルタント出身の友人の問題解決に対するアプローチを実戦で学べたのは有意義でした。

・反省点
ネットワーキングに重点を置きすぎたせいで、授業の準備がおろそかになってしまいました。振り返ってみると、授業については、以下の点を守ることが学習効果を高めるポイントだと感じるようになりました。
(1)授業中は集中し、必ず1回は毎授業で発言する。
(2)ケースは、ともすると「読む」「理論の当てはめをする」といった風に接しがちになってしまいましたが、どちらかというと「ポイントをとらえて考える(視点を身につける)」「きちんとレコメンデーションを考える」と扱う方が学習効果が高く、無理に理論を当てはめようとすると逆効果であることを学びました。
(3)授業後に出来るだけ教授やクラスメートと議論をする。

・ファイナンスの授業について
今学期に履修したAcceleratedファイナンスのIlya教授が、今年の「最高の授業をした教授」に選ばれました。テクニカルな理論(ブラックショールズ、APV、リアルオプション、VCファイナンス、PEファイナンス、敵対的買収など)も教えましたが、それよりもビジネスの本質をファイナンスの問題に当たってどのように考慮するのか、といった考え方を教えることに重点を置かれていました。最初の授業は、彼が、3年前にある企業の倒産を予言した逸話から始まります。ある企業が2009年3月31日までに倒産すると分析したことや、その分析の手法を教わりました(アメリカ政府の介入という教授の予期しなかった事由で倒産のタイミングは教授の予想よりも若干遅くなりました)。毎回学生をCold Callし、「君の計算のAssumptionは何か。この会社のビジネスとの関係は?」といった質問をあびせます。私にとって最も興味深かった授業は、有名なイリジウムのケースで、イリジウムが失敗した理由を分析し、Target Leverage Ratioが高いケースでも、収益が高まるまではTarget Leverage RatioまでDebtを高めてはいけないこと、Debtの構成を複雑にし過ぎてはいけないことなどを学んだ回で、この回には、授業の終わりに拍手が起こりました(シリコンバレー及びスタンフォードではクリーンテックがホットなのですが、クリーンテックは、Capital Intensiveなビジネスなので、こういった議論は学生にとって大変興味深い内容になります)。

・教科書
Human Resources Management Text BookSaloner教授のテキストオーライリー教授の本と同じく、戦略と人事の有機的結合について学べます。
オペレーションの教科書:分かりやすい本です。

2009年2月28日土曜日

Blackswan 2

砂漠で太陽光発電をし、エネルギーを蓄積しておいて、必要なときに放出する・・・
霧の多いサンフランシスコの民家の屋根にソーラーパネルを敷くよりは、素人目には、効率が良いように思えます。

砂漠で太陽光発電というアイディアを実現するのが、いわゆるSolar Thermalです。基本的な仕組みは単純で、太陽エネルギーをレンズ等で集中させて、水等を水蒸気とし、当該水蒸気でタービンを回して発電するというものです。

下の写真は、日経BP(http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090224/187198/)からの引用です(飯山辰之介氏「【技術フロンティア】灼熱地獄の夢プロジェクト」)が、日本でも注目されはじめているようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090224/187198
Solar Thermalは、オーストラリア、シリコンバレーでは、随分前から注目を集めています。

Solar Thermalの凄いところは、エネルギーを蓄積できるところにあると思います。電気を蓄積するバッテリーやEnergy Storageの技術の水準の(必要性と比較した場合の)低さは、Clean Technologyのネックになっています。Solar Thermalは、電気ではなく、温度の形でエネルギーを蓄積するため、より効率的にエネルギーを蓄積できると言われています。したがって、砂漠で大量に発電をして、夜間を含め、必要に応じて電力を供給することが可能と言われています。

一番はじめに、この技術を利用した企業は、恐らくAusraの前身だと思われます。この企業は、当初成功するかに見えたのですが、政府のClean Technologyに対する援助姿勢の変化により、(コスト面で石炭に勝てなくなってしまい)一気につぶれてしまいました。そこで、誕生したのが、コストを圧倒的に削減したAusraです。このブログでご紹介しましたVenture CapitalistのVinod Khosla(スタンフォードMBA Class of 1980)から出資・経営面でサポートを受けています。
http://www.ausra.com/

Ausraは、景気が悪化する前には、「コスト面で石炭に勝って、アメリカの全エネルギーの90%を供給できる」と発言していたと言われています。

Ausra等Solar Thermalの問題点は、これまで送電線にあると言われてきました。砂漠には送電線がない場所が多く、送電線をひくには、1マイルあたり、約100万ドルが必要であると言われています。

そこで、オバマ政権が送電線を砂漠にひいて、かつ、必要な援助をすれば、Solar Themalが一気に勝つという見方もあります。アメリカの全エネルギーの90%を太陽光発電できるのであれば、確かにBlack Swanでしょう。

ただし、当のAusraは弱気になってしまい、経営陣は、「Solar Thermalが今のScaleで石炭に勝てるとは思えない」という趣旨の発言をされています。オバマ政権は、Loan Guranteeプログラムなども提供していますので、プロジェクトファイナンス等で一気にScaleアップできる可能性もあるのかもしれませんが、経営陣が弱気というのは決定的という「噂」(ソースは学生及びVC)を、よく耳にします。

All Lives Have Equal Value

Bill & Melinda Gates FoundationのCEOであるJeff Raikes氏がお昼の講演に来校されました。

スタンフォードMBAでは、ほぼ毎日各界のリーダー・トップが学校を訪れ、講演、パネル、ディスカッション等をされ、学生は日々大きな刺激を受けています。

Jeff Raikes氏の講演は特に衝撃的でした。

氏の声の大きさ、響きは、聴衆の心を数秒でとらえました。

学生に対しては、農家の息子として生まれて何を学んだか、人生で一番大切だと思うことは何か、Appleでソフトウェアに対して情熱を感じるようになった経緯、マイクロソフトで学んだこと、といった氏自身のストーリーを語られました。

学生の間で、印象に残ったご発言をとりあげてみたいと思います。

「僕は、最初、農家のマネジメントを学びたくてスタンフォード大学に来た(来てみたらUndergraduateにはビジネススクールがなくて困られたそうです)。その後Appleでソフトウェアに情熱を感じるようになった。新しいソフトウェアを見せた時の人の顔の輝きに魅かれた。それで、マイクロソフトに転職することにした。スティーブバルマーは、文字とおりYellして口説いてきた。」

「昔僕は野球チームに所属していた。そのときのコーチは、今はメジャーリーグのあるチームで活躍している。彼と一晩話をしたことがある。僕は、『良いピッチャーを作り上げるのは何だと思うか』『良いキャッチャーを作り上げるのは何だと思うか』といった質問をたくさん彼に投げかけた。彼は、それぞれの質問に対して、『それは、3つの要素で、これとこれとこれだ』といったように非常にシンプルに応えていた。マジメントの本質がここにある。マジメントをする者は、シンプルな言葉で本質をとらえる必要がある。もちろん細かい枝葉の重要性を否定するわけではないが、シンプルな言葉でそれを伝えられないと人はついてこない」

「僕が、マクロソフトとゲイツファウンデーションで学んだ3つのことを教えよう。1つ目は、Work Balanceだ。どんな仕事にも面白い部分と面白くない部分がある。農家の息子として、僕は、このことを早く学び、面白くない仕事をしているときには、そのうち面白い仕事に変わる、と思えるようになった。ビジネススクールを卒業してすぐの学生は、何でも出来ると思っているので、面白くない仕事をしたときのストレスで失敗する人が多い。2つ目は、Prioritizationだ。君たちは、自分が何でも出来ると思っているだろう。そこで何にでも手を出してしまうと、結局最後は何もできない人になる。自分が最もパッションを感じるもので、世の中にValueを生み出せるものを見つけて、それを徹底的に追及するべきだ。その際には、うまく戦略をたてて、Prioritizationをしながら行動すべきだ。3つ目は、Work Life Balanceだ。仕事のほかに、ボランティア・家庭・レジャーは、とても大切だ。自分の中でPrioritizationをしつつ、Work Life Balanceをすべきだ。それが、長い目で見たときの成功につながると思う」

非常に分かりやすく、本質をついた講演でしたので、終了時には拍手喝采でした。

2009年2月22日日曜日

Blackswan 1

http://chemoton.files.wordpress.com/2008/10/blackswan.jpgより引用)



Black swanをご存知でしょうか。


ウィキペディアによれば、

"The Black Swan theory (in Nassim Nicholas Taleb's version) refers to a large-impact, hard-to-predict, and rare event beyond the realm of normal expectations."
を指す、とのことです。

世の中の仕組みを変えてしまうようなイベント(ゲームチェンジングなイベント)といったイメージでしょうか。例えば、ヤフーやグーグル等の検索システムが登場して、人々の情報の取得の仕方が、それまでとは全く変わったことなどが例としてあげられると思います。
やや宣伝気味で恐縮ですが、スタンフォードMBAに留学することの大きなメリットの一つとして、次のBlackswanになりうる動きに関する情報が手に入ることがあげられると思います。
今回は、そのうちの一つをご紹介したいと思います。
例として、車のバッテリーをとりあげたいと思います。
オバマ政権のお金の使い方などを見てみると、オバマ政権が、プラグインカーに注目していることがわかると思います。(例えば下記)
もちろん日本でも注目されています。(例えば下記)
プラグインカー(電気自動車、プラグインハイブリッドなど)が難しいのは、バッテリーのためだと言われていると思います。
そこで、例えば、ビジネスウィークなどは、リチウムイオン電池に注目しているようです。
しかし、例えば、シリコンバレーのテスラモーターズは、シリコンバレーのVCの間の噂によれば、1万5千個(!)近いリチウムイオンを車に搭載しており、コスト以下の価格で車を販売していると言われています(証拠はなく、VCやMBAの学生の間での噂に過ぎませんので信憑性は定かではありません)。
そこで、リチウムイオン電池を上回るBlackswanが存在しないかが問題となります。
候補は色々とあるようですが、例えば、カナダのある自動車メーカと組んでいる電池のメーカによれば、以下の電池を実現したそうです。
・リチウムイオンが重さ752ポンドであるとした場合に、300ポンドの電池(重さ半分!)
・Discharge rateが、リチウムイオンでは、30日間で1%であるところ、30日間で0.02%を実現
・リチウムイオンではフルチャージに3時間以上必要であるところ、3分から6分でフルチャージ可能(プラグインカーでは重要)
・52kWh unitについて、現在は、3200ドルのコストがかかり、MESに至ると2100ドルとなる(あるソースによれば、lead acid batteryの半額であるそうです)。

2009年2月21日土曜日

Guatemala Service Learning Trip

テロリストによる銃器を用いた殺人がはびこっており、マラリアやデング熱のリスクがあり、水に肝炎ウィルスが混ざっており、30年間にわたる内戦が終わったばかりの国。車に乗っていても、銃器を所持したテロリストから暴行を受けるリスクがある。

スタンフォードのアドバイザからリスク回避の手法を学び、肝炎を含めて万全の予防を受けたものの、グアテマラに行く前は、良く眠れませんでした。

スタンフォードMBAでは、GERという制度があり、学生は、住んだことのない国に行って学ぶ必要があります。ヨーロッパや日本などのAdvanced Countriesに行って、首相や大企業のCEOの方々などとお会いすることを選ぶ学生もあれば(Global Study Trip)、グアテマラなどの発展途上国に行って、地元の方々と生活をし、ソーシャルアントレプレナーとともに仕事をすることを選ぶ学生もいます(Service Learning Trip)。

私は、グアテマラのSocial Service Learning Tripに参加しました。グアテマラは、大変貧しい国です。


貧困層に富をもたらすための活動をしていると言われている5つの団体を訪問しました。


1 政府:グアテマラのコーヒー豆について、「森林の木陰で栽培された」ことをプロモーションすることで、非コモデティ化(product differentiation)し、これにより価格競争からの脱却・高価格での販売をめざす。

2 As Green As Its Gets:貧困層のビジネスモデルの変革をめざす。


3 コーヒー業界のGiant(US企業):Supply Chainマネジメントにより、貧困層に富をもたらすとともに、医療システム等の変化をも促すことをめざす。

4 コンサル(NPO):グアテマラのアントレプレナーに対するコンサル。

5 農家のマネジメントを変革するNGO:農家にコンサルをして、より効率が良く、環境にやさしい(例えば森林の焼却を行わせない)農業を教え、かつ、コンサルを受けた農家に対してCertificateを発行している。クラフト等の大企業は、当該農家からコーヒーを購入し、パッケージに当該Certificateを付することで、ブランドを向上することができる。

Tripは、1の政府系機関とのミーティングから始まりました。 ミーティング後、学生たちは、「素晴らしいことだ」と感激しました。

しかし、後日、貧しい農家の方々と話し、現実は単純でないことに気づきました。
そもそも、この団体は、大地主達の利益代表者として誕生したという経緯があり、貧しい農家の人達の利益を代表していません。貧しい農家に対して、Export Licenseを発行しないといった実態が実際にはあるとのことでした。

次の日に、2のNGO(As Green As Its Gets)を訪問し、農家の方々と働きました。



コーヒー豆は、そのままでは、非常に安価です(グアテマラでは数十キロでも数百円だったと思います)。訪問した農家は、7人の子供がおり、安価でコーヒー豆を売っていては家族をとても養えません。最初は、掘っ立て小屋のような場所に住んでいたようです。


As Green As Its Getsは、コーヒーのSupply Chainに注目しました。精製されたコーヒー豆であれば、値段が数倍以上になります。また、飲料としてのコーヒーであれば、値段は数十倍以上になります。そこで、As Green As Its Getsは、Supply Chainの中での農家の位置付の変更を手伝っています(例えば精製されたコーヒー豆を売れるようにする)。効果は劇的で、貧困な農家の収入は確実に上昇し、農家の家屋も毎年グレードアップしているようです。

ただし、ビジネススクールの学生からみると、As Green As Its Getsは、おそらくビジネスをScaleできないので、Guatemalaを変革することは難しいだろうという結論になりました。


3のコーヒー業界のGiant(US企業)は、従業員の労働条件及び健康状況並びに地球環境等について高い配慮をしている農家に対しては、コーヒー豆を、通常より高い価格で購入しています。US大企業の側からすると、良質のコーヒー豆の安定かつSustainableな供給を期待できます。


ただし、現地の貧しい方々の話によると、現実には、US大企業の相手となるグアテマラの農家は、大規模農家に限られてしまっており、貧困層には影響が殆ど及んでいないとのことです。また、設置された病院が見せかけだけで、実際には医者もおらず、診察が行われていない、などの問題もあるとのことでした。

4と5についても、現地の貧しい農家の方々の話では、「Helpになっていない」とのことでした。




学生達は、貧困な村に宿泊し、コーヒーピッキングを行いました。

数十キロに及ぶコーヒー豆をピッキングして、一粒一粒色分けしました。

MBAの学生数人が一日かけて集め、色分けをした数十キロのコーヒー豆は、高くても数百円にしかなりません。


グアテマラの方は、このような重労働を、絶えず、一生続けられます。
コーヒーの色素が指にしみつき、数日間落ちませんでした。







グアテマラの自然は、大変美しく、一面山や森に囲まれ、雲の下に湖が広がります。



また、急斜面の火山に登り、人生で初めて煮えたぎる溶岩を眼前にしました。


溶岩の近くの空気・地面の暑さは忘れられません。





グアテマラでは、突然の地震や火山噴火で村が埋まってしまうことがあります。戦争、病気、貧困、自然災害のリスクと隣合わせという状況で、グアテマラの方々の顔には笑顔があふれ、人々は大変親切でした。


リスクを受け入れ、力強い自然やリスクと共存していくシステムを垣間見た感じがしました。